2020.09.19 ON AIR
【モータウン】ゴスペラーズ村上てつやさん、TENDREさん登場!

今週は設立60 周年を迎え、今週ドキュメンタリー映画が公開されたばかりの
老舗レーベル『モータウン』がテーマ。ゲストにはゴスペラーズ村上てつやさん、TENDREさんをお迎えしました。

■モータウンとの出会い

グローバー村上さんのソウルとの出会い、いつ頃でした?
村上:厳密にソウルって言うのは難しいですけど、やっぱりホイットニーヒューストンだから85年ぐらいですよね。マイケルジャクソンは正直ブラックミュージックという範疇では聴いてないっていうかね。もちろんホイットニーもスーパースターだからポップスをして最初入ってきたけど、でもこの歌い方とかベースにあるものっていうのはちょっとシンディ・ローパーとは違うんだよねっていう。その時の同時期のね感じで言うとね。だから多分ねテンプテーションズの「マイガール」もホール&オーツがやってんの聴いたのが最初だと思うし、シュープリームスの「恋はあせらず」もフィルコリンズ。最初フィルを聴いて後から“本物がこっちなんだ!”と思った時に“フィルコリンズって変わった人だな”と思ったっていう。
グローバー遡ってて色んなものがモータウンっていうところにあるんだとか、モータウンを意識するようになったきっかけとか覚えてます?
村上:いや、そのきっかけは覚えてないかも。大学時代に音楽のサークルに入ってうるさい先輩が色々教えてくれるじゃない。でやっぱりモータウンはアメリカのデトロイトの北部の簡単にいうと洗練された割とポップな音楽。アメリカの南部はもうちょっとワイルドと言うかもう少し自由な、よりブラックミュージックらしさみたいなものが強いみたいな。
グローバー村上さんもモータウンって好きだなってなっていって“これがモータウンなのかな?”って今思ってる1曲って何ですか?
村上:これはね、やっぱりホランド・ドジャー・ホランド、HDH っていう人達が作ったそれこそシュープリームスの一連のヒット曲なんか。その人達が作った“リズム”これがやっぱりあの4分の4で叩くドラムとあとシャッフルでね、その二本立てで曲を組み立てた。ほとんど似てるけどそれがやっぱりモータウンの初期のヒット曲の大半を占めてるんで、それがモータウン印かなっていう風に感じるんで、そのHDHが作った曲。フォー・トップスかマーサ・アンド・ヴァンデラスかな。
グローバー TENDREさんはモータウン、ソウルとの出会い覚えてます?
TENDREぼくは母ちゃんと父ちゃんがジャズをずっとやってる人間でして、母親がボーカルをやって父親はウッドベースをずっと弾いてるんですけど、母親がスタンダードを歌うんですけどどちらかと言うとソウルミュージックがすごい好きだったりとか。それこそスティービーだったりルーサー・ヴァンドロスだったりその辺の歌手はすごい好きで、本当に家で流れてるかカーステレオで流れてるかってのがまあ出会いというかそこが知ったきっかけにはなりますね。
グローバーじゃあお母さんの声でも聴いたりとかしながら。
TENDREそうすね。母親が歌ってっていうのもありましたし、だからやっぱ小さい時はモータウンって事はやっぱ全然知らなくて“モータウンって何か一つのジャンルなのかな?”みたいなこと最初思ってたんですよね。ジャンルというかモータウンっていう何か概念みたいな。そういう風に思ってたのを二十歳ぐらいの時にモータウンっていうレコード会社があってっていうのを初めて知ってそこで探ったらこんな人が居たんだって凄いびっくりしたのが思い出としてありますかね。
グローバー TENDREさんが思う“これがモータウンだな”っていう曲は何ですか?
TENDRE僕のイメージではあるんですけど、やっぱ母親がとにかく好きだったマーヴィン・ゲイが居ましてライブ盤とかすごい聴いてたんですけど、やっぱり「ワッツ・ゴーイン・オン」がすごいイメージとして強かったですね。あと映画から入るとかもありますね。それこそ「天使にラブソングを…」っていう映画があったじゃないですか。
グローバーあ!じゃああの曲か!
TENDREあれですね「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」
グローバーあれは大ヒットしましたし日本だとテレビでも繰り返し繰り返しやってますよね。
TENDRE多分僕世代はみんなめっちゃくちゃ誰でも知ってんじゃないかなってぐらいで、その後からようやく原曲を聴き始めたみたいな感じでした。
村上:あれは本当にデカい、俺だって大学出てすぐとか在学中だったかな、あれでゴスペルっていう言葉が皆さんに良くも悪くも広く伝わったっていうかさ、俺らなんかものすごいいい加減に使っちゃったわけだけどさ、ああいう歌の歌い方とか宗教ってものをどういう風に味わうかっていうことなわけじゃないあれは。それを音楽っていうもので最大化するっていう。あれをたくさんの人が日本で観たことで少なくともテクニカルに日本人のレベルが上がったっていうのは絶対あると思うよ、歌唱で。
グローバーだいぶ身近になりましたよね、イメージが大掴みで掴めた。

