2020.11.07 ON AIR
【ヴァン・ヘイレン Part2】ギタリストの野村義男さん、雑誌「BURRN!」編集長の広瀬和生さん登場!

今週は、ヴァン・ヘイレンのPart2!ゲストには引き続きギタリストの野村義男さん、雑誌「BURRN!」編集長の広瀬和生さんをお迎えしました。

■ライヴの魅力

グローバー:ライヴでここが最高に好きってとこどこですか?
野村:ドラムのアレックス、お兄ちゃん。アレックスは絶対にエディから目を離さない。曲の始まる瞬間、ギターソロの後の曲の始まる瞬間とか、曲を閉める瞬間とか絶対エディから目を離さない。
広瀬:それ大事なことなんですよ。ギタリストがイニシアチブを取ってるバンドだとドラマーはそれを怠ると大変な事になっちゃう。
野村:エディが気持ちよく終われる、エディが気持ちよく入れるというタイミングが凄かった。
グローバー:あの鉄壁の兄弟の間合いとかグルーヴって言っていいのかも知れない全体に流れるほんと気持ちいいとこで曲が始まったり終わったり。曲の中でも展開してったりってのは素晴らしいですよね。
広瀬:僕も随分ライブは日本だけじゃなくて海外でも観ましたけどね、独特のグルーヴ感は確かにアレックスが作ってるとこありますよね。僕はサミー・ヘイガー時代を観ること多かったんで“ゴージャス”っていう言葉がすごく似合う“アメリカンロックってここまで行くんだな”っていう。それはハードロックなんだけど、もっとメインストリームっぽい凄さをステージで出す。それを最初にやったバンドがヴァン・ヘイレンですね。もちろんその前にもキッスとかエアロスミスとか、そういう先輩は居ます。彼らの築き上げた物っていうのは他の人やったら単に真似になっちゃうんですよ。でもヴァン・ヘイレンって“こういうフォーマットがあるよ”っていうのをみんなに見せたんですよ。“あれが究極の目標ね、ロックってこんな風にも出来るんだ!じゃあ俺達もあれを目指そう”という風に思えるようなスケールの大きさというのを出したんですよね。
グローバー:広瀬さんがたくさん観てきた中でもライブではこれ最高だったなっていう一曲ありますか?
広瀬:ライブで最高な曲っていうのはたくさんあるんですけど、僕にとって思い出深いのはウェンブリー・スタジアムのステージ上の袖でヴァン・ヘイレンを観たことがあるんですよ。その時、ボン・ジョヴィがメインアクトで、その前をヴァン・ヘイレンが努めるという珍しいパターンだったんですね。1995年だと思うんですけど、ヴァンヘイレン側のスタッフのような取材陣としてパスを持って全部入れる。だから家族と一緒にステージ脇で観てたんですよ。そん時にね、ロンドンの客がみんなボン・ジョヴィ目当てなんですよ。結局ヴァン・ヘイレンってアメリカツアーばっかりだったんでヨーロッパ系弱いんですよね。でもあのバランスのツアーの時はヨーロッパツアーをちゃんとやろうと。ただやっぱりですねボン・ジョヴィがなぜかイギリスでめちゃめちゃ強くて、だからもう怒ってましたよねサミーヘイガーとか“何で俺達がボン・ジョヴィの前座なんだよ”と顔を真っ赤にして怒ってましたけど。それでねヴァンヘイレンの曲でも観客がそんなに盛り上がらないんですよ。っていう中で満場が総立ちになって“ウォーッ!!!”ってやっぱりなったのが『Jump』なんですよね。サミー・ヘイガーもデイヴ・リー・ロスの曲はやっぱやりたがらないわけですよ。ほとんどやりたがらない中で『Panama』と『Jump』はやるみたいな。特にこの『Jump』の破壊力っていうのは凄い。その『Jump』をウェンブリー・スタジアムのステージ上から観客が“ウォーッ!!!”っていうのを観るというちょっとなかなかできない体験をしたのが忘れられないので僕にとって『Jump』はライブでの思い出の曲ですかね。

■ヴァン・ヘイレンを追い続けてきた、雑誌「BURRN!」の名物編集長 広瀬さんが選ぶ「ロックシーンが大きく変わった!
音楽史に深く刻まれるヴァン・ヘイレンのエポックメイキングな曲」TOP3!!!


3位:Jump

広瀬:これは、要するにそれまではハードロックって言うとギターリフですよね。特にハードロックはそうであるというところにですよ、キーボードでいいんだと。凄いことするなと思いましたよ。しかもですよ、エディ・ヴァン・ヘイレンのバンドですからね。
グローバー:ギターが代名詞。
広瀬:そう、そのエディがキーボードを弾いている。しかも誰もが心に残るあのメロディ。後にはハードロックでヨーロッパのファイナル・カウントダウンとかキーボードのリフがメインになったりする曲も出てきますけど、それまではそんなことやったら多分袋叩きに合うんですよね。“ハードロックでそんなロックないだろう”と。ところが、誰よりもギターが上手いエディ・ヴァン・ヘイレンがそれやったから誰も文句言えない訳ですよ。革命でしたよね、意識の上でもね。
グローバー:野村さんも初めて聴いた時どんな気持ちになりました?
野村:これ初めて聴いたのはビデオで観たんですよ。それでもう“なんでギター弾かないんだろ?なんでギター弾かないんだろ?”って思ってたけど、もっと革命があったんですよ。ギターソロになった時にエディ笑って弾いてんですよ。“ロックの人、笑って弾いちゃいけないでしょ!”って。ロックの人はいつも怖い顔して弾いてるのが当たり前の時代だったからね。それも笑いながら余裕で弾いてんの。

