J-me CINEMA CIRCLEの部員のみなさんと一緒に創るシネマプログラム

CINEMA CIRCLE

Nov. 11 2016

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あぁーと、やるせない気分になってしまう映画  「誰のせいでもない」

「午前十時の映画祭」っていうのがあるのをご存知ですか?
今年の4月2日からはじまったらしいのですが、先日は4週間、黒澤明監督の「七人の侍」が上映されました。これがなんと全国で4万1,264人を達成しています。朝10時から3時間半、私も見にいきました。
これまで黒澤監督の作品はテレビやDVDでしか見たことがなかったんですね。ところが4Kでリマスター、音もリマスターしていますが、この面白さってテレビじゃわからなかったと。大スクリーンで音が良くて絵が綺麗だとこんなに感想が違うのかと。単純に「おもしろかった!」の一言で片付けられるおもしろさです。
またこういう機会があったらみなさんぜひお出かけください。

さて、今週のテーマは・・・「あぁーと、やるせない気分になってしまう映画」です。

●pomodoroさんからは「わたしの名前は…」
「『心に闇を抱えた少女と大型トラックのドライバーとの出会い。ロードムービーの始まり。一時の安らぎ。少女を思っての、ドライバーのラストでの衝動的な行動がやるせなかったです。』その通り、これ見て欲しい。アニエスベー制作ですね。」(部長)

●ごまちんさんからは「手紙は憶えている」
「『90歳のゼヴはアウシュビッツの生き残り。同じ老人施設の友人マックスもそうだ。 認知症が進んでいるゼヴは、具合が悪く動けないマックスの手紙を持って、家族を殺したナチスの兵士に復讐するため探しに出る。観たばかりです。途中から、このやるせない気持ちをどこに持っていけば!? 自分にとって今年観た中で1番だと思います!』、そう。実はこれ紹介するかどうかすごく迷ったんですよ。その結果、ちょっと置いといてにしたのですが、これも本当にオススメです。」(部長)

●3103さんからは「野火」
●みっちゃん、Shinjituさん、キイロさんなどからはは「火垂るの墓」
●よもじさん、Mayumiさん、未来_夢之助◆ZAPPA FAN◆さんなどからは、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」

その他、今週もたくさんのご参加ありがとうございました!

そして、今回部長が選んだ映画は、ヴィム・ヴェンダース監督の最新作「誰のせいでもない」です!!

「ヴィム・ヴェンダース監督は、ドイツ人の監督です。番組でも紹介しました『パリ、テキサス』、『Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』などを手がけていますが、最近の作品はずっとドキュメンタリーでした。ドラマを撮ったのが、2008年の『パレルモ・シューティング』以来なんです。ということで、今日紹介するのはドラマです。『誰のせいでもない』、いいタイトルつけたなと思います。というのは、英語のタイトルは『Every Thing Will Be Fine』すべてはうまくいくというタイトルなんです。
カナダ、モントリオール郊外の場面からはじまります。田舎の道を走る一台の車の前に突然丘からソリが滑り落ちてきて、『アッ!』と思った所で、『あー良かった。びっくりした。』と。しかし、母親が降りてきて『キャー』っていうことに…事故は起きていたんですね。
タイトル通り避けようのない事故だった。誰のせいでもないけど、事故が起きて悲劇があったということは誰にも変えられない。その事実は、当事者の心になんらかの形で消えない傷となって残る。12年にわたってそれを追いかける。どういう風に傷口から血がまた出てくるのだろうと、誰のせいでもない、でもあれがなければもっと幸せなことがみんなに訪れていただろうと思っちゃうんですよね。
映画監督、作家としても活躍するジェームズ・フランコ。それから、シャルロット・ゲンズブール、レイチェル・マクアダムスなどが出演。全員がヴェンダースから声がかかったら出るに決まっているでしょうって答えている。あたりまえでしょうと、出ないやつがいたら見てみたいと。熱狂的に喜んでいる。2008年からドラマを撮らなかったのは作る力がないと判断していたと思っていたのですが間違っていました。素晴らしい作品を作りました。」(部長)

映画「誰のせいでもない」は、11月12日(土)から公開です。

そして、この番組と連動した映画のコラムも毎週アップしていきます。今回は、韓国映画「弁護人」について書いています。モデルがいます。韓国の元大統領ノ・ムヒョンです。試写が終わった後拍手がおきましたからね。きわめて珍いいケースです。そのくらい見応えがある映画ですからぜひチェックしてください。

では、来週のテーマを発表!
「青春映画」です。
みなさんのご参加、書き込みお待ちしています!

誰のせいでもない(原題:Every Thing Will Be Fine)

カナダ、モントリオール郊外。作家のトーマスは仕事がうまくいかず、恋人との関係がぎくしゃくしていた。ある日、車を運転していたトーマスが目の前に飛び出してきた何かに慌てて急ブレーキをかけると、そこには1人の少年。少年の無事を確認し胸をなでおろしたトーマスだったが、母は息子の姿を見て何故か半狂乱になってしまう…。
1つの事故が4人の男女の運命を変えていく様子を描いた、ヴィム・ヴェンダース監督の最新作。

公開日:2016年11月12日(土)
公開場所:ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー!
配給:トランスフォーマー
STAFF
監督:ヴィム・ヴェンダース、脚本:ビョルン・オラフ・ヨハンセン、撮影:ブノワ・デビエ、 音楽:アレクサンドル・デスプラ
CAST
ジェームズ・フランコ、シャルロット・ゲンズブール、レイチェル・マクアダムス、マリ=ジョゼ・クローズ
2015年|ドイツ・カナダ・フランス・スウェーデン・ノルウェー|118min
公式サイト:http://www.transformer.co.jp/m/darenai/
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大倉眞一郎 おおくらしんいちろう

1957年熊本生まれ。
80年慶應義塾大学文学部東洋史学科卒業。大学では印度哲学を独学。同年、広告代理店電通に就職。88年J-WAVE開局に関与。その後97年までロンドン駐在の後、電通退社。同年10月からアジア各地をカメラ片手に旅して回る。その後、広告会社「タイノス」を設立。ユニクロのすべての広告活動を手がける。2007年9月タイノスを解散。再びアジアをプラプラすることになる。ヨーロッパ勤務中に身につけた世界市民的視野に期待。2003年09月に木楽舎より写真旅行記「漂漂」を出版。怒れるオヤジと称されるが、その語り口はソフトで定評がある。