今週は設立60 周年を迎え、ドキュメンタリー映画が公開されたばかりの
老舗レーベル『モータウン』のPart2。ゲストには引き続きゴスペラーズ村上てつやさん、TENDREさんをお迎えしました。
■LOVE SONG
グローバー:村上さん、モータウンで生まれたラブソングっていうのもまたかなりオススメしたい曲、隠れ名曲もあるんじゃないですか?
村上:いくらでもありますけど、いわゆるビッグアーティストじゃないのも選びたいよなーっていう感じはありますよね。ボーカルグループから選びたくなる中で言うとオリジナルズの「Baby, I’m For Real」。実は曲を書いてるのがマーヴィン・ゲイなんですけども、マーヴィン・ゲイって元々ドゥーワップのグループに居てコーラスグループで若い頃に修行してて、そこのボスと一緒にモータウンに入ってるんですよね。そのハーヴィー・フークワっていう人がマーヴィンが亡くなるまでずっと師匠であり続けて、だからマーヴィン・ゲイ自体にオーソドックスなボーカルグループのスタイルっていうのが染み付いてて、なんかこう本当に人の声がハモった時に広がるのはまた楽器のハーモニーとは違う良さってあるじゃないですか。そういう良さっていうのがこの「Baby, I’m For Real」って曲にはありますね。モータウンっぽいっていうよりはわりと50年代の古き GOOD OLD MUSIC みたいな感じなんですけど、でもやっぱり美しさって半端ないものがありますね。
グローバー: TENDREさんはどうですか?
TENDER:実際そんなわかんないんですよね。でも思い入れがあるって言うところで言うと僕88年生まれなんですけど、さっき88年にリリースされた曲が実はあったってことを思い出してダイアナ・ロスの「If We Hold On Together」っていう曲なんですけど、元々『リトルフット』っていうアニメーションの映画の主題歌として使われた曲だったんですよ。ちょうど僕はその映画を観ててエンディングに流れたわけですけど、めちゃくちゃ美しくないですか本当に。
村上:メロディの美しさ素晴らしいよね本当に。
TENDER:そのイメージが僕は最初ダイアナ・ロスにあって。だけど意外と昔のアルバムとか聴いてみると結構グルーヴィーなのめちゃくちゃ多いんだなーっていう衝撃がすごいあったので、そのダイアナロスの入り口としてはなんかめちゃくちゃすごい印象的だったある種すごい思い入れがある曲ではありますね。
村上:この頃はダイアナ・ロスもシンガーっていう以上のスターとしてメディアに出てきてる感じでしたよね。1シンガーというよりは“大物なんだよね”っていう(笑)Endless Love なんかもそうなんだけど柔らかい曲だけどやっぱりその何か有無を言わせない感はすごいあるじゃない。そういうショービズの極地みたいなとこだよね。
■TENDRE 色に染めて?
「アレンジ&リミックスしてカバーしてみたいモータウン曲TOP3」!!!
3位:アイズレー・ブラザーズ「summer breeze, pts. 1 & 2」
TENDER:これすごい好きだったんですけどこれってリリース年っていつぐらいだったんでしたっけ?
