May. 12 2017
克服できないほどの悲しみを描いた作品 「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
今日のテーマは・・・「克服できないほどの悲しみを描いた作品」です!
●yukkieさんから頂いたのは「サウルの息子」
「『ホロコーストがテーマの作品で数々の映画賞を受賞しています。でも、私には最後の最後まで一筋の光を見出すこともできない苦しさだけが残りました。』、これ私コラムに書きました。悩んだんですよ、この映画を人にすすめてもいいのかどうか。とにかく最初から最後まで悲しい、そういう映画です。」(部長)
●Ykim29さんから頂いたのは「チョコレートドーナツ」
「『ダウン症の男の子が実際に演じたこともあって、リアリティがあったのだけれど、
アラン・カミングの歌声が慈しみも悲しみも全てが込もっていて、涙を流さずにはいられませんでした。』ということです。今でもこうやって思い出すようなことを書かれるのを見るだけで泣けてきちゃいます。これは必見の映画です。」(部長)
●「エレファント・マン」には、Daisanさん、t2さん、cowboy heroさん他多数から!
●「火垂るの墓」には、HIRO.Sさん、あきじゅさん、Daisanさん他多数から!
今週も、たくさんのご参加ありがとうございました!!
そして、今回部長が選んだ「克服できないほどの悲しみを描いた作品」は「マンチェスター・バイ・ザ・シー」です!!
「マット・デイモンがプロデューサーです。監督主演もつとめる予定だったのですが、スケジュールが合わなかった、でもそれで良かった。で、誰が演じていたかというと、マット・デイモンの親友のベン・アフレックの実の弟、ケイシー・アフレックです。
主人公は、ボストン郊外で便利屋として生活を立てるケイシー・アフレック演じるリー。すごく優しくていい男なんです。いい男なんですが、恐ろしいくらいに無愛想、人付き合いが下手、独身らしいというのが最初のシーンから伺える。きっと何かがある。その何かが全然見えてこない。で、親しかった兄が亡くなって故郷に戻らなくてはならない。その故郷がマンチェスター・バイ・ザ・シーなんです。で、兄が遺言を残していて、16歳の甥の面倒を見る、でもここにはいられない。で、リーは過去と向き合うことになります。5分程の立ち話のシーンがあります、そこから私は涙です。これは本当に辛い映画です。癒えることのない心の傷っていうのが、人によってはお持ちの方いらっしゃいますよね。それで、だいたいの映画はそこからの再生を描くという話になる。乗り越えようと。でも乗り越えられるのかって思うですよ、私は。『自分はその悲しみは乗り越えられない』というセリフがある。そうだよなって思いました、何でも乗り越えようとする方が無理がある、乗り越えられない人間はとても苦しい。そんな感じで、観終わった後もしばらくジーンとしてしまう映画です。これは、今年の私のベスト10本入りに決定しました。」(部長)
映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」は5月13日(土)から公開です。
そして、この番組と連動した映画のコラムも毎週アップしていきます。今回は、「トンネル 闇に鎖された男」について書いています。韓国映画です。コラムもぜひ読んで下さい!
さて、次回は「大切なメッセージを受け取ったと感じた映画」をテーマにコメントを募集します!
みなさんのご参加、書き込みお待ちしています!!
マンチェスター・バイ・ザ・シー
アメリカ、ボストン郊外でアパートの便利屋として生計を立てるリー。ある日、兄ジョーの訃報を受けて故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ることになる。その後、遺言でジョーの16歳の息子パトリックの後見人を任されたリーだが、故郷は忘れられない過去が・・・
第89回アカデミー賞では作品賞ほか6部門にノミネート。プロデューサーはマット・デイモン。主演はケイシー・アフレック。元妻役はミシェル・ウィリアムズが演じている。
監督・脚本:ケネス・ロナーガン
出演:ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ、カイル・チャンドラー、ルーカス・ヘッジズ、カーラ・ヘイワード
ユニバーサル作品
配給:ビターズ・エンド/パルコ
2016年/アメリカ/137分
5月13日(土)シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
公式サイト:manchesterbythesea.jp
© 2016 K Films Manchester LLC. All Rights Reserved.
大倉眞一郎 おおくらしんいちろう
1957年熊本生まれ。
80年慶應義塾大学文学部東洋史学科卒業。大学では印度哲学を独学。同年、広告代理店電通に就職。88年J-WAVE開局に関与。その後97年までロンドン駐在の後、電通退社。同年10月からアジア各地をカメラ片手に旅して回る。その後、広告会社「タイノス」を設立。ユニクロのすべての広告活動を手がける。2007年9月タイノスを解散。再びアジアをプラプラすることになる。ヨーロッパ勤務中に身につけた世界市民的視野に期待。2003年09月に木楽舎より写真旅行記「漂漂」を出版。怒れるオヤジと称されるが、その語り口はソフトで定評がある。