今週のレジェンドは、今年、生誕80年・没後40年の節目を迎えたジョン・レノン!
ゲストには、真心ブラザーズ YO-KINGさん、THE BAWDIES ROYさんをお迎えしました。
■ジョン・レノンとの出会い
グローバー: YO-KINGさんはジョンが亡くなった1980年、中学生ぐらいですか?
YO-KING:それぐらいですね。僕80年代が中学、高校、大学の10年なので多分中1ぐらいかな。
グローバー:その時はもうビートルズ知っててジョン・レノンを知ってて“あ、亡くなったなったんだ”という感じでした?
YO-KING:知ってましたね。最初に買った LP が『Let It Be』 だったんで「Let It Be」にはとにかくやられましたね。ポールですけどね(笑) それであのルーフトップのライブとかを観る機会あったんですかね、髭もじゃのいちばん威張ってるおじさんっていうイメージですよね。それで「Starting Over」を発売する時期だったと思うんですけどあんまりそっちは覚えてないんですよ。ビートルズのジョン・レノンっていうイメージ。
グローバー:そこから「拝啓、ジョン・レノン」の歌でもありますけど、その後おそらくも本当にハマっていっていちばんかぶれてたのが二十歳の頃ってことはジョンが居なくなってどんどんジョン・レノンにハマっていったと。他のミュージシャンとジョンはここがやっぱりジョン・レノンなんだ、好きだなと思っていたとかあります?
YO-KING:ミュージシャンって格好つけるのが仕事だと思うけど格好つけ方が独特でしたよね。押しだけじゃなくて引く格好良さ。牛乳瓶の底メガネみたいなのをしちゃって外出ちゃうとか、あと全裸でYOKOとの写真をジャケットにしちゃうとか。子供としては訳わかんないじゃないですか。
グローバー:だから真心ブラザーズが歌ってるのも一発目が“あのダサイおじさん”っていうそこに格好よさがあり、独特の魅力があったと。
YO-KING:ダサさも計算してるというかビートルズをやった後のジョンの引き算の格好良さっていうかそういうのは感じましたね。
グローバー:ここから1曲目行きたいんですけど何いきましょうかね?
YO-KING:「Oh Yoko!」やっぱねフォークの魂を感じるというか、フォーク好きな僕にとってはこの曲がすごく響きましたね
ROY:かわいい曲ですよね。
YO-KING:可愛いんですよね。歌詞もなんてことないっていうか“髭剃ってたら君を思い出す”みたいな“真夜中に風呂入ってたら君を思い出す”みたいな。なんてことなくていいんですよね。C-G-Amのリフがずっと続くんですよ。
グローバー:あーあのいちばん名曲になるコード進行のやつ。
YO-KING:そう。あとジョンってピアノがいいですよね、ピアノの使い方が。
グローバー:ROYさんはぐっと世代は下になってジョン・レノンを意識した時ってどういう存在でした?
ROY:もう僕生まれた時は亡くなった後で物心ついたときからもう伝説のバンドだったので、曲は “これビートルズだよ”って言われたら“あー知ってる”っていう感じで。なので改めて掘るっていう事を僕が中学校の時はしなかったんですよね。もう“みんなが知ってる人達”みたいな感じで。それこそ“あの「Let It Be」人達でしょ”ぐらいの感じだったんです。僕の場合は逆に60年代のロックンロールとかにハマっていったきっかけがリトル・リチャードとかチャック・ベリーとかからだったんで、それに影響を受けた自分と同じような感覚でロックンロールをやった人たちがビートルズだって改めて知って。
YO-KING:えー!そんな流れある?!カッコイイ。