■創立者ベリー・ゴーディー

グローバーモータウンのアーティストの特徴って村上さん何か共通項あるんですかね?
村上:アーティストの特徴ってよりはやっぱりワールドワイドのスターを輩出したってことじゃないですか。結果としてねそこからやっぱりスティービー・ワンダー、マーヴィンゲイ、マイケル・ジャクソン、ダイアナ・ロス、ライオネルリッチー、この辺の人達っていうのは聴かないで生きていくのはもう無理っていう。
グローバーこの時代を越えて世代を超えて国を超えて魅了する曲が生まれてきたっていうのはどんなところなんでしょうね?
村上:やっぱりそれはその創立者、ベリー・ゴーディーっていう人ですよね。この人がもう50年代から自分が作曲家で設立したっていうところがやっぱり大きいんですよね。すごく彼はそのお金に冷徹でビジネスマンでっていうことで後々非常にアーティストとも揉めるし、非常に批判もされる人だけど、今回初めてその彼が本人が喋っている自伝的な映画が公開されて楽しみなんですけど、彼が自分の著書で言ってんのは“俺が作った時は90%ミュージック10%ビジネスだったぞ!”って言ってるんですよね。彼はやっぱり“ワンマンとして君臨したかった”っていうことを隠さないんですよね。だから特にスティービーとかマーヴィンが後に揉めて自分でプロデュースする権利を掴んで行くけどそこまでのモータウン、これ人によって評価が分かれるんですよね、つまりある程度画一的だから。でもそのモータウン色っていうものはやっぱり会社がデトロイトにあった60年代のまさにデトロイトはその車の工場の場所ですよね、その車の製造ラインのように音楽を作ったと。これは非常に両面から言われるところだけで良いも悪いも。でもそれもベリー・ゴーディーは凄い良い事言ってて“車の部品だって最初は何でもない鉄くずだろ?でも工場から出るとピカピカのみんなが欲しい車だろ?俺はモータウンのスタジオに無名の若者が訪ねてきてピカピカのスターにしてやったんだ”っていってるんですよね。“そのために俺は工場のラインを作ったんだ”っていうことも言ってて、そう言われるとぐうの音も出ないじゃない。
グローバーそれを実際やったし、それが本当車のようにみんな乗って楽しい、子供は見て憧れるっていうもの作ったというのは凄いことですよね。
 
ゴスペラーズ 村上てつやセレクト!
次世代に歌い継ぎたい… 音楽史に残る「エポックメイキングなモータウン曲TOP3」!!!


村上:一応時代を分けて3つ選びました。

3位:Super Freak / リックジェームス<1981 年>

村上: これは1981年なんですけど、もともと60年代のモータウンのサウンドにも非常にリピート感、LOOP感っていうのすごくあるんですよね。後にこれがMCハマーの曲の下敷きになるわけですけど、やっぱりファンクネスっていうのはもうリピートの気持ち良さ。このSuper Freakのリフっていうのは本当に延々に回ってていいじゃないですか。だからこの後のヒップホップの時代っていうものに対する影響、貢献もすごくでかいしリック・ジェームズ自体がもうモータウンの歴史。やっぱりおじさんがテンプテーションズのメンバーですからね。

2位:マーヴィンゲイ 「What’s Going On」<1971 年>

村上:未だに知ってる人が毎年どんどん増えていく曲なわけですよね。僕らがデビューした94年に知ってるこの「What’s Going On」はその二十数年前の曲。でもその時よりもおそらく50年ぐらい経った今の方がこの曲は売れてるんですよ感覚としては。それはやっぱりこのメッセージがこの時代より先にもあるし今からも通用する本当に普遍のテーマだけど美しいからやっぱり残るんですよね音楽としてね。
グローバーこの美しさ、この曲のマーヴィンゲイの美しさとか手触りをなんか取り入れた音楽ってどんどん増えてる感じしますよね。
村上:でもやっぱり誰もこれには勝てないっていう。これもすごく演奏にもループ感もありますし、サウンド、歌詞、アレンジ全て完璧な曲でしょうね。

1位:バレットストロング 「Money」<1976 年>

村上:ビートルズがカバーした「Money」ですよ。これは創始者のベリー・ゴーディが作った曲で、モータウンを作ってまだレーベルとも何とも言えないぐらいの時期に流行ったいわゆるレーベルにとっての最初期の曲。それで彼はさっきね90%クリエイティブで10%がビジネスたって言ったんだけどこの曲の歌詞は“フリーって言ったっていろんな意味があるぞ、自由っていうのとタダだっていうのがあるだろう?でもやっぱり金が無きゃ手に入らないものあるじゃねえか金だっ!”っていう歌ですよね。これを作ってる時に秘書の人が入ってきて“そうねボス、私にもちゃんと支払ってねじゃないと経費が落ちないから”って言ってその言葉がサビに採用されて、それでベリー・ゴーディ嘘か本当かわかんないけど“俺は彼女に印税の50%渡したんだぜ”っていう。結果としてこれをビートルズがカバーして世界中に広がるし、ビートルズがいかにブラックミュージックの恩恵を受けてるかロックがどこから来たんだって話はもちろんブラックミュージックだけじゃないけれども相当でかい話ですよね。

PLAYLIST

Heatwave / Martha & the Vandellas

Ain't No Mountain High Enough / Marvin Gaye & Tammi Terrell

My Girl / The Temptations

Isn't She Lovely / Stevie Wonder

FRESH feat Ryohu / TENDRE

Money (That's What I Want) / Barrett Strong


■放送後1週間は右のRadikoタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
■ゴスペラーズ村上てつやさんの詳しい情報はオフィシャルサイト
■TENDREさんの詳しい情報はオフィシャルサイト

次週は『モータウン』のPart2!ゲストには引き続きゴスペラーズ村上てつやさん、TENDRE さんをお迎えします。お聴き逃しなく!