2019.10.12 ON AIR
【ダニー・ハサウェイ Part2】ゴスペラーズ 黒沢薫さん、Kan Sanoさん登場!

今週は、ソウル・レジェンド『ダニー・ハサウェイ』のPart2!ゲストには引き続き、ゴスペラーズの黒沢薫さん、キーボーディストでプロデューサーのKan Sanoさんをお迎えしました。

シンガーとしての魅力
黒沢:とにかく低い音の響きが凄いんです。この響きはカラオケの採点だと採点されないそうです。響きを検知してくれないぐらいの響きが出るんです。でも上も出るんですよ、下から上まで全て同じ太さで出るんです。しかもあの声質だともうちょっとディープに歌う人が多いんです。でもあの声質を持ちながら、凄くメロディに対して誠実に歌ってるんですよ。でもあの声質だからディープに聴こえるんです。そしてもう一つミュージシャン的な側面もあるわけじゃないですか。弾きながら歌うからリズムを自由に揺らせるんですよ。これね、シンガーだけだと出来ないんですよね。

バンドマンとしての魅力
Kan:バンマスとして優れた方だと思うんですよ。アレンジの指示を出したり、バンドをまとめる役ですよね。あまり映像とかも残ってないんで、音を聴いて想像するしかないんですけど『What's Going On』とかでもその場で割とざっくりアレンジしたような演奏なんですけど、随所にネタを仕込んであるというか、ちゃんとリハーサルしてないと出来ないような事もやってるんですよね。バランス感もいいし、曲として締まるというか、まとまるんです。今はそういう事ってバンマスの人はみんな心得てるっていうか、分かってる事だと思うんですけど、そのお手本ですよね。楽器を演奏する人とシンガー、詩を書いて歌を歌う人って考え方が違うんです。だから現場によっては楽器を演奏する人達とシンガーのやりとりって結構難しいんですね。でもダニー・ハサウェイはその中間に居る人なんですよね。どっちとも話せる感じなんです。

「Kan Sano セレクト!ピアノのメロディが美しいDonny Hathaway 曲」TOP3!

3位 What's Going On
Kan:ダニー・ハサウェイが好んで使ってるウーリッツァーっていうキーボードを弾いてるんですけど、後半エレピのソロもありますし、プレイを存分に味わえる曲ですよね。

2位 I Know It's You
Kan:これはまさにピアノですよね。ピアノで弾くバラード。ダニー・ハサウェイはいい曲、名演たくさんありますけど、その中でも僕はいちばんこの曲がグッときますね。歌の合間とかにちょっと弾いたりして合いの手を入れるいわゆるオブリのセンスがいいんですよね。弾きすぎないで、ここぞという時にちょこっと入れる感じが大人ですよね。

1位 Valdez In The Country
Kan:これはフェンダーローズという楽器を使っていて、この曲はインストなんですけど、鍵盤を弾いてても歌心があるし、フレージングって言うんですかね、音の運び方が凄くメロディックだし、随所にジャズっぽい音使いっていうか、ちゃんと理論を勉強してないと使えないような弾き方もしてるんですけど、あんまり技巧的じゃないんですよね。やっぱり弾きすぎないんですよね。

音楽シーンに残したもの
黒沢:ジャズファンもソウルファンも両方魅了したと思うんですけど、ひょっとしたらそういう意味で評価が微妙だった時期もあると思ってて、でも彼は“クロスオーバーして新しい音を創るってことは良いことなんだ”って思って作ってたと思うんです。それが音楽人としては凄く励みになる。あとはメッセージですよね。最終的には性善説のメッセージのものが多い。そして歌い回し。彼が居なかったらスティービー・ワンダーはあの歌い方はしてないですからね。それが80年代のブラック・コンテンポラリーの歌い方になっていくんですね。あとは我々はヴォーカルミュージックやってますから、凄くメロディ重視したってところも、凄く勇気が出るところですね。
Kan:やっぱりあのライヴ盤の影響はとても大きくて、ソウルっていう音楽の演奏の仕方を教えてもらった感じはあるんですよね。ここ数年、僕もライブでピアノ弾きながら歌うようになってきてるんですけど、歌を始めるとダニー・ハサウェイの凄さに改めて気づくというか、ピアニスト目線で聴いてても、ピアノだけで十分クオリティは高いというか、もの凄いことをやってるのに歌も凄いっていうのは驚異的ですよね。

■キャッチコピー
Kan:「Donny Hathawayとは、歌うバンドマン」である。
僕はやっぱり元がピアニストなので楽器目線になるんですけど、バンドをまとめるのも上手いし、楽器も上手いし。でも歌心が凄く溢れていて、シンガーの気持ちも分かる人だから素晴らしいなと。

黒沢:「Donny Hathawayとは、永遠の憧れ」ですね。僕にとってという事になりますけどね。「届かぬ憧れ」という言い方もできますけどね。やっぱり楽器弾くんで、もの凄いアドバンテージですよ。アカデミックな方面も全部できるし。で、内省的なところあるじゃないですか、僕、ぜんぜん内省的なところないんで、すげえ憧れるんですよ。

2週に渡るソウルレジェンド『ダニー・ハサウェイ』ラストナンバーは『Someday We’ll All Be Free』で締めくくられました。


■この収録は「丸ビル コンファレンススクエアGlass Room」で行なわれました。

PLAYLIST

The Closer I Get to you / Roberta Flack & Donny Hathaway

Flying Easy / Donny Hathaway

A Song For You / Donny Hathaway

I Know It's You / Donny Hathaway

VOXers / ゴスペラーズ

Someday We’ll All Be Free / Donny Hathaway


※放送後1週間は右のRadiko タイムフリーボタンでお聴きいただけます。

■黒沢薫さんの詳しい情報はオフィシャルサイト
■Kan Sanoさんの詳しい情報はオフィシャルサイト

次回のレジェンドは、ボーカルの佐藤伸治がこの世を去って 今年で20年。今もファンを魅了するバンド、フィッシュマンズ!ゲストには、映像ディレクター 川村ケンスケさん、Polaris オオヤユウスケさんをお迎えします。お聴き逃しなく!