今週のレジェンドはトム・ヨークの最新アルバム、そしてフジロックでのライブパフォーマンスも話題、本国イギリスのみならず、世界中の音楽シーンに多大な影響を与え続けているバンドRadioHeadがテーマ。ゲストにはストレイテナー ホリエアツシさん、androp 内澤崇仁さんをお迎えしました。
■RADIOHEAD との出会い
ホリエ:高校一年とかだったと思うんですけど、地元長崎のラジオでかかった「High and Dry」ですね。ネオアコっぽい曲じゃないですか、最初聴いた時はロックバンドっていう風にイメージしなかったですね。この頃はUKロックっていうカテゴリーで聴いてなくて、Green Dayとか、そういうのが好きだったんですけど、純粋に心地いい曲だなぁと思って引っかかって、そこから色々調べたっていう。その時はすぐにレディオヘッドにハマっていったっていうよりは、“あ、この曲もレディオヘッドだったんだ”とか。で、後に映像で”Just”のMVを観て、そこから“スコン”ってハマりました。こういう繊細な音楽を創りながらも、結構パフォーマンスがパンキッシュだったりとか、トム・ヨークは赤いツンツンな髪型してたりとか、そういうとこから繊細で広がりのある音楽を創りながらも凄く尖ってるっていう見せ方というか見え方ってあるんだなと思って。
グローバー:新しい感じがしたんですね。
ホリエ:そうですね。誰も凄いって言わなかったら難解なままで“解んねぇなこの音楽”って思うかも知れないけど、レディオヘッドの場合は“凄いぞ、凄いぞ”って周りから攻め立てられる“これが凄いって解んなきゃいけないの?“って。
内澤:難しい数式に挑むみたいな。で、クリアしてやろうみたいな。
ホリエ:そうそう(笑)
グローバー:内澤さんはいつでした?
内澤:高校生の頃なんですけど、ぼくもGreen Dayにめちゃめちゃハマってて、ニルヴァーナとかも聴いてたんですけども、青森の八戸というところで、みんな音楽をやってる人は繋がってて、CDショップで働いてる先輩とかバンド仲間とかから“レディオヘッドっていうバンドがいいから絶対聴いた方がいい”っていうのを聞いたのがきっかけでした。こんなにギターをギターとして弾いてないバンドってあるんだ“っていうのが印象的でしたね。ワーミーっていうオクターブ上げたり下げたりするエフェクターを使ったりとか、フィードバックを多用してたり、ヴォリューム奏法みたいなのを使ってたり、弓で弾いたりとか、ミュートスイッチっていうのがギターに付いてるんですよ、普通に弾いてもブチって切れるスイッチが付いてるんですよ。それを連打すると”ギー、ブチ、ギー、ブチ“っていう音が鳴ってたりとか。”こりゃ、なんだ!“って思って衝撃的でしたね。ギターってこんなに自由でいいんだ!早弾きじゃなくていいんだ!”って。凄い聴きましたね。
グローバー:その凄い聴き込んだアルバムは?
内澤:『OK Computer』です。
■ロックバンドとしての魅力を感じる曲をあげるなら?
グローバー:サウンドにアプローチという意味では“新しい音”というのをたくさん発明したバンドとも言えると思いますが、それをロックバンドでやっていたというが凄いことなんでしょうね?
ホリエ:そうですね、やっぱバンドっていうフォーマットでここまで実験できるっていうのはホントに革命というか、この時代を創ってますよね。
グローバー:改めて、ロックバンドとしてのレディオヘッド、この曲に魅了されたっていう曲は?
ホリエ:『OK Computer』の「Paranoid Android」。その前に『The Bends』っていうレディオヘッドの歴史の中では素直なロックアルバムとされてるアルバムが出てて、そこからだいぶイメージが変わったんですよね。“俺たちこういうバンドじゃないぜ”みたいな。すごい天の邪鬼な『OK Computer』から最初に発表したこの曲で“ガツン!”と食らわされちゃったっていう。もう多分、音楽界がこの曲でひっくり返ったみたいな印象がありますね。
グローバー:この曲、複雑なんだけどずっと持ってかれるっていうか。
ホリエ:そうそう、展開するじゃないですか、それがなんか曲として別に不自然じゃないんですよね。不思議ですよね。
グローバー:内澤さんが魅力を感じる曲は?