ROY:それで最初から聴こうと思って『Please Please Me』から聴いて、最初の「I So Her Standing There」これはポールですけど、最初のポールのカウントと、僕ベースも弾くのでベースのリフとかも聴いてたんですけど、それこそリトル・リチャードとかチャック・ベリーのようなシンプルなリズム・アンド・ブルース、ロックンロールなんですけどメロディの付け方とかが異常と言うか。こんなにロックンロール、リズム・アンド・ブルースをポップスとして聴かせられるっていう、そこにもうびっくりしましたね。
YO-KING:そうだよねぇ。これ誰かから聞いたんだけど、その前にコーラス・グループのロックンロールってあるじゃない、アカペラとか、あとまあミラクルズみたいな。ああいうコーラスグループが楽器を持っちゃったって解釈もあるんだってね。
ROY:なるほど。
グローバー:だからビートルズをポピュラーミュージックとして当たり前に聴いてる人はあんまりロックンロールと感じてない人の方が多いかも知れないですよね。
ROY:僕は最初そうだったんですよね。それで“ビートルズはめちゃめちゃロックンロール・バンドだよ”って言われて、はてなだったんですよね。そこで入っていってようやく気づく。
グローバー:そこから入っていって好きになってハマった曲はどの辺でした?特に好きになった曲。
ROY:最初から聴いたっていうのもあるんですけども『Please Please Me』と『With the Beatles』ここら辺はやっぱ自分達の好きなリズム・アンド・ブルースへの愛情とか憧れみたいなものが濃く出てて、『A Hard Day’s Night』あたりから自分たちの音楽、オリジナリティの“これだ!”みたいなのを自分たち見つけたのかわかんないすけどちょっと輝く瞬間を感じて『A Hard Day’s Night』がアルバムでは一番好きです。ジョン色も強いというのもあって大好きですね。
グローバー:じゃあ『A Hard Day’s Night』で例えばジョン・レノンのここが好きになったとかありました?
ROY:その時はジョン単体っていう見方ではなくビートルズだったんですけど、後追いですけど当時の映像を観てると本人たちがすごい楽しそう。その感じがなんか自分たちと照らし合わせるというかバンド始めた頃に特に観てたので“この感じだよね!”っていうのもすごいありました。
YO-KING:儚いしね、短いでしょ楽しい時期。あの貴重な数年間。
ROY:キラキラを凄い感じるんですよね『A Hard Day’s Night』ぐらいが。
YO-KING:詰まってるよね、あの映像。
■ジョンの歌声
グローバー:ジョン・レノンの歌声って優しかったり、ガラッと変わったり色々ありますけど。
YO-KING:シャウターだからね、シャウトできる人だから優しい歌い方、激しい歌い方ダブルでできる。それで真ん中もあるしね。音楽芸人としてやっぱ凄いレベルなんですよ。やっぱ凄い人は何個か歌い方があると思うんですよね。裏声もイケるもんね。
グローバー:歌い方は真似したりしました?
YO-KING:そうですね「Twist And Shout」とかちょっとザラついてるボーカル大好きです。
グローバー:ROYさんもその成分はちょっとジョンから貰ってるとこありますよね。
YO-KING:凄いよね、“えー!”って思ったもんね。“のど大丈夫なの?!”って。
ROY:リトル・リチャードとかウィルソンピケットとかああいうものを聴いて最初真似していって自分のスタイルだったりするので、逆にジョンの歌声に気付いた頃には僕はもうこのスタイルで行っていたので。
YO-KING:そうなんだ!
ROY:ただ僕と違ってナチュラルに甘く歌っても少ししゃがれるっていうナチュラルで作ってないっていう感じが当時すごい羨ましくて、でもやっぱその“甘く歌ってもしゃがれる”っていう感じが白人なんだけどブラックミュージックの要素が強いのかなって。
グローバー:特にジョン・レノンの歌声が一番好きっていうのはどの曲になります?
