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創業50年以上『山菜卸問屋 遠藤商店』に聞く春の山菜
春は山菜の季節。今回お話を伺うのは、山菜卸問屋である遠藤商店の遠藤初子さんです。
創業54年目を迎え、初子さん夫婦が2代目となる遠藤商店は、山形県内の日本海沿い庄内地方にあって、天然の山菜が3月20日以降から7月の初頭まで長く収穫できるそうです。
山菜卸問屋とは中山間地域に山を持っている家庭から、おうちの人が収穫した山菜を集めて回って流通に乗せるという、地元でも珍しい職業で遠藤商店ではその卸し以外にも、
2000年に「山菜屋.com」という通販サイトをスタートさせています。
まずは遠藤商店が取り扱う、山菜のこだわりについて聞きました。
「首都圏の方でも、パックに入ったふきのとうやタラの芽、行者ニンニクも販売されていると思うんですけれども、それはハウスで際促成栽培されている山菜になります。私達がネットショップを始めた時も、ハウス栽培のものを天然の山菜のシーズンだと思って消費者の方たちが食べるというのではなく、遠藤商店は山形にありますので、そのような山菜が出回るタイミングの山形は実際にはまだ雪も多く、これからが天然の山菜のシーズンであるということを消費者の方々にお伝えしたいという思いもあり通販を始めました。実際に山に入って採ってくるということで、完全無農薬ですし、肥料も一切与えてないようなものになります。やはり季節に沿って、次々に様々な山菜が出てきては終わり、また次の山菜が出てきては終わりという、その四季の流れを知ってもらいたいという思いもございます。例えば、東京で桜の開花宣言がありましたが、タラの芽もソメイヨシノの開花宣言と一緒に芽吹きが北上してくるんです。そんな面白い季節の移り変わりを知ることができるということもございますので、ぜひ皆さんにも知ってもらいたいと思っているところです。」
遠藤商店で扱う山菜、どんなものがあるのでしょうか?
「珍しいところでは、例えばカタクリの花だったり、あとは行者ニンニクとか、あと一般的ですがタラの芽、こしあぶらなどです。あとはアケビの芽というちょっと苦いような山菜であったり、通販で扱っているものに関して言うと、20種類ぐらいはあると思います。あとは首都圏の方の飲食店にネットでは販売していませんが、お届けしているような山菜もあります。おそらく皆さん、ウドは白くって1本ツルンとあの細い袋に入って状態を想像すると思いますが、あれは地中の中で日光を遮断して白くしているウドになります。うちで扱っている天然山ウドは根元がとても赤い感じがして、先の方に行くと緑の青々した葉っぱがあるというウドになります。おそらくスーパーで売ってるウドとは少々違うかもしれませんが、天然の山ウドは採ってすぐの状態や、まだそんなに大きくなってないものですと、皮をむかずに食べらrれるものもあります。天ぷらにすると、とても甘くなって美味しいんです。あと山間地の人たちが山に草刈りに行った時、昔は腰に味噌をぶら下げそこで山ウドを調達し、採りたてに味噌をつけて食べていたと、教えてくれるおじいちゃんおばあちゃんもいらっしゃいます。」
遠藤商店では、20種類の山菜を取り扱っていますが、遠藤さんが特に好きなのは、この山菜です!
「一番好きなのは山ウドです。茹でても蒸してもいいし、天ぷらも大丈夫だし煮物もいいですし、豚肉との相性が良く、様々なバリエーションでお料理ができるので、私は山ウドが一番大好きです。最近のおすすめは、バラ肉を巻いてフライパンに油をひいて、火を通した後に調理酒とお砂糖とお味噌でタレを作り、田楽味噌のような感じで絡め、蒸し焼きにして食べるのに最近ハマってます。山菜料理というと、皆さんハードルが高いとイメージされていると思います。でも一番簡単なのは、どんな山菜でも茹でて、マヨネーズ、もしくはマヨネーズ+醤油、+味噌などでディップを作っていただいて、和えて食べると大概の山菜は美味しくいただけます。山菜は、全般的に味噌や油との相性もいいですし、油に関して言えば、最近はオリーブオイルとも相性もすごくいいです。あとは牛乳やチーズなどの乳製品だとの相性もいいです。お料理が好きな方はこれらの組み合わせで、様々なバリエーションができると思います。パスタはもちろん、グラタンもできます。フキノトウで言うと、この辺では天ぷらだったり、「ばんけ味噌」といって、味噌と砂糖と調理酒とで炒めて味付けをすしたものを白いご飯の上にのせて食べたり、豆腐の上にのせて食べたり、そんなふうな食べ方をしています。」
最後に遠藤さん、山菜問屋を続けていてよかったなと思うことをお話してくれました。
「結構、やはり中山間地域は過疎化などの様々な課題も抱えているんですが、私がこの仕事をしてきて、中山間地域のお父さんお母さんおじいちゃんおばあちゃんたちが採ってきた山菜をこの時期に毎年1軒1軒訪ね歩いて集めることによって、特におじいちゃんおばあちゃんたちは「遠藤さん来たから今年も山に行かなきゃね。」なんて話をしながら「冬は家の中にこもってたけど、もちょっと山に行ってみようかな」と、楽しみの一つにしてもらえてるということをこの仕事をしていて、とても嬉しく思っていることでもあります。また、こちらの田舎から都会の方に仕事で出ていて、春になると田舎のお父さんお母さんが山菜を送ってくれて食べていたとか、お客さんの話の中では、普段はそんなに会話があって食事をするわけじゃないんだけども、通販で購入したタラの芽を食べてたら、おじいちゃんおばあちゃんたちが「山菜ってこんな味したんだよなぁ。」と、食卓での会話がとても弾んだ、という話を聞いたりすると、やっぱりこの仕事をやっていてよかったと思います。」
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