今週は『THE YELLOW MONKEY』の Part2!。ゲストには引き続き9mm Parabellum Bullet ボーカル&ギター菅原卓郎さん、音楽ライター 増田勇一さんをお迎えしました。
■THE YELLOW MONKEYの詩の世界
グローバー:THE YELLOW MONKEYは言葉もはっきり伝えようっていう音楽ですよね。吉井和哉さんの歌詞、菅原さんはどんなところに惹かれます?
菅原:シリアスなところと、ちょっとふざけてる部分っていうか、聴いてるこっちが“え?そんなこと言うの?”っていうところのバランスが絶妙だなぁって。『FOUR SEASONS』だと、いわゆる落ちサビっていうか、曲が盛り上がって、ちょっと静かなサビがきたときの歌い出しが“人様に迷惑とコーヒーはかけちゃいけない”っていう歌詞で、その後“そんなの自分で決められるさ ただの馬鹿じゃない”って続くんですけど、自分は“ただの馬鹿じゃない”っていうのを“迷惑をかけちゃいけない”じゃなくて“コーヒーはかけちゃいけない”ってところがなんとも言えないなぁって。
グローバー:まあまあコーヒーをかけてきたんだろうなって感じもするって言うかね。(笑)
増田:火傷しそうなコーヒーをかけたんでしょうね。
菅原:『PUNCH DRUNKARD』ではサビが“ごらんよこれが裸のボクサー”って言うんですけど、歌うと“裸のぼくさー”だから“裸の僕を見てくれ!”っていう歌に聴こえるんですね。“君にこの姿を見せたいんだ”っていう。それも子供ながらに“おもしろいこと考えるなぁ”って。本音と照れ隠しの絶妙なバランスですよね。
グローバー:菅原さんがYELLOW MONKEYにハマっていった曲は『JAM』っていう話がありましたけど、この曲が大ヒットした時、歌詞の力っていうのは大きかったですよね。
菅原:そうですね、“正直にものを言おうとするとこの歌詞になる”っていうひとつの形だと思うんですけど、初めて聴いたときから歌い出しから最後まで引き込まれっぱなしで。誰しも経験してそうな“部屋で一人 テレビはつけたまま”ていうところから、世界中で起きてる不幸な出来事まで向かい合ったりするんだけど、最後はラブソングになってるんですよね。本当は君のことだけずっと考えていたんだっていう。そこの心がどこまでも広がっていくところと、身近なところで引き裂かれてるところのバランスですよね。そして、いちばん好きなところは“素敵な物が欲しいけど、あんまり売ってないから 好きな歌を歌う”っていう“思うようにいかないことがあっても、好きな歌を歌えばいいんだ”っていう自分の辞書の中に刻んである宝物のような歌詞ですね。
■『音楽ライター増田勇一が選ぶ、
THE YELLOW MONKEYのこの歌詞を聴け!TOP3!!』
3位:「Changes Far Away」
『ひとりきりなら食事も寂しい/でも噛み締める孤独もオカズだよ』
これは今の現状を踏まえればソロ活動の時期も経てきて4人で活動してる今、吉井和哉が書いた言葉。なんにも無いところに自分だけが居て、自分と向き合うっていう作業もすごく充実したものっていう意識があったはずなんですけど、こうやって4人でやってみたら、なんかやっぱりあの頃の食事って寂しかったなっていうのが実際あったんだと思うんですよね。
2位:「SO YOUNG」
ものすごくベタな“青春”って言葉を繰り返してるところ。“青春っていうものは自分次第でずっと持ち続けられるものなんだ”っていうような事って色んな人が言いますけど、なかなか歌にするのって恥ずかしくないですか?それをここまで正面切ってできるのって凄いなって思ったんですよね。「SO YOUNG」なままであり続けることが可能だってことの肯定がとてつもなく素敵だなと。
1位:「天国旅行」
『けしの花びら/さえずるひばり/僕は孤独なつくしんぼう』歌謡ロックどころではない本当の日本の歌謡曲の伝統みたいなものを感じちゃうんですよね。
“赤く咲くのはケシの花”っていうのもありますけど、かと思えば“さえずるひばり”夢枕に美空ひばりさんが立って“あとは任せたわよ”って言われたっていう嘘か本当かわかんないような話もしてますけど、そんなこともちょっと思い出しちゃいますよね。でもそういうおふざけなのかな?と思いきや、凄く本質を突いてるというか、これを他の言葉で言おうとするとすごく説明的になり過ぎちゃうと思うんです。本来“詩”ってこういう素朴なものに当てはめて綴っていくものなのかなって思わされたりもしますし、そういうところも含めてグっときますね。
■日本のロックシーンに与えた影響
増田:これはこれからどんどん分かっていくことなんじゃないかと思うんですね。彼らは30年という歴史を持つようになった訳ですけど、そろそろ日本にもクラシックロックって呼ばれるようなものが根付き初めているのかなという気がするんです。僕の勝手な意見ですけど、これが日本のクラシックロックなんじゃないかなって思えるいちばん近いところに居るのが『THE YELLOW MONKEY』と『LUNA SEA』なんです。ヒットソングが多ければ必ずそうなれるかってものではない気がしていて、時代のメインストリームに対してオルタナティブ、それに取って代わる対抗勢力になるようなところがありながら、それが時間を経ていく中でどんどんクラシックに消化されてきた過程を持ってるところがこのバンドの凄いところだと思っていて、そういう意味ではロックバンドとして生き長らえていく手本になってるのかなという気がします。
■THE YELLOW MONKEYのキャッチコピー
菅原:THE YELLOW MONKEYとは…
『サーカスの綱渡りのように、シリアスと悪ふざけの間を揺れながら、綱の上で、なんならバク転やバク宙やらをキメながら、ロックンロールしてるバンド』である。
増田:THE YELLOW MONKEYとは…『終わりのない青春』である。
2週に渡ってお送りしたレジェンド『THE YELLOW MONKEY』
ラストはアルバム『9999』から「ALRIGHT」で締めくくられました。
■この収録は大手町にあります次世代オフィス「3×3 Lab Future」で行なわれました。
PLAYLIST
アバンギャルドで行こうよ / THE YELLOW MONKEY
ROCK STAR / THE YELLOW MONKEY
JAM / THE YELLOW MONKEY
SO YOUNG / THE YELLOW MONKEY
名もなきヒーロー / 9mm Parabellum Bullet
ALRIGHT / THE YELLOW MONKEY
※放送後1週間はRadiko タイムフリーでお聴きいただけます。
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