今週のレジェンドミュージシャンは、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団との新作アルバムも話題の『カーペンターズ』ゲストには音楽プロデューサーの亀田誠治さん、シンガーの野宮真貴さんをお迎えしました。
■カーペンターズとの出会い
亀田:僕の記憶の中では、ラジオ。70年代前半、小学校2年生のとき。家でラジオを聴いていて、しょっちゅうカーペンターズがかかるんですよ。『TOP OF THE WORLD』を聴いてわくわくしました。日向で聴く音楽のような感じがして、キラキラというよりは暖かく包んでくれるような、健やかで一点の淀み無し!みたいな音楽が流れてきて、一発で虜になってしまいました。人生の中にずっとあって離れない。いつも聴きたくなる。やっぱりね、幸せな気持ちにさせてくれるんですよね。10代20代30代40代50代になった僕にも、いつもおんなじ形で贈り物が届いてくるみたいな感じなんです。
野宮:出会いはね、私も小学生の頃ですね。1971年11才のとき、家にステレオが来たの。それまではポータブルプレーヤーぐらいしか無かったんですけど、父が私のために、当時流行ってたレコードを買ってきてくれたんです。その中の一枚がカーペンターズのLPだったんですね。それまでは歌謡曲しか知らなかったんですけど、カーペンターズは英語でしょ。まだ英語を習う前だったので、外国語ってこと自体も新鮮だったし、明るい歌謡曲しか聴いてなかった少女にとってはすごい大人っぽい音楽っていうのかな。でも聴けば聴くほどメロディが凄く入ってきて、歌いたい!って思ったんですけど、英語が解らないので、何度も何度も聴いて、耳でコピーをしてカタカナで書き起こして、なんか適当な英語で歌ってました。(笑)歌わずにはいられなかった。
今思うとね、最初に出会った1971年にA&Mっていうレーベルから出ていて、渋谷系のルーツってそのA&Mレーベルの音楽家たちから凄く影響を受けてるんですね。だから初めて洋楽を聴いたとき、もう既に渋谷系を聴いていたんだっていうのを、割と最近気づいたんです(笑)
■亀田さんがいちばん聴いたアルバム
亀田:こちらね『BEST OF BEST+ORIGINAL MASTER KARAOKE』っていう90年代のあたまにですね、カーペンターズのベストなんですけども、リチャードの立ち会いの下で、カレンのヴォーカルを抜いてカーペンターズのサウンドそのままのカラオケCDが本当に限定発売かなんかで出てたのを僕は見逃さなかったんですよ。当時僕はプロのアレンジャーとして仕事を始めたばかりで、とにかく夢中になって聴きました。自分をときめかせたあのカーペンターズのサウンドのアレンジが隅々まで聴ける訳ですよ。ストリングスのラインはどうなってる、とかコーラスのいちばん下はこうなってるんだ、とか全部ここから勉強して。とにかくね、リチャードが磨いて磨いて削ぎ落として削ぎ落として、しかもカレンの歌のためにスペースを開けて、全部の楽器がメロディを奏でているっていうアレンジなんですよね。いちばん聴いて欲しいのは『SUPER STAR』。バースに入るときね、カレンの歌が無いんですけども、当時のアナログの24チャンのテープってクロストークって言って隣のチャンネルに歌がちょっと漏れちゃってるの。これね号泣なんです。始めはね、アレンジの研究心から聴いてたけど、なんかそんなものを忘れさせてくれる。カレンこのオケの上で歌ってたんだっていう。
むしろカレンの存在がいちばん大きく感じられてしまったんです。
■亀田さんが思う「アレンジャー:リチャードの手腕が光る楽曲TOP3」
3位 Yesterday Once More
中学生になれば解る英語の歌詞。タイトルだけで思い出とか昔に戻ってくっていう想像が広がっていくの。リチャードの手腕が光るっていうのはなんといってもすべてのオーケストレーションやアレンジが今のポップスのレコーディングの雛形になってるんです。それを名曲に仕上げたリチャード最高。
2位 Superstar
日本人の心に刺さる侘び寂びっていうか、ちょっとマイナーなんだけどサビにいくと、ふわっと広がっていく感じ。サビでねリズムが倍になるんですよ。ここでリチャードは人の気持ちが高まっていく様子をちゃんとアレンジでサポートしている。しかもこれバンドの演奏がたまんなくいいグルーヴを出してるんです。もう最高の隠し味!
1位 Top of the world
小学校2年生の心を掴んでしまうサウンド感です。明るいでしょ、ペダルスティールみたいなカントリー的な楽器が入っていて、希望っていうか明るさを与えていて、あとはウーリッツァーっていうエレクトリックピアノなんですけども、ウーリッツァーっていうのはジュークボックスの会社なんですよ。要するに民生用です、家庭で使うような。
リチャードは新しい楽器を使ったり、通常使われないアプローチ、ミクスチャーだと思うんですよ。カントリーミュージックとロックミュージック。民生用の楽器っていう、もう本当に音楽が好きで音楽の実験室にいる科学者みたいな感じがする。
まだまだ続く『カーペンターズ』次週もお聞き逃しなく!
*この収録は、大手町パークビル内 三菱地所の新オフィスで行なわれました。
PLAYLIST
I Won't Last a Day Without You(愛は夢の中に)/ Carpenters
Superstar / Carpenters
Sing / Carpenters
Yesterday Once More / Carpenters
アイノカタチfeat. HIDE(GReeeeN) / MISIA
Top of the world / Carpenters
※放送後1週間はRadiko タイムフリーでお聴きいただけます。
■野宮真貴さんの詳しい情報はオフィシャルサイトへ
■亀田誠治さんの詳しい情報はオフィシャルサイトへ
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