今週はBUMP OF CHICKENのPart2!ゲストには引き続き、9mm Parabellum Bullet 菅原卓郎さん、音楽ライターの柴那典さんをリモート出演でお迎えしました。
■ライブの魅力
グローバー:やんちゃな幼馴染がずっときてるバンドだっていうお話もあったんですけども、中学の文化祭でまずライブが始まって、気付けばメジャーデビュー20周年、そしてもうドームで大勢の方を震わせている。ロックフェスのヘッドライナーも。と文句なしのモンスターバンドということなんですが、菅原さんは学生時代 Bump に惚れてからライブにも結構行ってました?
菅原:生まれて初めて観に行ったのが Bump of Chicken だったんです。僕、山形で、隣の新潟まで観に行ったんですけど、高校生の時で、初めて行ったのが2001年の3月の天体観測をリリースしたツアーだと思うんですよね。思い出すのは1曲目ですね。「ラフメイカー」っていう曲で“ラフメイカーからやるんだ”!って。「ラフメイカー」ってカップリングの曲なんですね。好きな曲だから1曲目で“わ!始まったぞ!”ってすごく嬉しかったんですけど、その後本当にもう揉みくちゃになって、その後のことはもうほぼ覚えてないですね(笑)もう断片的にしか思い出せない。
グローバー:当時のライブのシーンと、これだけ大きくなって今のライブのシーン、変わらない魅力、そして変わったさらに進化したら色んな魅力あると思いますが、どんなことを感じます?
菅原:そうですね、初めて観たBump of Chickenは“尖ってたな”と思ったんですね。楽曲が持ってる優しさとか、楽曲から受け取ってる“これはなんて懐のでかい曲なんだ!”って思ってるところを超えて、ステージではすごいロックバンド然としていたと言うか、やっぱりただ優しいだけじゃなくて何度も裏返して裏返して優しさが届くっていうような仕組みになってたと思うから...
グローバー:“何度も裏返して裏返して”ってどういう意味です?
菅原:“キミが思ってるより君はすごいんだけど、でも人から見たら大したことないんだよ”みたいな。“けどすごいんだよ、だから自分から踏み出しなよ”っていうようなことを滔々と何度も隣に座って語ってくるみたいな、そういうものを僕は感じていたので”ロックバンドだな”っていう風に初めて見た時は思って、今はより楽曲に近づいてるって言うか。
グローバー:楽曲が内省的なんだけど開いてるっていう魅力、先週おっしゃってたけど、その開いてる部分に音楽とそのバンドのメンバーがどんどんそちらで一体化してるような印象があるんですね。
菅原:そうですね、伝えるために開いていってるっていう印象ですね。
グローバー:柴さんは初めて見た BUMP OF CHICKEN のライブ覚えてます?
柴:1999年の下北沢のCLUB QUEだったと思います。その時はですね『FLAME VEIN』が出たちょっと後だったんですが、僕もロッキング・オン・ジャパンの新人編集者だったんですが、僕だけじゃなくもう下北沢のライブハウス関係者なのか音楽雑誌の編集者なのか、ものすごい大人が多かったんです。“絶対こいつを見逃すな!”みたいなそういう熱気がありました。そこで「ガラスのブルース」をやりましたし、それを観た時に“もうこの人達はとんでもないことになる”って本当に確信した。これは絶対僕だけじゃなかったと思います。
グローバー:その確信したライブパフォーマンスってどんなものだったんですか?
柴:まず正直に言うと、その時点での演奏っていうのはそこまで上手くはなかった。でも演奏とかそういうことじゃなくて、まずはあの声、そして四人がステージに立った時に放ってるカリスマ性ですね。それに一発撃ち抜かれる。そういういう感じでした。
グローバー:その後、たくさんライブ行ってこの曲はちょっとライブだと“特にたまんないよな”という楽曲、柴さんにとっては何ですか?
柴:ずっとライブを観てきて思うことは一つあって、初めて見た BUMP OF CHICKEN のライブっていうのは“本当に生々しい四人の音楽そのもの”っていう感じだったんですけど、今のライブって、テクノロジーの力とか照明とか映像とか、いろんな演出を加えて、それをもの凄くスケールアップしているとってもロマンティックな空間になってると思ってるんですよね。そういう意味で僕が最近のライブで好きなのがですね、2016年に日産スタジアムで見た 「BFLY」のツアーなんですけれども、最高にカッコイイのがオープニングなんです。ツアーのためだけに書き下ろされたアコースティックと電子音が混じり合うようなインストゥルメンタルの楽曲が流れるんですね。その間5分間カウントダウンが続いていってみんながワクワクしてくるっていう。その5分間のインストゥルメンタルに開演前のスタジアムの風景とか、お客さんが会場に入ってく姿とか、手拍子をして待ってるとか、そういうのがどんどん重なり合ってって、それを観るだけで“ああ、ここからライブ始まる!興奮する!”っていう、それが蘇るっていう。だからぼくライブの曲っていうよりはそのイントロのインストゥルメンタルが一番好きで(笑)アガるんですよ。
■柴 那典さんが選ぶ
『歌詞に文学性を感じるBUMP OF CHICKEN の名曲』TOP3!!