内澤:「True Love Waits」っていう曲で、2016年に音源として出てる曲なんですけど、1990年代からライブではずっとやってる曲なんですね。レディオヘッド好きな人たちだったら昔から知ってる曲。それが10年以上経って盤になったっていう。そういう曲がいくつもあるんですよレディオヘッドって。何年も何年もやり尽くすんですよね。アレンジを追求し尽くしてるんですよ。メロディ違い、コード違いみたいなのが色々あって、多分やり尽くして、本人たちが納得して盤にしたんだろうなっていうのを知れる。
ホリエ:それこそ「Paranoid Android」の構成も今はこうなっているけれども、デモとかを聴くと、ここから違うパターンに飛んでたりとか、何パターンか構成が変わってるんですよ。『Airbag』とかもイントロの特徴的なリフあるじゃないですか、あれデモの段階だとまだ無かったりして“このリフ最初に創ってねぇんだ!”って。
内澤:そう、アレンジを追求しまくってるんですよね、バンドとして。その姿勢が素晴らしい。1年2年アレンジを考えるんじゃなくて、10年単位で考えてるっていうのはワインとかそういうレベルですよね。熟成させ具合が素晴らしい。
ホリエ:“どっかで変わんじゃねえか?味が”みたいな(笑)
グローバー: 何年物がいいっていうファンも居るでしょうね。それこそ“何年の「True Love Waits」が良いんだよ!”っていう。
内澤:そうそう、そうなんですよ!
ホリエ:それあるなぁ。
■ストレイテナーのボーカル/ギター、ホリエアツシが選ぶ
「これは是非ともカバーしたい!RADIOHEAD 曲」TOP3!
3位:Killer Cars (from 2nd『The Bends』1995 日本盤ボーナストラック)
めちゃくちゃファンが多い一曲ですね。バンドっぽいっていうか衝動的なんですよね。この辺の感じの曲って実はもうあんまり無いんですよね。当時もう『The Bends』は結構作り込まれてるから、こういう衝動的な真っ直ぐな曲ってのはあんまり無くて、堪んないですね。
2位:Lift (from『OKNOTOK 1997 2017』2017:『OK Computer』20 周年編集盤)
幻の名曲って言われてて、これもライブではやってたけど音源化されなかった曲で、2年前の『OK Computer』20 周年編集盤に当時のデモみたいなそんなに完成度高くないやつが一緒にパッケージされて出たんですよ。ファンとしては当時からすげえいい曲なのに『OK Computer』に入らなかった、どんな曲なんだってザワザワしてて、いざ聴いたら、凄い良い曲だけど、『OK Computer』に入れなかったのは解る(笑)なんかアルバムに入るためのハードルみたいなものを越えられてないのはすぐ解りました。中途半端だったのかなと思いますけど、そこがやっぱりこうグッと来るんですよね。拙さというかワンアイディアで一曲作ったみたいな。特にバンド感と揺れ動いてる感じが良いですよね。
1位:Airbag (from 3rd『OK Computer』1997)
これもギターの音。“なんだこれ!”って感じでしたね、最初聴いた時はね。この時代のギターを弾きたい人にとってのテーマ曲っていうか。『OK Computer』の一曲目を飾ってるんですけど、“アルバムが出る”ってなって、発売日にレコード屋行って、買うの分かってるんですけど試聴して、試聴ながら笑いましたもん、凄すぎて(笑)。八王子のヴァージンメガストアで笑ってた一人で(笑)
まだまだ続くレジェンド『RADIOHEAD』来週もお聞き逃しなく!
※この収録は大手町パークビル内、三菱地所の新オフィスで行なわれました。
PLAYLIST
High and Dry / RADIOHEAD
Creep / RADIOHEAD
Paranoid Android / RADIOHEAD
Karma Police / RADIOHEAD
Koi / androp
Airbag / RADIOHEAD
※放送後1週間は右のタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
※ストレイテナーの詳しい情報はオフィシャルサイトへ
※andropの詳しい情報はオフィシャルサイトへ