今週は『ザ・ケミカル・ブラザーズ』のPart2!ゲストには引き続きミュージシャンのSeihoさん、音楽プロデューサーでライターの佐藤譲さんをお迎えしました。
■今年の夏は、FUJI ROCK FESTIVAL '19に8年ぶりの参戦!1日目 7月26日・金曜日のヘッドライナーとして登場します。
グローバー:フジロックどうなりますかね?
佐藤:新しいアルバムの『NO Geography』が、その前3年ぐらい世界中を回って、ライヴに継ぐライヴ、DJに継ぐDJを重ねてきた上で、曲もテストしながらできてるんで、ある種ライヴ向け。本人たちも“ここまでライヴ向けにしたのって、もしかしたら久しぶりかも。1st,2ndぐらいにライヴ向けに練り上げた曲を使ってるアルバムはそれ以来かも”って言ってるぐらいなので、まあ言わずもがなですよね。
Seiho:現場でかけて、直して、って凄い繰り返してるんですよね。
佐藤:お客さんの反応が悪かったところとかを微調整したりとか。
グローバー:人の体をどう動かすかっていう生の現場のノウハウがギュっと詰まってるんですね。
佐藤:そう、ただ彼らのメッセージとしては“分かるよなオマエら”っていう。
■最新作で感じられる進化とは?
佐藤:ジャケットはシングルも含めて初期のジャケットの雰囲気に近い感じだし、アルバム制作するにあたって20年前の機材を掘り返して、自分たちのスタジオの中に20年前のスタジオを再現するみたいなことで、そこを行き来しながら作業をしていたっていう感じだったので、当然、当時創ってたラフな感じとか生々しい感じっていうのがより出てて懐かしいのと同時にその生感が新鮮に聴こえるっていうのはありますね。ダンスミュージックっていうのはパソコン一台で創れるっていうのが支流になってきてる中で、そういう音を聴かされると、やっぱりフレッシュな感じに凄くなる。
Seiho:20年前の機材の話とかを聞いて、今、アナログシンセに凄い興味があって、中古で機材を集めてレコーディングをしたり、みたいなことを僕たちの世代は特に重きを置いていて、ケミカルが20年前の機材で録ったっていうのを聞くと凄い嬉しいんですよ。20年前の機材で20年前のメンバーと創るっていう重要性、昔の機材のほうが音が太くて良いよねってことじゃないところに彼らが純粋に向かっていくっていうのがやっぱりカッコイイなと。
■Seihoが選ぶ『これぞケミカル流 ロックとクラブミュージックの融合曲 TOP3!』
第3位 MAH
アシッドベースが最高すぎて、“一生踊れるやん”みたいな。ケミカルの場合、ベースとかドラムにリフがあったり、音色とかシーケンスにリフを持たせるってことが凄い面白くて、メロで持って行くってよりかは、ベースだけでずっと聴ける。
第2位 Let Forever Be
これは普通に聴いてポップやなっていう。でもやっぱりドラムのリフはずっと繰り返されてるし、クラブミュージックのグルーヴはずっとキープしながら、しっかりポップで歌モノとして聴ける。
第1位 Star Guitar
ロックであってもクラブミュージックであっても、進んで行くだけの音楽であったり、回ってるだけの音楽って、どっちかはあるんですけど、進んで行く音楽と回ってる音楽のちょうど間に存在してる音楽ってなかなか無くて、例えば高速道路をずっと走ってる映像が合う音楽と、社交ダンスの男女が2人で踊ってるのがずっとループで繰り返されてる映像の、どっちが合うのかっていう時に、この「Star Guitar」は両方とも兼ね備えてて、回ってるけど、それがちょっとずつ進んでいくような印象を受けるんですよね。
■キャッチコピー
佐藤:ケミカル・ブラザーズとは「パイオニアである!」
ライヴにおける映像演出とか、ダンスミュージックの大きなピークタイムみたいなものを創り上げたっていう意味とか、ノエル・ギャラガーをフィーチャリングして「Setting Sun」っていう曲を創ってブリットポップの流れを一気にダンスミュージックの流れに引き寄せたってところも含めてやっぱりシーンを開拓していく人っていうイメージが強いですね。それが今でもあんまり変わってなくて、メインストリームのトレンドではない彼らは彼らの新しいやり方っていうのを現場と向き合いながら常に探し続けていて、その結果が『NO Geography』っていうポジティブな形のアルバムとして出てきたってところも含めて、この人たちはやっぱり自分たちで道を切り開いていくタイプで、言うなれば開拓者なんだなと。
Seiho:ケミカル・ブラザーズとは佐藤譲である!(笑)
佐藤:やめなさい、人が人に入れ替わらない、「君の名は」じゃないんだから。
Seiho:(笑)いやでもね、今回ほんとにまるまる話して“こういう見かたができるんやな”とか、僕が小学校のとき聴いたケミカル・ブラザーズって洋楽の選択肢のひとつでしかなかったんですよね。けど、佐藤さんの話聞いてると“あ、ケミカル・ブラザーズのこの部分をピックしてその当時から流行ってたんや”っていうのは今聞いても理解できる。時代がケミカルに戻ってきたみたいな感覚っていうのが凄く大事で、懐古主義的な話ではなくて、新しくどんどん進んでいったら、まだそこに居て嬉しい、みたいな感覚は凄くある。どこかで古くなったり、新しくなり過ぎるってこともなく、ずっとケミカル・ブラザーズはケミカル・ブラザーズて居るってことの凄さ。
佐藤:で、実際アルバムほとんどUKチャートとかでナンバーワン獲ってるんですよね。そういうアーティストって希有な存在だったりするんですよね。
※この収録は大手町パークビル内、三菱地所の新オフィスで行なわれました。
PLAYLIST
MAH / The Chemical Brothers
Out Of Control / The Chemical Brothers
Elektrobank / The Chemical Brothers
Let Forever Be / The Chemical Brothers
I Feel Tired Everyday / Seiho
Eve Of Destruction / The Chemical Brothers
※放送後1週間はRadiko タイムフリーでお聴きいただけます。
■Seihoさんの詳しい情報はオフィシャルサイトへ