第3位 ダンデライオン
柴:この曲は初期の曲なんですけれども、ストーリーのタイプなんですね。主人公がライオンで、しかもそのライオンていうのは強い動物だけれどもサバンナじゃ皆に嫌われた寂しがりで孤独なライオンっていう。そういうキャラクターが主人公なっている童話のような歌詞になっている.
第2位 ファイター
柴:この曲は羽海野チカさんの漫画「3月のライオン」タイアップ曲なんですけれども、僕は Bump of Chicken 以降で日本のシーンが変わったなって思うことの一つに、タイアップっていうのがあるんですよね。それ以前って売れるためとか何か一つの機会としても良くも悪くも捉えているアーティストさんがとても多かったと思うんですけれども、3月のライオンって、作品のテーマが深く結びついたタイアップでかつ、藤原さんに僕インタビューした時に“タイアップってどれくらい意識しますか?”っていう話の時に“自分自身が表現したい世界と作品が表現したい世界の重なりあってる部分を探す。そこをめがけて作ればうまくいく”みたいなことをおっしゃってたので、下の世代のミュージシャンって多分このやり方で曲を作ってる、主題歌を作ってる人ってすごく多いと思うんです。文学性っていうそれだけじゃなくって何か他の作品と結びつくときの”流儀、考え方、価値観”みたいなものをバンプに教えてもらった人って多いんじゃないかなって。
第1位 乗車券
柴:系統で言うなら“自問自答の歌のものすごく尖ったもの”だと僕は思っている。これはですね”強く望むことを書いた紙があれば、それがそのまま乗車券として使えるらしい”ってそういう”夢の先に連れてってくれるバスが来る”っていう、その設定の歌なんです。ある種のストーリーテリングではあるんですが、言ってしまえば“夢”とか“強く望む事”っていうポジティブなストーリーが進んでいくのかなと思いきや、“俺を先に乗せてくれ”とか乗り過ごしてしまった後“そこの空席に鞄置いてんじゃねー”とかものすごく殺伐とした情景が描かれる。そして楽曲自体もすごく何かヒリヒリとした曲になってる。 BUMP OF CHICKEN って基本的にはすごく心を安らげてくれるような曲が多いんですが、一方でここまで尖っている。自分自身“夢を持つ”ってどういうことなんだろう?とかそういうことを本当に深く深く自問自答してたどり着くような、そういう意味での文学性を一番感じる曲がこの曲でした。
■キャッチコピー
柴:「BUMP OF CHICKEN とは…命の躍動 」である!
僕は何度もインタビューしてる中で、“藤原さんっていろんな歌詞を書くけど、どういうところがモチーフになってるんですか?”って度々聞くんですけど、いつも言うことがあって藤原さんて”生きることとか死ぬこととか笑うこととか泣くこととか、そういうことばかり歌ってるんです”ってよく言うんです。それを一言でまとめるならば”命の躍動”だなーって思ってそのキャッチコピーにしました。
菅原:「BUMP OF CHICKEN とは…親友からの手紙 」である!
その命の躍動を”伝えたい”っていうところがあるからこその表現だなと思って。で BUMP OF CHICKEN の楽曲の世界にあっては、自分さえも他人でその自分に向けて書いている手紙とか、隣にいる友達に書いている手紙とか、遠く離れてる人あるいはもう一度も会ったことがない人に出してる手紙だなっていう風に思う。
ラストは『ファイター』で2週に渡るレジェンド『BUMP OF CHICKEN』は締めくくられました。
PLAYLIST
ラフ・メイカー / BUMP OF CHICKEN
Hello,world! / BUMP OF CHICKEN
飴玉の唄 / BUMP OF CHICKEN
乗車券 / BUMP OF CHICKEN
名もなきヒーロー / 9mm Parabellum Bullet
ファイター / BUMP OF CHICKEN
■放送後1週間は右のRadikoタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
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