今週のテーマは、今もなお、音楽ファンを魅了するUKバンド、Sade!
ゲストはSalyuさん、WONKのボーカリスト 長塚健斗さんをお迎えしました。
■シャーデーとの出会い
グローバー:Salyuさん、Sadeとの出会いは?
Salyu:24歳ぐらいの時、Salyuでデビューした頃、当時のマネージャーさんが教えてくれたのきっかけなんですよね。
グローバー:始めて聴いた時のこと覚えてます?
Salyu:やっぱり音楽の印象は凄くセクシーで非常に上品なボーカリスト。
グローバー:結構その二つの言葉は対極にありますよね。
Salyu:そうでしょう?このバランスってなかなか出会うことがないのですごく印象深かったですね。
グローバー:この曲まずハマったなって覚えてるのありますか?
Salyu:最初に聴いたアルバムっていうのが『Love Deluxe』で1曲目の「No Ordinary Love」が衝撃の1曲目ですね。すごく激しいと言うかエレキギターとかも入ってきて激しい展開もあるんだけれどもシャーデーはそこに振り回せれることなくたゆたうように常に上品な所作を見せてくれるというところですね。
長塚:女神感がありますよね。
グローバー:あぁ、周りがどんな激動で天変地異が起こっていようとそこでスッと女神が語りかける。
長塚:この人だけなんか浮かんでますもん。
グローバー:神々しいですよね。
長塚:照らしてます、この人は。
Salyu:うん、確かに。
グローバー:長塚さんの出会いは?
長塚:僕いちばん最初の出会いは「Smooth Operater」だったんですけど、テレビCMでシャーデーのオリジナルじゃなくて同じイギリスのバンドのバージョンを聴いて“この曲カッコイイな”って思って。
グローバー:その時お幾つぐらい?
長塚:7年前ぐらい。学生卒業して料理長やってましたね(笑)めちゃくちゃ料理やってた時期ですね。ビストロでフレンチ作ってましたってまさか今日はその話すると思わなかったですよ(笑)
グローバー:やっぱ自分が何してるかで聞こえてくる音って差がある気がするんですよ。料理長の耳に入った「Smooth Operater」はどうだったんですか?
長塚:あはは(笑)でもこの軽快な感じのラテンのノリってキッチンで仕込みしてる時とかだいたい狭い空間で油っぽいし空気もこもるしっていうのですごい調子良くなるんですよ。グローバー:たしかに!風通しも良くなりそう。
長塚:そうそう。あまりにもアップテンポすぎると仕事が雑になるんで丁度いいんですよ。
グローバー:(笑)そこからミュージシャンWONK長塚としてはシャーデーどうですか?
長塚:最初の作品が84年でしたかね、この「Smooth Operater」が入ってるアルバムが。そこからいくつか作品があってで92年の『Love Deluxe』このアルバムからいわゆる90年代R&Bっぽいサウンド感にすごい変わったなって印象があって、全体を通して音作りがめちゃめちゃ良いなっていう印象は元々持ってたんですけど、ここから特にスネアの音とかがめちゃくちゃ変わったなっていう印象が凄くあるんですよ。それで僕の好みに凄くハマったんです。この時代のR&Bっぽい音作りとか僕はすごく好きでそれでよく聴いてたってのもあっていちばん好みなのはこのアルバムでもあるんです。
■アルバム『Love Deluxe』
グローバー:お二人とも一番好きなアルバムとして挙げてます。シャーデーは活動のペースがそんなに今頻繁ではないですがこの辺りまでってのはそのデビューしてグラミーも獲ってわりとコンスタントにその時代の音を取り込んでいってここでなんか一つたどり着いた感じがありますが。
Salyu:改めて聴いてみると、その時代ごとに出会った当時は感じなかった事っていうのもあるんですけど、やっぱりこの『Love Deluxe』っていうアルバムは元々「プライド」っていうバンドのバッキングボーカルとしてシャーデー・アデュー参加するっていう事から「Sade」というバンドが生まれたっていう風に読んだけど、そこから今度アデューが中心になっていくまでのバンドの葛藤だとか音の変化だとかその辺の組織としての成長っていうのが音にあると思うんですよね。このアルバムに至った時に最もなんて言い方してしまって良いかわからないけど私は1リスナーとしては凄く完成を感じたんですよね。この『Love Deluxe』以降アデューが自分のバイオリズムを中心に動いていく。この歌声というのは決まった時間割の中で出来上がるものじゃなくて地層みたいに本当にその人らしい風って言うか、時の刻み方をしながら好きなものをチョイスしてなんかそれが結果的にアデューというあの声に意図して作られてない物って言うか、その意図しない原石みたいなものを感じてそういうものはもしかすると彼女のそのライフスタイルということも大きく影響しているんじゃないかなということなんかも感じたりしていました。
グローバー:いやぁよくわかります。地層を見たときの美しさってなにか建築の構造美とはまた全然違う美しさがありますよね。それが彼女の歌声にはある。
■Salyuセレクト!
