今週のレジェンド・ミュージシャンは、今や日本を代表するポップアイコンとなったPerfume!ゲストは、ギタリストのマーティ・フリードマンさん、アーバンギャルド 松永天馬さんをお迎えしました。
■Perfumeとの出会い
マーティ:Perfumeがデビューの時に、僕は中川翔子さんとガールズ・ポップの番組をやってたんですね。そこで『Baby cruising Love』のジャケットを見たらもう興味津々で、中身はどうでもジャケットで買うぐらいアーティステックで美しい天使のような存在感。絶対中身も悪くないと思ったんですよ。そしてPerfumeのロゴのフォントがカッコ良かった、超未来的でした。僕はロックとかメタルから来た人だから、ロゴ1発で音が伝わってきますね。だから一体どんな音楽が入ってるんだ?って興味津々。そして実際音を聴いてみたら、期待を越えた。未来的なんだけどちょっと懐かしい部分がある。ヴォーカルの解釈が面白くて、ずっと聴き続けました。スルメ感があった。歌声が人間じゃないでしょ、人間じゃない声ってどこにでもあるじゃないですか、それで意外とつまんない。Perfumeの場合は人間じゃない感がすごく美味しかった。だからもしかしたらこの写真の3人じゃないかもしれないってぐらいのプロジェクトって感じで新鮮でした。
松永:2006年ぐらいだと思うんですけど、YouTubeと出来立てホヤホヤのニコ動に、アイドルマスターっていうアイドルを踊らせるゲームの絵にパフュームの曲をのせたミュージック・ビデオみたいなものが大量発生していたんです。それで曲が良いからだんだん話題になり始めて、どうしても目に付くようになって。基本的にはハウス系のサウンドだと思うんですけど、そこにテクノポップのようなちょっと可愛らしい音が鳴ってて、さらにヴォーカルは、当時女性ヴォーカルの支流だった歌い上げるものに対して、彼女たちはすごくリラックスして歌ってるんですよ。これって同時代的に見ると、初音ミクとかと近い現象なんですよね。打ち込みの激しい音楽やテンポのある音楽に対してヴォーカルはリラックスしてる、それにオートチューンをかけたりヴォコーダーを使ったりしてっていうのが当時凄く印象的でしたね。
ー本人たちのヴィジュアルイメージが後からきた時はどうでした?
松永:もちろん、可愛らしいし、ダンスもめちゃくちゃカッコ良くて、でもMCとか番組に出てるのを観ると、もの凄く広島弁を使いまくってるじゃないですか。あの人間味のあるギャップにビックリしましたよね。
■当時は死語だった『テクノポップ』
2007〜8年当時の“テクノポップ”っていう言葉は、言ってしまえば完全に死語だったんですよね。80年代の前半に流行ったY.M.Oを筆頭とする当時のシンセサウンドの歌謡曲、ナツメロだよね。っていう認識を世の中のひとが持ってる中で、パフュームは“テクノポップ”っていう言葉を打ち出して、“テクノポップ”っていう言葉の纏ってる意味合いを完全に更新したんですよ。それはやっぱり新しいサウンドにヴォーカルの捉え方を変えるっていう発明したからだと思うんですね。今聴いても新しく感じるし、当時聴いた時、だれも聴いた事がない音楽を聴いてるなっていう印象がありましたね。
■いちばん聴いたアルバム
ーお二方とも『GAME』ですね。
マーティ:僕は『GAME』の武道館ライヴを観ました。あまりに印象的で考え方が変わりました。それまではギター無しの音楽って力が無いって思ってて、でも僕はオープンマインドだから必ずギター入れなくても良いって、いつも思ってたんですけど、でもギターの力のあるサウンドは他には出せないって思ってたんです。でもPerfumeの武道館ライヴを観たら、ギターいらん(笑)ライヴのパワー、低音の太さ、存在感がギターが無くてもあった。そしてお客さんはクラブのパーティピープルじゃなくて、普通のロックファンみたいな感じでした。AC/DCのライヴのお客さんって感じ。でも内容はAC/DCから遥か遠い。でも気持ちはAC/DCと似てる。だから太い、デカいギターの存在感が未来的にアップしました。
松永:僕はですね、ベースの低音のカッコ良さだったり、当時パフュームって全体的に白い衣装とか柔らかい衣装を身につけてたのが、ここで真っ黒い衣装を着たんですよね。これがちょっとアグレッシブな感じがして。アルバムの流れとしても、一曲目の『ポリリズム』から最後の『Puppy Love』まで気持ちよく聴けるんですよね。良い意味で全くアイドルのアルバムじゃないなって。カッコイイんですよね、クールだし。
マーティ:『ポリリズム』も考え方が変わった曲ですね。普通のダンスミュージックって変拍子は無いじゃん。こんなプログレッシブな曲をリードシングルを出すなんて、カッコイイ。
■マーティ・フリードマンが選ぶ「海外の音楽シーンに売り込みたい!知ってほしい!Perfume曲」 TOP3!
3位:無限未来
海外の音楽シーンとそんなに変わってないです。ライトなPerfume。
現代のアメリカのちょっとEDMっぽい聴き易い音楽に近いと思いましたので、もしかしたらアメリカ人は可愛いなって思ってくれるかもしれない。
2位:GAME
GAMEの力、重さ、シンプルさ、誰でも楽しめる。
1位:ポリリズム
僕は、捻ってるとか、変態とか、チャレンジングとか難しいとか、トリッキーな事がポップミュージックに出てくると、反逆者の気持ち、非常にに大好きです。アメリカ人のミュージシャンにも聴かせてます。そうすると“え?これは日本のチャートの上位ですか?この難しそうなセクション。良いなぁマーティ、ズルいなぁ、そんな良い国に住んでて”っていつも言う(笑)
■新鮮さを更新していける存在
松永:もう13年なんですね。今聴いても懐かしさを感じないんですよね。サウンドが未だに新鮮なままだから。この新鮮さとか新しさをどんどん更新していける存在なんだなぁって事を思いましたね。
マーティ:おっしゃる通り、古臭くならないですね。未来的なレトロってなんか良い表現ですよね。なんかレトロって凄くダサくなる可能性が高い、なのにどこもダサいところがないんだよね。
■この収録は大手町にあります次世代オフィス「3×3 Lab Future」で行なわれました。
PLAYLIST
Baby cruising Love / Perfume
コンピューターシティ / Perfume
ポリリズム / Perfume
チョコレイト・ディスコ / Perfume
The Perfect World / マーティ・フリードマン feat. Jean-Ken Johnny, KenKen
無限未来 / Perfume
※放送後1週間はRadiko タイムフリーでお聴きいただけます。
■マーティ・フリードマンさんの詳しい情報はオフィシャルファンサイトへ
■アーバンギャルド 松永天馬さんの詳しい情報はオフィシャルサイトへ