今回は、去年11月に東京·人形町にオープンした『豆腐料理店 四方八方』をご紹介します。
こちらのお店は、豆腐の工房が併設されていて出来立ての豆腐を食べることができます。そして昼は豆腐を使った定食、夜はアラカルトで豆腐はもちろん、厚揚げ、お肉屋お肉と合わせたものなど豆腐の魅力を引き出せる料理を提供しています。
お話を伺うのは、『四方八方』の料理長の小澤聖さんです。小澤さんは和歌山県龍神村で、伝統的な地釜炊きの豆腐を19年作りながら料理人としても活躍されていた方です。
『豆腐料理店 四方八方』は、店頭で豆腐を作り、湯葉を引き、その出来立てをお客様に楽しんでいただくお店です。出来立ての豆腐や湯葉は本来、豆腐屋の特権でしたが、その美味しさを広めたいという思いから提供を開始。日本には多種多様な大豆があり味や香りも異なるため、月替わりで使用する大豆を変え、四季折々の風味を楽しめる工夫もしているそうです。冬には北海道の「音更大袖振」や兵庫県の「夢さよう」など、甘みやコクが異なる大豆を厳選し、最高の状態で提供しています。
小澤さんに、豆腐作りの楽しさを伺ったところ「豆腐は、大豆・水・にがりのシンプルな食べ物ですが、その奥深さに魅了されます。毎日大豆の状態が変わり水の吸収量や香りも違うため、同じ作業でも仕上がりが異なります。今日は最高!という日もあれば、どうしたの?と思う日も。それが飽きることのない面白さであり、五感をフルに使って作るからこそ、やりがいを感じる。」とお話ししてくださいました。
オススメのメニューとして、まずは出来立ての『汲み上げ豆腐』。豆腐の原料となる豆乳は小澤さんが信頼するお仲間に作ってもらっているそうです。そしてその豆乳ににがりを加えて豆腐に仕上げ、また温めた豆乳からは湯葉も引きます。シンプルながら奥深い味わいを大切にしているとのこと。出来立ての豆腐は、ふわっとした口当たりで、まずはそのまま味わい、その後、お好みで塩や醤油をつけて楽しみます。特に塩は、豆腐作りに使うにがりと同じ産地のものを使用しており。口に入れた瞬間、豆の芳醇な香りが鼻を抜け、同時に優しい甘さが広がります。この繊細な味わいを感じられるのは、まさに出来立てならでは。
さらにオススメは、『よだれ湯葉鶏』。ピリ辛のタレに茹で鶏を浸す定番のよだれ鶏に、とろっとした湯葉を組み合わせた一品です。湯葉のクリーミーさが加わることで、鶏の旨みがより引き立ち、口の中で絶妙なハーモニーを生み出します。湯葉・鶏・タレ、それぞれが引き立て合い、どれが欠けても成立しない美味しさで、辛さとコク、甘みが一体となるこの味わいは、まさに夢見心地です。