ROY:シャウターっていうとこで言うとはやっぱ「Twist And Shout」。結局ジョンは生涯たくさんロックンロールを残してますけど、あのシャウトは超えてないのかなっていう気がして。ロックンロールって制御し切れなくなった感情とか物が飛び出てしまったものって僕はよく言うんですけども、頭で考えてるものを超えた振り切ったものっていう感覚なんですけど、当時ジョンが「Twist And Shout」をレコーディングした時、のどが枯れてたんですよね。コンディションが悪くて上手く歌えない。そこで“なにくそ!”みたいな感じでやった結果もうガラガラの状態でレコーディングしてしまった。そのことをジョン自身はちょっと後悔してるというか“もっとオレ歌えるのに!”っていう感覚があったみたいなんですけど、それって結局自分の頭ではこうしたかった、それができなかったからやった結果の飛び出た物っていう感覚があるので、それこそロックンロールじゃないかなって僕は思うんですよね。
YO-KING:リミッターを超えちゃったんだもんね。
グローバー:僕なんか聴いてて“歌めっちゃ上手いな”って思っちゃう。あんだけシャウトしてて結構細かいピッチとかすげえ良いみたいな。歌めっちゃ上手い人なんですね。
YO-KING:上手いでしょう。
ROY:ボクらなんか今モニターしっかりあるじゃないですか。返しの自分の声がちゃんと聞こえるけど、当時あれが無い状態でお客さんの歓声もすごい状態で音外さずにやってるっていうぐらいですから相当上手いですよね。メンバー全員ですけど。
グローバー: YO-KINGさんはジョンの歌声特にこの曲が好きだなっていうのは。
YO-KING:犬の声とか時々やるでしょ、動物シリーズ(笑)あとおちゃらけシリーズ、誰か有名なイギリス人のモノマネしてんのかな?みたいなさ。あと女の人の形態模写っぽいのあるじゃないですか。あのちょいちょい挟んでくるイギリスのそういうユーモア好きで、犬の声と言えばやっぱねジョンの犬の声帯模写が印象的な曲「HEY bulldog」ですね。
■ジョンにかぶれた二十歳の頃を過ごした真心ブラザーズ YO-KING が選ぶ、
「ギターなジョン・レノンを感じるナンバー」TOP3!!!
3位:Blue Suede Shoes
YO-KING:エリッククラプトンとPlastic ONO Band名義で69年か70年ぐらいに1発ライブやってるんですよね。なんかリハも全然できなくて行く飛行機の中で合わせただけだっていう。だからシンプルなロックン・ロールしかできてないんですよ。それをやっぱり引っ張ってくのはジョン・レノンのリズムギターなんで、まさにね先ほどROYくんが言われた通り本当に荒いんだけどロックン・ロールそのものっていうリズムギターが聴ける。なんだろあのロックンロールの魔術的な魅力。ポップスをやった上でまたロックン・ロールやった人の凄みって言うかさ、一周回った後の3コードって言うかさ。かっこいいよねぇ。リズム感も凄いですよ。
2位:Yer Blues
YO-KING:通称『White Album』 に入ってる曲ですが、ロックンロールのお父さんとしてブルースがあると思うんだけども、当時やっぱりブルース・ブームというのがイギリスにあったらしく、それでそこを正面からやってるというか、まあジョンだからそのブルース・ブーム自体を皮肉ったブルースらしいんですけど、そこまで深く当時はわかってないんですけどジョンのギターの凄みというか、速弾きとかテクがあるわけじゃないんだけれどもボーカリストが弾くエレキギターの凄みっていうかな。
グローバー:シンガーがプレイしてるならではの説得力みたいなのって何かありますよね。
YO-KING:そうですね、やっぱボーカリストが叩くドラム、例えばベーシストが叩くドラム、それぞれのメインじゃない人がやる楽器の面白さってありますよね。“だってしょうがねえじゃん俺メインは違う楽器だから”って言うぶっちゃけ方っていうか勢い。上手くいくとすごい良いテイク録れますよ。ギターソロもかっこいい。
1位:Cold Turkey
YO-KING:ギターのリフがずっと続くじゃないですか、あれがやっぱり素晴らしいですよね。僕もまあジョン・レノンと並べるのもおこがましいですけど、困った時のチョーキングっていう(笑)“チョーキング激しくやっとけばなんとかなんじゃねえか”みたいな究極のリフなんだよねこれ。原始的、プリミティブですよねジョンのやることって。コピーするとできるんだけどギターリストの発想にはないっていうか、ギターソロもすごい変なソロで“これはギタリストが弾くソロじゃないよね”っていうお茶目っていうか“ちゃぶ台返し”みたいな演奏ですよね。
まだまだ続くレジェンド『ジョン・レノン』来週もお聴き逃しなく!
PLAYLIST
Oh Yoko! / John Lennon
A Hard Day's Night / The Beatles
Hey Bulldog / The Beatles
Honoo / 真心ブラザーズ
All You Need Is Love / The Beatles
Cold Turkey / Plastic Ono Band
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