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Sep. 08 2017

秋の日本行事を楽しむ方法

秋は、様々な和の行事があるシーズン。例えば明日の9月9日は、5節句の《重陽の節句》、そしてお彼岸、10月には中秋の名月…といろんな行事があります。
そんな和の行事の本来の意味や、楽しみ方について、和文化研究家の三浦康子さんにお話を伺います。

まずは、季節の行事を楽しむ意味についてお話を聞きました。

「そもそも日本の行事というのは、単に季節を味わおうというものではなく、人の心を表現しているのでとても大事です。折々に見えない思いを、モノやコトに託して行うようになったのが日本の行事であり、とりわけ家庭で行う場合、家族の幸せを願う気持ちを託した「愛情表現」になっています。昔ながらの行事が今でも受け継がれているのは、文化を大切にしようというだけではなく、それが家族や関わる人たちへの愛情表現だということを感じているからです。つまり、日本の行事は「文化と愛情」がベースになっているので、人としての根っこを育てたり、成長するための栄養分になっていきます。私はこれを「行事育」と呼んでいますが、行事は巡る文化なので、毎年その時期がくるたびに、「思い出ボタン」が押されるように思い出がよみがえり、家族の絆や、人の心のありがたさを再確認できるのもいいところです。」

9月の和の行事について、まずは明日、9月9日の重陽の節句について。

「重陽の節句というのは、9月9日に菊を使って不老長寿を願う行事です。古来より、奇数は縁起のいい数字と考え、これを陽数といい、1月1日、3月3日、5月5日、7月7日というように、奇数が並ぶ日に行事をしてきました。9月9日は、もっとも大きな陽数が重なる日なので、重なる陽と書いて「重陽」の節句といい、いちばん大事な命にスポットをあてて、不老長寿や繁栄を願う行事をするようになりました。別名「菊の節句」といいまして、菊を浮かべた菊湯に入ったり、「きせ綿」といって、前の晩から菊の花に綿を被せておいて、夜露や香りを移した綿で体をふいて不老長寿を願う風習などがあります。それから、食用菊の料理や、栗の収穫祝いを兼ねた栗ごはん、この時期とれる秋ナスを食べて健康を願ったりします。」

今年は9月18日である敬老の日について、正しい過ごし方を聞きました。

「現在は9月の第三月曜日になっていますが、もともとは9月15日が「敬老の日」で、この日に、聖徳太子が「悲田院」という身寄りのないお年寄りや病人のための施設を作ったことから、「としよりの日」という記念日ができたのが始まりだといわれています。自分のおじいちゃんやおばあちゃんだけでなく、長年、社会や家庭のために働いてきたお年寄りは人生の大先輩ですから、そんな皆さんを敬い、元気で長生きしてほしいという気持ちを込め、「敬老の日」としてお祝いをするようになりました。ちなみに、母の日や父の日は外国発祥ですが、敬老の日は日本発祥で、祝日にもなっています。敬老の日には、贈り物をしたり、食事会を開いたり、気持ちの表し方はさまざまですが、先程お話した重陽の節句の行事食には長寿祈願の意味がありますので、食用菊や栗ご飯、秋ナスの料理などでお祝いしてもいいと思います。」

最後は、お墓参りをするお彼岸についてです。

「お彼岸は年に2回、春と秋にあり、お墓参りをする風習があります。なぜかというと、この時期はあの世とこの世が最も通じやすくなると考えられてきたからです。春のお彼岸は「春分の日」を、秋のお彼岸は「秋分の日」を中日にした前後3日、合計7日間をそれぞれさしますが、春分と秋分は、太陽が真東から昇って真西に沈むので、昼と夜の長さがほぼ同じになります。仏教では、死後に到達する悟りの世界を「彼岸」といい、西にあるとされ、私たちがいる迷いや煩悩に満ちたこの世は、東にあるとされています。そこで、太陽が真東から昇って真西に沈む春分と秋分は、あの世とこの世がもっとも通じやすくなると考えてお墓参りをするようになり、「お彼岸」と呼ぶようになりました。ちなみに、お彼岸に「おはぎ」や「ぼたもち」を供えますが、基本的には同じもので、春は、春に咲く牡丹の花にちなみ 漢字で「牡丹餅」と書いて「ぼたもち」と呼び、秋は、萩の花にちなんで「御萩(おはぎ)」と呼ぶようになりました。現在は、こうした違いにあまりこだわらなくなりましたが、季節感や、見えない思いをモノゴトに託して表す文化を感じることができるんじゃないでしょうか。」

三浦康子さん  ホームページ >>

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