今回は佐賀県唐津市にある、国産のからすみを製造している株式会社唐津海の代表取締役の増本孝人さんにお話を伺いました。
からすみ作りを始めたのは約15年前で、初めてからすみを食べた際にその美味しさに感動。「自分でも作れないか」と思い立ち、試行錯誤を重ねた結果、友人たちにも好評なからすみが完成。子供たちが東京に出て行ったこともあり、空いた子供部屋を改装して本格的に生産をスタート。高価なからすみを自作することで味わえる喜びが原動力となり、約7、8年後には株式会社を設立されたそうです。
からすみ作りを始めた当初は地元・唐津で採れたボラを使用していましたが、漁獲量が減少し、仕入れ先を求めて九州一帯を探した結果、大分、宮崎、鹿児島などから国産の卵を調達し、「九州産からすみ」として提供されています。現在、市場に出回るからすみの多くは輸入物で、長崎産として知られているものも実際はオーストラリアやブラジル産の卵が使われていることが多く、国産は希少です。そこで株式会社唐津海では、九州産の新鮮な卵にこだわり、地域性を生かしたからすみ作りを行っています。
製法には特に手間がかかります。生の卵から血抜きをし、臭みを防ぐために丁寧に洗浄。その後、塩を施して一定時間寝かせた後、塩抜きを行い、板に並べて成形し、干すという流れ。味の調整には細心の注意を払い、保存性を保ちつつも辛味を抑え、より食べやすい仕上がりを追求しています。
唐津海では、形がそのままの「本からすみ」の他にも、さまざまなタイプのからすみを販売しています。その中でもおすすめは、「本からすみパウダー」。からすみは、もともとイタリア料理「ボッタルガ」として古代ローマ時代に伝わったもので、特にパスタに使われます。これまでは固形のからすみを購入し、必要に応じて自分で削ってパウダーにしていましたが、あらかじめ粉末にして販売することで手軽に使えるようにしています。からすみパウダーは和洋中のさまざまな料理に合い、例えば刺身や菜の花に振りかけたり、野菜料理にも使えます。特におすすめは「からすみ蕎麦」。冷たいそばを一度麺つゆにくぐらせてから皿に盛り、たっぷりのからすみパウダーをかけて食べるだけですが、蕎麦の味とからすみが絶妙に調和します。
また一口サイズのサイコロ状にカットされた「コロコロからすみ」もおすすめ。皮を剥く手間がなく、袋から出してすぐ食べられるのが魅力です。スタンド型袋に入っているため保存もしやすく、チャックを開けて少量ずつ取り出せます。パーティーのピンチョスとしても最適で、爪楊枝で刺してカブやチーズなどと一緒に食べると、さらに美味しさが引き立ちます。