今回は、福岡県糸島市で海水から塩を作っている、新三郎商店代表の平川秀一さんにお話を伺います。
塩を作って23年の新三郎商店では、出来上がった塩を使っておにぎりを中心とした食事処や塩のスイーツを使ったカフェ、塩を麺にした塩そば屋を営んでいます。
塩の専売法廃止されたことをきっかけに、料理の仕事に携わっていた平川さんは塩作りを始められました。お店に来てもらわないと美味しいものを提供できないが、塩であれは広い範囲で提供できるということで、塩作りをスタート。平川さんは、キレイでおいしいと思った福岡県糸島の海水から塩を作ることを決めました。海水から作る塩には、大量で多くの種類のミネラルが含まれて味わい深く、そのミネラルの作用で素材の旨味を引き出してくれる作用があるそうです。
新三郎商店の一番人気は、『またいちの塩 炊塩』。細かい粒と、柔らかい塩味が特徴です。料理に使うと、素材の味をしっかりと表に出してくれて、塩の辛味が残りにくいお塩です。
新三郎商店のお塩は、立体式の塩田に800本の竹を逆さに吊るして、そこに海水をかけて、循環させながら濃縮していく過程を経て精製されます。天日によく干すことで、旨味がとても濃くなっていくそうです。そして濃縮した塩田から来た海水を大釜で、3日の間、60度で炊き続けます。そこから今度は小さな釜に移して、ご飯を鍋で炊くように温度調節しながら約2日間炊いていき、塩を結晶化させます。出来上がった塩の選別は、熟練のスタッフがピンセットを使って、ゴミを取るだけでなく、塩を数種類に分けていくそうです。
『またいちの塩』は、以前はビニールに入れたものが販売されていましたが、海水からの恵を受けて作ったお塩ということで、昨今のマイクロプラスチック問題に取り組むために、現在は紙カップ入りで販売されています。また燃料についても、なるべく二酸化炭素の排出量が少ないものを選んで使用されているそうです。