今週のレジェンドは、今年メジャーデビュー50周年!昨日、日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞!間もなくNewアルバムをリリースする『細野晴臣』ゲストには音楽家 INO hidefumiさん、マルチ弦楽器奏者 高田漣さんをお迎えしました。
■細野晴臣との出会い
INO:小学生の運動会、大玉転がししてるバックで「ライディーン」が爆音でかかってました、それが最初の出会いかな。アガるんですよアレはやっぱり。オッフェンバックの「天国と地獄」と同じ感じでかかってたんですよね、その2曲が。アドレナリンが凄く出る曲でしたね。僕は初めて買って貰ったレコードが「ライディーン」の7インチなんですよ。最初は歌詞も英語だったから洋楽だと思ってて、真っ赤な人民服着てる3人がマネキンと一緒にテーブル囲んでお茶してるビジュアルがあったりとか、増殖っていうアルバムのジャケットとかもそうですけど、とにかく怪しいなと思って。温泉マークだったりとか、いまミュージシャンが作るグッズの先駆けみたいなものが「OMIYAGE」っていう打ち出しでY.M.Oはやってたじゃないですか。スペルの中にY.M.Oって入ってるそういうマジックがあって、僕は凄くときめいたんですよ。アートとかそういうものを取り込んだロックバンドっていうのは当時居なかったと思うんですよね。
ーその中でも細野晴臣という人にどういう風に惹かれていきましたか?
INO:とにかくこの人は宇宙人かな?っていうような。
ー宇宙人だと思ったのはどんなところですか?
INO:顔
全員:笑
INO:子供の頃にはそういう風にしか思えなかったです。とにかくね、当時、刺激的でもありスタンダードでもありっていう。普通に歌番組でも登場されてたし、だからあんまり違和感はなかったんですけど、大人になってそれを解析したり分析すると、やっぱり凄く刺激的な事をやってらっしゃったんだなっていう事を気付かされますね。
高田:僕の場合、父のプロデューサーであり、レーベルメイトであり、一緒に演奏してた仲間が細野さんであり、ハッピーエンドなんで、細野さんもそうだし、教授がまだ学生で“芸大に凄いピアニストが居る”とか子供ながらにいつも聞いてたんですよ。で、おらが村の中のメンバーが急に売れたっていうイメージが凄くあって、でもまだ小学校入る前ぐらいだったからまだ音楽的な要素っていうのはぜんぜん分からなくて…ただ小学校入った頃にY.M.Oが一気にメディアに露出するようになったんですよ。その頃、僕だけじゃなくて、その年代の子供達はみんな「漫才ブーム」っていうのに凄い浮かれてたんですよ。漫才の番組なのにY.M.Oが「トリオ・ザ・テクノ」っていう名前で出てきたんですよ。だからY.M.Oっていうのが音楽的なアイコンと言うよりも、なんかもっとポップアイコンっていうか、芸能の人たちっていうイメージが最初凄く強かったですね。
ー音楽に触れた時はどうでした?
高田:コンピューターゲームとかああいうのが流れて本当にびっくりして・・。というのは僕の父は高田渡って言ってアコースティックな音楽の世界でしか育ってなかったんで、それが急に聴いたシンセサイザーの音がホラー映画みたいっていうか、あまりに未知すぎて・・だから本当にどこか未来からやってきた異星人みたいな、そんなイメージが凄く強かったですね。
■いよいよ「HOSONO HOUSE」のリメイクアルバム「HOCHONO HOUSE」がリリースになります。お二人にとって「HOSONO HOUSE」はどんなアルバムですか?
INO:自分の家のようなアルバム。僕は雑食で色んな音楽を聴いて、でも結局は「HOSONO HOUSE」に帰宅するっていう・・好きなんですね、そういうサウンド、その奥にある何かっていうか、言葉では表現できない部分。細野さんの世界が凄く好きですね。ホッとします。
高田:細野さんの作品どれも凄くミステリアスなんですけど、良い意味でいちばん完成されてないって言うか、毎回聴いて発見もあるし、同時にもっとこの部分をこうしたものを聴いてみたかったとかっていうような、荒削りな部分が凄く多いような気がして、そこがスルメのように何度も聴きたくなるところなのかなぁって思いますね。
ー「HOCHONO HOUSE」を聴いてみてどうですか?
INO:大変だっただろうなって。骨の折れる作業を細野さんお疲れさまでしたと。
高田:かつての自分のアルバムをリメイクしてるんだけど、やろうとしてた事は今の新しい音楽の“音の作り”っていうものをどうしても今、細野さんは創りたがってるんですよね。その音像を創るために素材として「HOCHONO HOUSE」を使ったっていうか、今の音楽に対する好奇心っていうのが、もう一度リスタートしてる時期だと思います。
■高田漣さんが選ぶ「これぞ細野サウンドを感じる曲TOP3!」
3位 はらいそ
細野さんの面白さでいちばん分かり易いのは、和音の面白さとか転調の面白さだと思ったので、まずは「はらいそ」パァーっと聴くとそのまま聴けちゃうんですけど、ひとつのテーマの部分がまるっきり同じままぜんぜん違う調に転調したり移調されてて、それが全然違う景色になってたりするんですよ。しかも全然違うメロディが乗ってたりするから気が付かないけど、実際演奏してみたりすると“あ、同じコード進行だ!”みたいな事が結構あるんですよ。「はらいそ」もまさにそうで。あとはコードマジックっていうか、いくつかの和音に挟まれる和音、そのたった1つの和音がある事で風景が一気に激変するっていうか、そこの和音の使いどころは毎回凄く勉強になりますね。
2位 シムーン
この時期ぐらいまでの細野さんは、とにかく和音使いとか作りがいちばん凝ってる時期。これ以降の細野さんは、どちらかというとコードの変化が少なくなっていくんですけど、そういう意味で、和音の魔術師のいちばん最後。ひとつひとつのテーマ、シーンの和音の使い方がもの凄い厳密で、テンションとか和音の難しい音も全部ちゃんと意味がある。凄いですね。
1位 ろっか・ばい・まい・べいびい
いまの細野さんの世界にも通じる。細野さんのロマンティックな部分の楽曲の最初のカード。それまでの「はっぴーえんど」の頃には見えなかった部分。ソロになってより素になって、ロックバンドっていうフォーマットじゃなくて良くなって、自由になって書けてるんじゃないかなって思います。
まだまだ話し足りないお二人、来週も『細野晴臣 Part2』お聞き逃しなく!
■この収録は大手町にあります次世代オフィス「3×3 Lab Future」で行なわれました。
PLAYLIST
CHATTANOOGA CHOO CHOO / 細野晴臣
コンピューター・ゲーム “サーカスのテーマ”
ファイアークラッカー/ YELLOW MAGIC ORCHESTRA
住所不定無職低収入 / 細野晴臣
相合傘 / はっぴいえんど
ソレイユ / 高田漣
ろっかばいまいべいびい / 細野晴臣
※放送後1週間はRadiko タイムフリーでお聴きいただけます。
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