今週は“クイーン・オブ・ソウル”そして“レディ・ソウル”『アレサ・フランクリン』のPart2。ゲストには引き続きシンガーの福原美穂さん、音楽評論家の吉岡正晴さんをお迎えしました。
■女性としてのアレサ
吉岡:60年代後半からフェミニズムの運動が起き上がってきたんですけど、それをアレサとか当時の女性アーティストが率先して声高に喋るようになるんですね。例えば「Respect」っていう曲はまさにウーマンズ・リブの象徴的な楽曲になるわけですけど、それまでは男社会で男が家庭で威張っていた。だけど女の私にもちょとした尊敬の気持ちを持ってくれっていうのを曲の中で歌うわけですね。それはウーマンズ・リブの主張を広めて当時の女性たちを凄く勇気づけた。アレサはそういう社会的なメッセージも語るようなそんな存在でもあったわけですね。
福原:彼女のお父さんが教会で牧師さんをやっていた時代から、いろんな人たちを見てるわけじゃないですか。彼女自身も母親が家を出ていってしまうという歴史があって、相当苦労されたと思うんですけど、そんな中で音楽で一緒に共鳴し合っていくとか、男性にはできない抱きしめる優しさだったり、それを誰よりも先に率先して今の音楽業界の中でやってきた人だっていうのを感じる。アレサがそこに居たら誰もが“ママ”ってなっちゃう感じを音楽でプロフェッショナルとしてやることをやってきたっていうのが凄いと思いますね。
■名盤『LADY SOUL』
福原:それまでコロムビアで出していたアルバムはなかなか売れなかったんですね。それでアトランティックに移籍してジェリー・ウェクスラーと一緒にメンフィスに行ってマッスル・ショールズの人たちとスタジオで作業した一枚目のこのアルバムで2位と獲っちゃうんですね。ジェリー・ウェクスラーの自伝でも書いてあったんですけど「とにかくアレサをどうやって料理したら良いか、それまでのコロムビアのチームにも解らなかった。彼女の会ったときに“あ、この人放っておけば良いんだ”って思った」って。それでスタジオに入れてアレサがピアノを弾き出した瞬間に全員白人のミュージシャンたちが泣きながら演奏するっていう、そのエモーションとパッションと場を握って進んでいくアレサの人格ですよね。人として凄い人だったっていうことを言っていて、ソングライターだっていうのをあまり知られていない、それを打ち出したのはこのアルバムだと思うんです。名盤だと思います。
■吉岡正晴さんが選ぶ「アレサのナイスコラボ曲 TOP3」
吉岡:最初言われたときに頭抱えちゃいましたよ、そこ来るかと(笑)
頑張って選びました。
第3位:Gimme Your Love <with James Brown>
キング&クイーンですからね、まさに(笑)バチバチのバトルです。
第2位:Love All The Hurt Away <with George Benson>
80年にアリスタに移って、クライヴ・デイヴィスっていう人がアレサを導いていくんですけど、70年年代後半ちょっとアレサの人気が落ち気味になって、それを巻き返さなきゃいけないって事で策を練るんです。そんな中でジョージ・ベンソンとコラボするんですね。これは曲が良かったというのもあるんですが、大ヒットするんです。当時凄く新鮮に受け取りました。
第1位:Sisters Are Doin' It For Themselves <with Eurythmics>
アニー・レノックスが結構がんばってるんですよ。アレサとアニーがバトルするんですけど、どう考えてもアレサにかなわないんだけども、でも、がんばってるんですよ。本当にチャレンジしてるっていうか、大クイーンに挑む感じの、挑戦してるところが良いんじゃないですか。
■アレサが愛される理由
福原:自分の弱さを見せたところじゃないですかね。12才ではじめて子供を産まなきゃいけなかったとか、その後、違う男性との間の子供を14才で産んでるんですよね。5人兄弟で育って母親も居ない、教会のことも父親のお手伝いもっていう中でサヴァイヴしてきたことで、音楽で自分の弱さを出していく事が、当時の時代背景とか、人種差別、性差別みたいなところがある中でみんなを勇気付けてきたから共感されたんじゃないかなという風に思います。
吉岡:苦労人なんですよね。25年間ぐらい辛いことの方が多かったと思うんですね。でも67年25才を境にヒット曲が出るようになって、自分はクイーンになってきた。何年かして自分はクイーンだっていう自身が出てきて、その後は世界中が彼女をクイーンだと崇めるようになって、さらにそれが自身になっていく。それから後は30年40年クイーンのポジションにつくことになるんですね。
■キャッチコピー
福原美穂さんのアレサ・フランクリンとは…「悲しみのマリア」である。
弱さとか自分が苦労してきた事を、オープンに音楽にぶつけた人だと思うんですね。だから故、いろんな人が共感したり泣けたり洗ってもらったり、そんな存在であると思うんですけど、彼女が歌ってるシーンで凄くハッピーそうだなって思ったシーンって無いんです。いつも孤独はあった人なんだろうなっていうのが歌を聴いてるとすごく感じる。だからこそクイーンだし、悲しみを感じますね。
吉岡正晴さんのアレサ・フランクリンとは…「SOULの女神、世界のママ」
音楽的に言えば、間違いなくソウルの女神ですよね。それで彼女の存在自体が世界中の男性にとっても女性にとっても母性表す世界のママ的存在。ビッグママ。そんな感じの存在なんじゃないかと思います。
最後の一曲は「Respect」で2週に渡るアレサ・フランクリンは幕を閉じました。
■この収録は大手町パークビル内 三菱地所 新オフィスで行なわれました。
PLAYLIST
Think!(from「The Blues Brothers 」)/ Aretha Franklin
Day Dreaming / Aretha Franklin
I Say a Little Prayer / Aretha Franklin
Sisters Are Doin' It For Themselves / Aretha Franklin & The Eurythmics
Joy / 福原美穂
Respect / Aretha Franklin
※放送後1週間はRadiko タイムフリーでお聴きいただけます。
■福原美穂さんの詳しい情報はオフィシャルサイトへ
■吉岡正晴さんの詳しい情報はオフィシャルブログへ