村上:70年代に入ってるけど、これはね多分モータウンを出てるね。アイズレーはモータウンの中ではあまり成功できずに出ちゃってるから。
TENDER:そうなんだ、僕は単純に曲が好きだったのでやってみたいなってのがあったんですけど、なんか一個一個の曲の楽器のアプローチがすごいシンプルなんですけどすごい耳に残る印象があってアイズレーの温度感がすごい好きだったのでそれになんかこう自分なりにちょっと歌を乗っけてみたいなと思ったのがこの曲だったりですかね。
2位:マーヴィン・ゲイ「Ain’t No Mountain High Enough」
TENDER:これはもう誰かと歌いたいなっていう。なんかこういうソウルらしい曲をあんまりちゃんと作れてなかったってのがあったんで、こういう曲の雰囲気で女性と歌うってすごい楽しそうだなーって思ったのがこの曲ですね。
1位:スティービー・ワンダー「Another Star」
TENDER:これはもうやろうかなと思ってましたね最近ね。結構ラララとかナナナとかっていうフレーズ使うじゃないですか。“そうか、ナナナでいいんだ!”とか「another star」から学んだってのがあって。例えば歌詞を書くわけですよ“ここの歌詞、何か良いメロディー浮かんでんだけど歌詞はめる程じゃないな、そうだ!ラララだ!”というのをここで学んだと言うか。それとこれこそ本当に4つ打ちの一番気持ちいいテンポ感だったりとか、本当に無条件に踊れる音像だったとかは自分が4つ打ちの曲だったりダンサブルなもの作る上でやっぱ一番基準になってると言うか、その基準になったものをあえてちゃんとアレンジしていつかリミックスと言うかリアレンジしてやってみたいなっていうのはめちゃくちゃ思ってますね。
音楽シーンへ残した最大の影響
村上:やっぱり反復に耐えうるものを作った。実はねメロディーよりもリズムの方を重視してたと思うんですよね。一応証拠でモータウンの中にいくつかでレーベルがあるんですけど「ゴーディー」っていう自分の名前の創始者の名前のレーベルがあるんですけど、そこにはね「It's What's In The Groove」っていう“グルーヴがあればいいんだ!”みたいなのがドーナツ盤のラベルの中にある。だから実はメッセージとかメロディーとかはもう結局は気持ちの良いリズムに乗らなければ伝わらない、広がらない。そういうものを拡大再生産できるような音楽の“こうすればできるよ”って方程式をブルースとは違う形で“誰でもこういう風な曲が作れるじゃないか見せてやるから作ってみやがれ”みたいなね。それが本当に拡大再生産されて世界中のポップ・ミュージックのフォーマットになってるっていう。あらゆるところにモータウンのビートを感じさせる音楽があるわけ。だからロック系の人もすごくカバーしてる。
■キャッチコピー
村上:「モータウンとは… キャッチーなフレーズの宝庫」である!
掴むフレーズしかない。ミュージシャンの手癖で出たとかってよりはやっぱりキャッチーなフレーズは書かれたものが多いよね。
グローバー:曲が始まって0.何秒でもう良い曲みたいなね。
村上:すごく大事にしてたらしいですよ。曲が始まって歌い出すまでに拍手できるかっていうのを会議で選ぶ時に。歌い出す前にもう勝負あったって言えるかどうかっていうのは相当もう歌謡曲の世界じゃないすか。
TENDER:「モータウンとは… ポップミュージックの細胞」である!
本当に歴史があるわけじゃないですかモータウンって。僕はその歴史というよりかは実際に鳴ってるものとして色々吸収したりとかこういう人いるんだっていうとこを結構端的にすごいキャッチしてる方だったので、色々辿ってくと当然音楽以外全部そうですけど歴史、人がこう動いててこういう時代だったからこういう音楽が生まれてってわけじゃないですか。でもこの時代までめっちゃくちゃキャッチーなフレーズがずっと生きてたりとか、日本人がなかなか作れないこのポップさだったりってのはやっぱもうずっと日本においてもずっと細胞と言うか本当に根底の基準として眠ってると言うか。そこを僕らとか新しい音楽を作るっていう者としてはそういうものを超えるもの作ってかないといけないなと常々思いますし、だけどそこから吸収できる、細胞から吸えるもの吸っていきたいしていう意味でのモータウンはもう細胞なんじゃないかなっていう風に思った次第でございます。
村上:決して死なないね。
TENDER:本当死なないすね。
最後の一曲はグローバーさんが音楽を始めた時、ドラムの先生が“まずこれだよ”って言って出してきた曲、スティービー・ワンダーの「Sar Duke」で2週に渡るモータウン談義は締めくくられました。
PLAYLIST
Fire and Desire / Rick Jame & Teena Marie
If We Hold On Together / Diana Ross
Greetings (This Is Uncle Sam) / The Monitors
Another Star / Stevie Wonder
LOVE MACHINE / ゴスペラーズ
Sar Duke / Stevie Wonder
■放送後1週間は右のRadikoタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
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