今回は、新潟県新潟市にある有限会社 エフディーの取締役の萩野光宣さんに、冬の贈り物にもぴったりな国産の湯たんぽをご紹介していただきました。
有限会社 エフディーは、新潟に拠点を置く工業デザイン事務所で、約30年前に個人事業として創業し、1999年に法人化。創業当初は受託デザインを主軸に活動していたところ、ここ10年ほどで自社商品を企画・製造・流通させる事業にも取り組み、新潟の製造業者とのネットワークを活用し、地域の技術を活かした商品開発を推進。「デザイン事務所が自ら商品を流通させる」という新たな形で、デザイン業の可能性と社会的意義を発信している会社です。
商品を企画から製造、販売まで一貫して手掛けており、市場に商品を出す際、お客様からのフィードバックを得て、それが次の製品開発に生かされているそうです。例えば、湯たんぽのカバーは今年で10年目の製造に入り、当初の効率的な生産を重視した姿勢から、近年では国内製造の強みを活かした人の手を介したものづくりを再評価。今年のモデルでは職人の技を取り入れた製造方法を採用しています。このような取り組みを通じて、顧客のニーズに応えるだけでなく、ものづくりの新たな可能性を追求しています。
湯たんぽの企画は、工場からの相談をきっかけにスタート。当時、楕円形が主流だった湯たんぽの中で「サイズが小さく扱いづらい」とされる製品を試しに使ってみたところ、コンパクトさが問題にならないことを実感。さらに、アウトドアやキャンプの需要を考慮し、小型サイズの需要があると見込んで商品化を決定したそうです。その背景には、生活スタイルの変化も影響しています。以前はやかんでお湯を沸かすのが一般的でしたが、近年は電気ポットの普及により小型湯たんぽでも手軽に利用可能となり、使用シーンが広がる可能性を感じるなど、こうした視点を訴求することで、共感を得られる商品となると確信し、プロジェクトを進めたそうです。
その湯たんぽの用のカバー作りでは、肌触りを重視し、超長綿やスーピマ綿などの高品質な糸を使用。今シーズンは無撚糸を採用し、柔らかくふんわりした風合いを実現。ざっくりした編み目の表面デザインと、内側には織物のカバーを組み合わせた二重構造で安全性も確保しています。この製品は、製造者と意見を交わしながら二人三脚で作り上げたもので、商品開発のすべての過程で共同作業を重視されているそうです。