こんぶ土居のスパイシーおつまみ
今日は、大阪府大阪市に店舗を構える『こんぶ土居』4代目の土居純一さんにお話を伺います。こちらのお店は1903年に創業、現在118年目を迎える老舗の昆布屋です。
歴史ある『こんぶ土居』で取り扱うアイテムのこだわりを聞きました。
「大阪伝統食文化の一つである大阪の昆布文化、それを担っています昆布の加工食品を製造して販売しております。家庭向け、料理人さん向けの雑誌、店舗などへ販売するのが仕事です。やはり昆布は全て自然の産物ですのでどの昆布をとっても、素晴らしいわけですが、やはり場所が違えば品種も違いますし、美味しさに差があり、昔から献上品に指定されてきたような昆布も存在します。品種となりますと、真昆布は天然物しかもある特定地域のものは昔から最高品として格付けされてきました。主にそちらの昆布を取り扱って製品を製造しています。うちで取り扱っている昆布は100%国産になりますし、輸入昆布も一部ありますが、昆布に関しては国産品が主というふうに申し上げられると思います。」
若いころは昆布屋さんではない仕事をしていた4代目の土居純一さん。3代目の父親の仕事に対する姿勢や、自分の家業の価値が分かってきたことからお店を継ぐことを決意しました。そして様々な製品を作る中であることに気づいて、“もったいない”という思いからこんな製品を作られたそうなんです。
「十倍出汁という、液体の濃縮出汁の製品を作っております。原材料は昆布、鰹節、商品によっては煮干を入れてる商品もありますが、自然素材のみで作った濃縮出汁で、このような製品自体が非常に稀だと思います。一般的な出汁の素には、自然素材以外のものも入っているものがほとんどです。自然素材のみというv倍出汁を長く作ってきたわけですが、出汁の中には実は昆布と鰹節などに含まれる栄養素がたいして溶け出てていないんです。おいしさの面で旨味が出汁の中に出ていってはいるんですが、例えば海のミネラル分であったりそういったもののほとんどが、出汁殻の方に残っているという分析結果を知るに至りました。美味という意味では良いのですが、体を養う栄養という意味では出汁殻を食べることがとても大事なんだということを発見しました。ただし出汁殻はそのまま食べても決して美味しいものではありませんので、これを美味しく誰もが食べたいような製品が作れないかなあと考え作り出したのが、『ミネラルいりこん』というい製品ですね。」
『ミネラルいりこん スパイシー』の味付けの監修をされてるのは、インドの弦楽器 シタール奏者である石濱匡雄さん。この美味しさの秘密はなんなのでしょうか?
「これを召し上がるとちょっと驚かれると思いますが、スパイシーと言っても一般的なカレー味というイメージとはだいぶ違います。スパイシーというネーミングで唐辛子の辛さが強いように思われるかもしれませんが、この製品は栄養を重視していますので小さい子供さんにも食べていただきたいので、非常にマイルドなあまり辛くない味付けになっています。様々なスパイスを使用しているんですが、最大の配合割合は青マンゴーの粉末です。マンゴーは果実ですので、皆さん甘さについて考えるかと思いますが、青マンゴーですので熟す前のマンゴーで非常に酸味があります。そのためこれは酸味を与えるための香辛料で、それがたくさん配合されているので酸味があります。東南アジア、例えばタイ料理などにも酸味のある食べ物が多いんですが、そういったものに近いかもしれません。味も材料それぞれに別々の味付けをしていまして、煮干しには青マンゴーの味を効かせ多少酸味のあるような味わいにしておりますし、昆布には甘味とコリアンダーパウダーの香りを立たせています。炒り大豆には何も味をつけていません。食感も違う味も違うものが一緒に口に入ったり、それぞれの材料を食べたり、その変化も楽しんでいただけるのではないかと思います。」
『こんぶ土居』さんでは、コンセプトのある海苔も販売しています。どのような思いで、海苔の販売を行うことにしたのでしょうか。
「『無酸処理焼き海苔』という商品名なんですが、普通の海苔の栽培では通常ほぼ間違いなくなされる酸処理をしていない特殊な海苔を販売しています。海苔は今はほぼ養殖をされた海苔が売られています。本来は野生に生えていたものですから、海苔の生育の特性というものが存在します。ところがたくさんの量を養殖しようとすると、沖合の方での養殖の場合もあり、本来の生育環境と違う状態で海苔を養殖せざるを得なくなってしまいます。本来の生育域ではないため、海苔が病気なるといったことが起きやすくなってきます。その際に、養殖中のりの網を船上に引き上げ船上に用意しておいた、酸性の液体に網ごと浸けてもう一度海中に戻します。これが酸処理という行為になります。しかし、その酸性の液体は医薬品というものでもあり、そういったものが海中にいくらか入っていくわけです。近年では海水が酸性化しているということが問題視されており、そういったことも含め環境悪化に繋がると思っています。海苔の美味しさの面から言いましても、病気になってしまうと売り物にならなくなってしまうので酸処理はやらざる得ないので、もちろん海苔業者さんも何も悪いことやってるわけでは決してないんです。でもどちらが良いかと言われれば、環境の面でもおいしさの面でもやらない方がいいというのは間違いないんです。そういったことも多くの方に知っていただきたいと思い、このような商品を作っています。」