Nov 26 2021
低農薬栽培のサツマイモ『なると金時』
今日は今が旬のサツマイモ、徳島県の名産『なると金時』をご紹介します。
お話を伺うのは、プロ農家集団で『なると金時』のブランディングなどもされている株式会社農家ソムリエーず、代表取締役の藤原俊茂さんです。
『なると金時』は、徳島県で指定された5カ所でしか作られないサツマイモのブランド名です。約30年の歴史があり、現在は600軒の農家さんにより生産されている徳島県の名産品のひとつです。
藤原さんは、どうして『なると金時』を作っていこうと思ったのでしょうか?
「もともと私自身がサツマイモを作るのが好きだったということもありますが、一番好きになったきっかけは、自分が大学時代に勤めていた飲食店に、実家から送られてきたなると金時をおすそわけという形で持っていったのがきっかけなんです。料理長に調理をしてもらったときに、フロア全体にサツマイモの甘〜い匂いが充満しました。こんなに匂いがするのかと思うぐらいに匂いが充満して、食べたときにとても美味しかったんです。その時に初めて自分の家族、親、祖父が作っているさつまいもが、こんなすごいものなんだということを初めて実感したんです。それをきっかけにサツマイモは一体どのようなものなのかと考えるようになり、注目して取り組んでいったときに、もっと自分でもいいものを作っていきたいと考えるようになりました。『なると金時』の生産にこれだけ多くの人が携わり、ブランドができたということを自分も受け継いだ中で、次のステージに運びたい、また次の新しい後継者が入ってきてたときに『なると金時』を作っていきたいと思ってもらえるような産地にしたい。こういった気持ちから、現在この『なると金時』の生産に携わっています。」
現在、サツマイモには沢山の種類やブランドがありますが、『なると金時』にはどんな特徴があるのでしょうか?
「最近では、紅はるかや流行りの安納芋などは、非常にしっとりといいますか、少し水分が多くなおかつ甘さに特徴があるものが流行っています。『なると金時』はその製品とは真逆の性質を持ってまして、非常にホクホクとしたような舌ざわりと、甘みは麦芽糖という砂糖の成分が強い品種になっています。ですので「The・サツマイモ」といった風味と甘さを感じられるサツマイモです。一番にサツマイモの風味が出るのは焼き芋かと思っています。もちろん焼き芋もいいのですが、沢山ある場合には家庭料理にも非常に合うサツマイモだと思ってます。代表的なものを挙げますと、味噌汁です。具材として入ったときに、形が残るというのがなると金時の特徴の一つでで、安納芋や紅はるかなどは水分が多くてしっとりしているため、入れた後に溶けて消えてしまうんです。でも『なると金時』はホクホク系だから形が残ります。見た目にも、さつまいもを食べているという実感が得られるのも一つポイントです。もう一つのポイントとしては、甘さがそこまでとがっておらず自然な風味や甘さがあるので、味噌の味もそうですし他の野菜の味を邪魔せず、その中でもサツマイモの存在感を主張してくれる、なると金時ならではの良さがあります。個人的にはどんどん料理に『なると金時』を使って召し上がっていただきたいと思っています。」
農家ソムリエーずでは、『おさっち』という『なると金時』をつかったお菓子も販売しています。
「『なると金時』を100%を使用している商品です。全て国産の原材料、砂糖と油をメインに使っていて、砂糖は種子島産の『粗糖』という、非常にアミノ酸が多いサトウキビを原料として100%使っているものです。また油も、米油というお米を精米したときに出る米ぬかを搾った後に抽出される油を使っています。全て国内で作られたお米から、精油された油のみを使用している商品です。ここまで国産のものにこだりを持つ理由は、やはり農家として生産しているものは安全安心であってほしいという思いからです。原材料にはこだわって、『おさっち』というお菓子を作っています。やはりもっと『なると金時』を知ってもらいたいという気持ちがあり、『なると金時』がどこで作られているのかな、この『おさっち』がどういう商品なのかということを知ってもらいたい。広告塔としてお菓子をリリースさせてもらっているという、バックグラウンドがあります。 」
『なると金時』のこれからについて、こんなこともお話してくれました。
「もちろんサツマイモも食べてもらいたいという気持ちもあるんですが、生産地の風景を知ってもらいたいという想いもあるんです。『農家ソムリエーず』として、サツマイモを実際に生産している現場に赴いてもらい、そこでお客様に植え付けをしていただき収穫ができるという、体験オーナー制度をこれから設けていこうかと考えています。どのような場所で生産されているのか、作ったものがどのように収穫され、どんな味で楽しめるのかといったことが、実体験できるようなものを企画として挙げさせてもらっています。今後の取り組みの中で、徳島『なると金時』を知ってもらえたらなと思っています。農地を全てお客様向けに開放しようとも思っておりますので、ここの畝はこのお客様、ここはこのお客様といったように、指定もしていけるような取り組みをしていきたいと思っております。コロナの状況もあるので、なかなか徳島までいらっしゃる事が難しいかと思いますが、青空のもとで顔を合わせながら、これからのことを語り合っていけたらという気持があります。」