今回は、茨城県行方市で有機パクチーやハーブを作って35年以上!『ハーブスマンs』の福山久之さんにお話を伺いました。
天候で大きく左右される農業。この冬はどんなことが大変だったのかを伺ったところ、ここ数年、夏の猛暑と冬の寒さが続き、今年は特に乾燥がひどく11月から2月までほとんど雨が降らず、畑の土は粉のように舞い上がるほど乾燥。風や大雨で表面の良い土が飛ばされたり流されたりするため、これからの農業は気候変動を見据えた工夫が必要だと、福山さんはおっしゃっていました。
そして現在、畑には小松菜とアレッタ、露地物のパクチーが育っているそうです。去年蒔いたパクチーは冬を越え、今、春の陽気とともにぐんぐん新芽を伸ばしている真っ最中。寒さを耐え抜いた根は土の奥深くに張り、エネルギーを吸い上げて力強く育ちます。冬の甘みは春にはえぐみや苦味へと変わりますが、それもまた瑞々しく、後味の良い春ならではの味わいとなっています。
パクチーはそのまま刻んで料理にふりかけるのも美味しいですが、最近のお気に入りは「パクチー味噌」と福山さん。刻んだパクチーに味噌、調理酒、みりんを混ぜて作ります。豆腐やご飯、パスタにのせても絶品。ふきのとう味噌のような香りと爽やかな後味がクセになる一品です。
そしてなんと農園にコウノトリが訪れるようになったそうです。去年はすぐ近くで4羽のひなが巣立ち、さらにスタッフにも赤ちゃんが誕生。開園当初から福山さんが目指していたのは、生き物たちが集まる“森”のような農園。地上には植物や虫、動物、そして土の中には見えない菌や微生物、根が張り巡らされ、みんなが繋がっている。そんな豊かな生態系を感じるたび、畑に命が溢れていることを誇らしく、嬉しく思っているそうです。