今回は、福井県越前市で有機のお味噌を作る、マルカワみそ株式会社 専務取締役の河崎紘徳さんにお話を伺います。
マルカワみそは1914年創業、大正3年から約110年にわたり味噌作りを続けてきた老舗の味噌屋です。
この会社の特徴は三つあります。まず、全国的にも珍しい有機味噌専門店であり、有機の味噌だけでなく、有機麹や塩麹、ぬか漬けなども取り扱っています。
マルカワみその二つ目の特徴は、伝統的な製法を守っていることです。木桶で味噌を仕込み、加温せずに長期熟成させる「天然醸造」を行い、昔ながらの製法を続けています。木桶とステンレスタンクでの仕込みの違いは、発酵に重要な菌の数にあります。木桶で仕込むと、味噌に多くの麹菌が住みつき、風味や栄養価が豊かになります。味噌は発酵食品であり、人間が作るというより、麹菌が作り出すもの。そのため、麹菌が快適に働ける環境を整えることが、味噌作りには不可欠です。木桶は麹菌にとって理想的な環境を提供し、結果として深い味わいの味噌が生まれます。
そして三つ目の特徴は、天然の麹菌を使用して味噌を仕込んでいる点です。このように、有機味噌専門であり、伝統的な製法を守り、自然の麹菌を活かして作られる味噌こそが、マルカワみその大きな魅力です。
河崎さんは味噌屋の子供として生まれ、幼い頃から食べることに大きな興味を持ち、高校卒業後に料理の勉強のため辻調理師専門学校に入学。その後、日本料理の板前として働き、退職した後は地元福井にUターン。その頃、父親から店を手伝ってほしいと言われ、一緒に働く中で有機味噌の価値に気づいたそうです。
有機味噌の魅力は、農薬や化学肥料を使わない持続可能な農業を支える環境価値と、有機味噌を通じてお客様の健康に貢献できる生命価値があると河崎さん。これらの価値に気づいたことで、有機味噌を広めたいと強く感じ、2007年にマルカワみそに入社されました。それ以来、この素晴らしい味噌の価値を多くの人に届けることを目指しているそうです。
マルカワみその一番人気は『自然栽培味噌 未来』です。この味噌には三つの特徴があります。
まず一つ目は、農薬や化学肥料だけでなく、有機肥料も使わずに育てた自然栽培で作られていること。非常に自然に近い環境で育てられた原料を使用しています。
二つ目は、使用する塩。韓国のピグミ島で1000年以上続く塩田で、天日干しだけで結晶化させた塩とキパワーソルトを混ぜて作っています。
そして三つ目は、伝統的な木桶で仕込んでいること。木桶職人に依頼して作られた新しい木桶を使い、100年後の未来にも続けられる味噌作りを目指しています。
もう一つのおすすめは「玄米麹」です。マルカワみその玄米麹は、自然栽培で作られており、農薬や化学肥料、有機肥料も使用していません。白米麹に比べて甘みは少ないですが、栄養素が豊富です。玄米の栄養素の95%は糠層に含まれており、白米はわずか5%です。昔の人々は、玄米の糠に多くの栄養があることを知っていました。玄米麹は味噌や塩麹作りにも使われ、特に食物繊維やビタミンB1が豊富です。