2位:Panama

広瀬:当時の時代を考えるとですね、この曲が84年にビデオクリップも含めて何を生み出したかと言うと、その後のLAメタルの華やかさ。例えば「Panama」のビデオ観ると、その後みんなあれをやってるんですよ。ステージ上の華やかな感じをビデオクリップにに使う。一番代表的なのはBon Joviですよね。モトリー・クルーもそうですけど、その後来たるヘビーメタル、ハードロックのアメリカの華やかなPOPなハードロック、ヘヴィーメタルというシーンを象徴すると言うかそれを作り出したんじゃないかなと。「Jump」は名曲だけどハードロックというか一般的なヒット曲の中に入るでしょう。でも「Panama」は凄いハードロックなん訳ですよね。けど、あの能天気な感じ。イントロが始まって“キタなー!”ってワクワクさせてこの歌詞何なんだろう?っていうような能天気な歌詞で、“Panama!Panama!”と連呼する。“そんなんありかよ!”っていうね。そういうのも含めて“これがアメリカの新しいハードロックなんだ!”っていう、これぞアメリカ、これぞロサンゼルスというね。
野村:ほんとそう、ほんとにそうすね。

1位:Eruption?You Really Got Me

広瀬:これはね、野村さんもおっしゃってましたけども、聴いたときに“なんなんだこれは!”と。 とにかく“なんなんだこれは!?”があっての「Eruption」。この曲は「You Really Got Me」のイントロのごとく扱われたビデオクリップもありましたよね。この流れが本当に凄かった。「You Really Got Me」のカバー自体もまあまあ本当に衝撃的ではあったけども、「Eruption」から繋がるからこそ!っていうところがあって、当時この流れから新時代が始まった、ヴァン・ヘイレンの時代が始まったということ高らかに表現した楽曲かなっていう気がしますね。

■ヴァン・ヘイレンが残したもの

野村:あのね、絶望ですよ、ギターを弾く人達にとっては。何かって言うとファーストアルバムが出たのが78年。78年のインタビューでエディに“どのくらいギター弾いてんの?”って聞いてて“んとねぇ8年か9年ぐらいかな?”って。そのぐらいであの上手さですよ、感性。僕らが40年ギター弾いても届かないところにそこがあるんですよもう。あんな天才二度と出てこないんじゃないかなっていう風に今思ってますね僕は。もうびっくりです。
グローバー:広瀬編集長はいかがですか?
広瀬:前にもちょっと言いましたけどもjimi Hendrix以来の革命ですよね。そしてそれ以降はそういう革命はもう起こっていない。ギターの歴史の中ではエディの前とエディの後しかない。これはもうあらゆる天才的なギタリストって他にも居ます。でもやっぱりエディの凄さには敵わないと皆思ってる訳ですよ。自分こそがナンバーワンと思っていたり、自分こそがという音を持ってたりする人たち、イングヴェイ・マルムスティーンだったりスティーヴ・ヴァイだったりっていう人たちもエディは別格だと思ってますから。自分が影響を受けるとかそんな生易しいことではない。彼はだってエディだから。そういう存在なんですよ。

■キャッチコピー

野村:「ヴァン・ヘイレンとは… 唯一無二」である!
誰も作れないんだもん。コピーはコピーでしかない。絶対にあのサウンドが出ない。曲の作り方もそう。
グローバー:真似したくて真似したくてどんだけやってもできないんだ。
野村:みんなやりました。ファッションもギターもプレイもドラムもベースもボーカルもみんなやったんですけどいろんな人が、誰も多分届かない。
グローバー:広瀬さん。
広瀬:本当に色々あるんですけれどもあえて「BURRN!」な立場から言うとですね、「ヴァン・ヘイレンこそハードロック中興の祖」である!
ハードロックの歴史はクリームから始まった説、ジミ・ヘンドリックスから始まった説、やっぱり レッド・ツェッペリン説ありますけども、それで始まった60年代から70年代のハードロックの歴史が一旦火が消えかかった頃、パンクやニューウェーブがマーケットを席巻した頃に出てきたヴァン・ヘイレンがなければ、その後の80年代のあのハードロックブームは出てこなかった。彼らこそ中興の祖ですね。
グローバー:めっちゃ「BURRN!」ぽくていいですね!

2週に渡るレジェンド『ヴァン・ヘイレン』ラストナンバーは本当に衝撃的だったという『Ain't Talkin' 'Bout Love』で締めくくられました。

PLAYLIST

Jump / Van Halen

Can't Stop Lovin' You / Van Halen

Happy Trails / Van Halen

Eruption?You Really Got Me / Van Halen

優しい奇跡 / 野村義男

Ain't Talkin' 'Bout Love / Van Halen


■放送後1週間は右のRadikoタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
■野村義男さんの詳しい情報はオフィシャルサイト
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次週のテーマは、今年生誕250周年!クラシックレジェンド『ベートーヴェン』ゲストには稲垣吾郎さん、クラシックソムリエ 田中奏さんをお迎えします。お聴き逃しなく!