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Nov. 09 2018
手を使って柔らかく包むケア、タクティールケアを紹介。
今日は、株式会社 日本スウェーデン福祉研究所のタクティールケアインストラクター 原智世さんに、【タクティールケア】についてお話を伺います。
タクティールケアはスウェーデン発祥のケア方法なのですが、どんなものなのか原さんに聞きました。
「タクティールがラテン語の“タクティリス”、触れるという意味があることから、タクティールケア。手をぴったりとつけてゆっくり動かし、相手の方に穏やかさと安心感を受け取ってもらうケアです。今は高齢者施設の方や保育園、病院の方が多いですが、一般家庭の中でもお母さんがお子さんに、ご夫婦でも使えるので、多くの方に学んでもらえたらと思っています。コツをつかんでもらったらどなたでもできますし、だれでも受けることができます。「手当て」は誰も習ったこないケアですし、それを手の持つパワーを再認識しながら行なうといった、スウェーデンから持ってきたケアになります。」
もともと、どうしてこのケアが生まれたのでしょうか?
「触れられることで自分の体を認識したり、保育器に入っている子達はまだお母さんのお腹の中にいると勘違いしている子もいると思うのですが、赤ちゃんも触れられることを赤ちゃんなりに認識しているのかもしれません。肌への刺激もいいことですし、認められていると思うかもしれない。生きていく上で人に認められた存在というのがないと、前向きにはなれません。それで認められたと思われる触れ方だと嬉しいと思うんじゃないかなと思いました。ですので最初は赤ちゃんのためのケアから始まったんですが、その後、障害のあるお子さんに向けてだったり、ガンの終末期の方だったりをケアしています。日本では、12年前から紹介をさせて頂いています。」
タクティールケアの具体的なやり方について聞きました。
「例えば、LiLiCoさんにタクティールケアをするとなると、こんな風に声をかけます。「LiLiCoさん、今日は背中に触れていいですか?10分間ほどお時間頂きます。ぴったり手を触れて、ゆっくり触れますがよろしいでしょうか?」と言ってOKが出たら、「「LiLiCoさんこれから背中のタクティールケアをします」とごあいさつして両肩に手を置きます。手の動きはゆっくり。もどかしくなるので、秒速5センチくらいのはやさでゆっくり触れていくのですが、これが人が快く感じる手の動きになります。例えばタクティールケアの一部だと、背中の真ん中に手をぴったりと置いて、そこからゆっくりとらせんを描くように背中を触れていく、それだけでも相手の方にあたたかさが伝わって気持ちいいって言って頂けるかもしれないです。」
最後に原さんは、タクティールケアをする時にどんな思いでおこなっているのでしょうか?
「リラックスしてほしいなとか、眠れない方なら質の良い睡眠が少しでもとれたらいいなと思っています。相手の方に身も心も向かい合っていると状態は相手の方に伝わります。どんなに手技をしていても、テレビを見ていたリ、隣の人に話しかけながらすると手技は変わります。手が浮いてきたり動きがはやくなったり、身も心も相手の方に寄り添っている状態がいいと思います。例えば、お母さんがタクティールケアを1歳8か月の息子さんに寝ている時にしていて、その子が楽しみにしていて、毎晩してとなるような状態だったり。またある時は、お母さんも眠くて「トントン」して寝かせようとしたら、「スリスリがいい!」って寝なかったっていう。このケアは家族のコミュニケーションを手伝ってくれるケアだと思います。日本の家族は触れる機会がないけど、触れ方が決まっていることでできることもあると思います。」
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