今週は日本のロック、パンクシーンに多大な影響を与えた、まさに伝説のバンド『THE BLUE HEARTS』ゲストには、ザ・スターベムズ 日高央さん、Hermann H.&The Pacemakers 岡本洋平さんをお迎えしました。
■ブルーハーツとの出会い
日高:中学生だったんだけど、だいたい同級生で耳ざといヤツって居るじゃん。その友達が「JUST A BEAT SHOW」っていうライブハウスに出てるバンド達のコンピを持ってて、オレたちはそれをハイエナのようにダビングさせてもうわけ(笑)今の耳で聴くと音質も悪いし、ライブバージョンだったりするから、ぜんぜん荒削りなんだけど、それまでパンク・ロックってラフィン・ノーズだったり、ウィラードだったり、いろんなバンドいたけど、基本は英語ベースでUKのハードコアでっていうのが割と常識としてオレたちの中にはあった。そこに日本語のストレートな歌詞でっていうのが新鮮だったというか。でもこれはブルーハーツなりの差別化なんだなって。たぶんこの人達はわざと他のバンドがやらないようなことをして日本語でストレートにやってんだろうと。とにかくオレもそうだけど、周りのみんながどんどんハマってったからオレが買わずしても誰かが持ってるから(笑)楽して聴けて良かった。極論を言っちゃうとメロコア的なものの走りだった。日本語なんだけど説明的じゃないんだよね、そこが不思議だった。シュールじゃない、日本語なのに。そこがねみんなの心をグっと掴んだ理由なのかなって思いますけどね。
岡本:僕はもちろんリアルタイムではないので、姉貴ですね。4才歳上の姉貴が居て、いつも家とか、家族で移動する時のクルマの中とかでブルーハーツかTMネットワーク(笑)。でも男の子心にはブルーハーツ。いちばん最初に『キスしてほしい』で“もうやられた”みたいな。小学校3年か4年ぐらいなのかなぁ。そこから彼らがテレビに出てきた。そしたら目玉ギョロギョロで舌ベロベロで、ポッキーみたいなヒロトが暴れまくりながら歌ってる姿を見て“オレがやんなきゃいけないこともコレかも知れない”みたいな、小学生ながらに。
やっぱオレの中では“言葉”がキタんだと思う。なんかそれまでは親が聴いてるものが耳に入ってくるぐらいじゃない?小学3年生ぐらいだと。自発的にコレ好きなのかもって思っちゃったのがブルーハーツだった。
■ブルーハーツの音楽性
日高:オレはすでにブルーハーツ知ったときギター弾けたから音楽的に聴いてるんだよね。まず曲作りに関して、パンクロック的な観点で聴くと、相当ポップなの。シンプルで単純だし、割と3コードメインだし。当時は気づいてなかったけど、いま巡り巡って大人になって考えると要は日本におけるラモーンズなんだよね。プログレだったりグラムロックだったり色んなものが出てきた70年代に一回ちょっと3コードで清算したじゃん、それがラモーンズだったんですよ。たぶんブルーハーツは80年代の日本におけるそういう存在だったというか、ごちゃごちゃしちゃったパンクシーン、インディーズシーン“1回ちょっと整理しようや”みたいな印象が凄くあった。それはマーシーさんの曲がオレの中ではデカかった。結構オールディーズっぽいコード進行なんだよね。ミドル8ビートで、3コードに一個足してちょっと切なくするみたいな。そういうテクニカルな曲が真島さん多くて、弾き語るとちょっと暗いんだよね。あんま明るくない。そういうエモいみたいなことの最初の人でもあるのかなと。ポップなメロディなんだけど、ちょっと切なさを残す。やっぱエモいものに惹かれちゃうよね。
■ブルーハーツからの影響
岡本:細かく言えばどこにどんな影響を受けてるとか言えないぐらいあって、やっぱなんか未だに漠然とブルーハーツ聴きたくなったり、観たくなったりすることがあるんですね。なんかそれって自分が弱ってる時だったり、ちょっとしょぼい時とか。結局ロックンロールって何なのかって言ったらわかんないけど、僕らもその世界でロックミュージックをやってきた訳だけど、長年やりながら“ダメなのかもな”とかってことももちろんあるわけで、でもそれでも“ちゃんとやり続けるぞ”って聴く度にまた信じさせてくれる。ブルーハーツの音楽っていうのはそういうパワーがあるなって。
■日高央が選ぶ「若者よ!この曲も聴いてくれ!」TOP3!
3位 手紙
ビートルズっぽいんだよね。初期のイメージしかないひとたちには意外だろうけど急にビートルズしてくるんだよね。サージェント・ペパーズみたいなことをやりたかったのかなぁって。当時このツアーぐらいからアコ・セットも取り入れるようになって、それもエモい涙を流したい客に対するアンチテーゼというか。そんだけじゃねえんだぞ、って見せてた感じもする。
2位 すてごま
オレたちを捨て駒にしろ的なね、リスナー全体に向けたアンチテーゼというか。自分が捨て駒にされちゃうかもしれないし、逆に捨て駒として誰かの役に立てるならいいじゃないかっていうそういう意味もあった。ただただ悪口とか嫌味だけを言って終わりじゃないっていうか、ちゃんと完全中和なストーリーにまとめてくれるのもブルーハーツの魅力のひとつ。
1位 イメージ
それまでの『トレイン・トレイン』までがたぶん皆さんが思うパブリック・イメージ的なブルーハーツ。ここからのブルーハーツは違うよっていうイメージの打ち出しとともに、HIGH-LOWS、クロマニヨンズの流れの最初でもある。マーシーさん、ヒロトさんの挑戦状の最初のスタートだった。
まだまだ続く『THE BLUE HEARTS』次回もお聞き逃しなく!
■この収録は「丸ビル コンファレンススクエアGlass Room」で行なわれました。
PLAYLIST
人にやさしく / THE BLUE HEARTS
キスしてほしい / THE BLUE HEARTS
ロクデナシ / THE BLUE HEARTS
リンダ・リンダ / THE BLUE HEARTS
アクション / Hermann H.&The Pacemakers
イメージ / THE BLUE HEARTS
※放送後1週間はRadiko タイムフリーでお聴きいただけます。
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■Hermann H.&The Pacemakersの詳しい情報はオフィシャルサイトへ