「これぞシャーデー・アデュの真骨頂!ボーカルラインに惹かれるSadeナンバー」TOP3!!!
3位:「Is it a Crime」 <1985年『Promise』>
Salyu:今回この番組を機にファーストから聴き直したんですけど、彼女の時代ごとが歌声を聴きながらこの「Promise」の1曲目のこの声を聴いた時に“あ!もう『Love Deluxe』に向かって…”と言っていいか分かんないですけども。
グローバー:結果的にはそうなりますね、これはセカンドアルバム。
Salyu:そう、『Love Deluxe』に向かってバンドのビジョンが出来上がっていってるというかボーカルで言うと1枚目にはないリバーブ感、みずみずしさと透明感っていうことが“あ、このアルバムから始まってるのかなー”って思わせるものがあって、そのインパクトという意味で私はボーカリストなので結構大きな一歩だなって。
グローバー:これが生まれたことでその後のシャーデーが花開いたんじゃないかと。
Salyu:そうなんですよ。
2位:No Ordinary Love<1992年『Love Deluxe』>
Salyu:私にとっての入り口だっていう思い出深さもあるのかもしれないですけども、このメロディをシャーデーが持っている退廃的な雰囲気とスタイリッシュな雰囲気と合わせてそれをポップに仕上げているっていうすごくポップな雰囲気というのもここから感じ取ることができて、それはこのボーカリストにしかできない歌い方がこのメロディアスな曲の中にあるなというところでボーカリストとしてはやはり挙げさせていただきたい1曲でしたね。
グローバー:いまSalyuさんのキーワード聞いててもすごいバランスですよね。彼女はもちろん曲を書くわけですが、退廃的、まあ気だるいんだけどスタイリッシュで洗練されててパリッとしててポップでなんでそうなってるの?と言う。
Salyu:なんなの!(笑)
グローバー:メロディーラインにも秘密はあるんでしょうけど考えてはやってないんでしょうけどね。この奇跡のバランスこの1曲でも伝わるということで。
Salyu:そしてこの楽曲のせいで非常にスリリングな雰囲気も伝わる曲になってますよね。
1位:Pearls<1992年『Love Deluxe』>
Salyu:これはみんなのシャーデーの歌声を聞くならオススメしたい。まずねストリングスという楽器自体がボーカリストの声を本当にもう恋人のように引き立ててくれるんですよ。これはしょうがないんです。
長塚:そう、しょうがないが凄くわかる。良いのはしょうがないんですよ。
Salyu:素晴らしい相性があるということに加えて彼女の持っている複雑な雑味、倍音と言いますか、それがこの美しいストリングスのサウンドの中で、なんて言うんですかね、、彼女の声ってすごく多分複雑な倍音構成なんだと思うんですよ。だから楽器によって化けるようにアンサンブルがすごく大きく変わるっていうこともあると思います。もちろん素晴らしいエンジニアさんが付いてて一つ一つボーカルのアプローチを変えてるということもあるとは思うけれども彼女の持ってる声そのものがアンサンブルを変えてるってことも大きく影響してると思うんですよ。シルクで身体を拭くような贅沢さですね。
まだまだ続くレジェンド『Sade』来週もお楽しみに!
PLAYLIST
No Ordinary Love / Sade
Cherish The Day / Sade
Love Is Stronger Than Pride / Sade
Maureen / Sade
FLOWERS / WONK
Pearls / Sade
■放送後1週間は右下のRadikoタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
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