2021.07.24 ON AIR
【レイ・ハラカミ】蓮沼執太さん、パソコン音楽クラブ 柴田さん登場!

今週のテーマは、この世を去って10年。国内外で愛された電子音楽家レイ・ハラカミ!
ゲストには蓮沼執太さん、パソコン音楽クラブ 柴田さんをお迎えしました。

■レイ・ハラカミとの出会い

グローバー:蓮沼執太さん、電子音楽家、現代版フィルハーモニック・ポップ・ オーケストラ、 いろんなスタイルでやってます。レイ・ハラカミさんの曲最初に聴いた時は自分はどんなことしてる時でした?
蓮沼:僕は学生だったんじゃないですかね。ぜんぜん音楽なんてやってない時にハラカミさんの音楽は聴いてますね。
グローバー:それは自分で買ったんですか?友達に勧められたとか?
蓮沼:好きだったミュージシャンのリミックスをハラカミさんがされてて、最後にまた全然違うテイストの音が流れ出して衝撃を受けましたね。
グローバー:違うテイスト。自分としてはどんな気持ちになったんですか?
蓮沼:聞いたことのない音色が広がってく感じ。自分の中では新しいんですけど、でもどこか懐かしい音色というか響きもあって、当時学生ということもあってどんどん新しいものを聴き漁ってた時期だったんですけどもその中でやっぱすごい刺激的な音でしたね。
グローバー:そこからじゃあ今度はレイ・ハラカミを掘っていきましたか。
蓮沼:そうですね、当時はあまりインターネットとかがなかったんでレコード屋で音源
をチェックするみたいな感じだったので、まあ掘りますよね。
グローバー:そうするとじゃあいっぱい聴いて自分のど真ん中に来た曲ってありました?
蓮沼:たくさんありますし、ハラカミさんは期待を裏切らないし裏切ってくれるって言うか“そうそうこの感じこの感じ、だけどちょっと違う”みたいなのとかがやっぱ匠だなとか、そういうことを感じたりしてましたね。
グローバー:音源だけじゃなくてライブとか今ぱっと振り返って印象に残ってるステージ姿どんなものあります?
蓮沼: 「sonarsound tokyo」っていうライブだったんですけどその時にダムタイプの高谷史郎さんが映像をやられててハタカミさんの音でなんかこうクラブのVJみたいな感じじゃないんですよね。すごい有機的に音と映像が混じり合っていて大げさでもないんですけど本当に映画を観てるような感じで急にリズムが入ってくるとクラブっぽい感覚にもなるんですけど“あ、こういうアプローチする人いるんだ”と思って感動した記憶があります。

グローバー:パソコン音楽クラブ柴田さんはレイ・ハラカミさんとの最初の出会い覚えてますか?
柴田:これは明確に覚えてまして2008年。僕1995年生まれなんですけども2008中学2年生ぐらいの時にYouTubeが出始めの頃だったんですね、そこでもうなんか気になった単語全部検索窓に入れるみたいな中学時代だったんですけど、その時レイ・ハラカミ氏のお名前はもちろん存じ上げていたんですけどもなにぶんお金がなくてCDレンタルもあんまりできないみたいな感じで、そこにYouTubeが現れてそれでレイ・ハラカミって入れて「にじぞう」に出会ってめっちゃ食らったっていうのを覚えてますね。
グローバー:名前が最初インプットされてたのは何だったんですか?
柴田:確かその時に結構CD屋さんとかに行くとレイ・ハラカミさんの新しく出たアルバムとかのポスターとかが貼られててそれで名前を覚えてたんですけど、でも当時地方の何もない場所に住んでたんで“どうしよう…”みたいな感じでですね。
グローバー:そんな中流れてきた曲はどうでしたか?
柴田:もう本当にこれまで聴いたことがないタイプの音楽だなっていうので衝撃受けまして何の楽器がどういう働きしてるのかとか次の展開だとかか全く予想がつかなくてなんかどういった音の現象が起きてるのかがわからないのにすごい親しみやすい感じとかにもう衝撃を食らったというかそれまで聞いたことのない音楽ってだいたい音色がすごいソリッドなものとか突飛な展開がある曲みたいな結構言い方悪いですけど暴力的なのが多かったんですけどハラカミさんって全然そうじゃないのに聞いたことないしよく聞くとこう結構バイオレンスな展開をしてて“あ!すごいこれ全く知らないやつだ”ってなりましたね。

■「Joy」の衝撃

グローバー:衝撃を受けたレイ・ハラカミの曲という項目でお二人共に挙げてらっしゃったのが「Joy」という曲。蓮沼執太さん、どこに一番衝撃を受けたんですか?
蓮沼:とにかくポップ。で本当にポップ。凄いなと。ただ明るいとかっていうこと言いたい訳じゃなくすごい複雑な色を持っていて奥行きもあるんだけど聴き触りはとにかくポップっていうことって何かですね人柄が出る。作った人の人間性みたいなものが音に出ていて“いよいよハラカミさんものすごい曲を作ったな”っていう。ずっと聴いてきてるのでもうなんかほんと凄いレベルまで来ていてリスナーとしても嫉妬しちゃうみたいな。
グローバー:柴田さんはいかがですか?
柴田:この曲って確か10分ぐらいあって。
蓮沼:ちょうど10分。
柴田:怖すぎませんか?なんかポップなんですけど怖わ!って思って。
グローバー:あはは(笑)教えてください、ポップなんだけど怖わ!っていうのは何が怖いんですか?
柴田:ハラカミさんの曲ってループに聞こえるんですけどずっと変化し続けていて、かつ10分それやるってなんだろう“もう快楽追求しすぎでしょ”みたいな。自分のその気持ちいいフレーズっていうか多分リズムがあってものすごくこう理屈では作ってない感じじゃないですかそこを10分やり続けるって“怖いなこの人”って思って。それで蓮沼さんもおっしゃってたんですけどすごいポップな耳障りがずっと続くのは“何だこれ”みたいな(笑)
蓮沼:ある種淡々とやっててそこが恐怖。
柴田:そう恐怖ですね。でもポップっていう。
グローバー:お二人共自分でたくさん音楽を作るようになってそうすると耳も自然と分析する耳がどんどんアンテナが高くなってくると思うんですが、調べてけば機材もこれ一つの中でやってたんだとかいろんなこと知った上でまたこの「Joy」を解体して聴いてみた時に柴田さん的には“ここなんだよ”とか思うとこってどういうとこですか?
柴田:そうですね「Joy」に限らずなんですけど、ハラカミさんもおっしゃってたんですけど真ん中に人がいないっていうか主旋律がない曲が結構多いのが凄いって言うか。聴き触りの良さであそこまで行くって言うかポップになるのって本当に凄いなと思っててそこですね。
蓮沼:本当にこう“この曲の思いはこうなんだ!”って思うとそれこそみんなが主旋律を考えると思うんですよメロディーを。強いメロディーをみんなのイメージにつけようって思うんですけどそうじゃないんですよね。そこががっぽり空洞になってその他のもので全部の世界を作り上げてくっていう。要はリズムも言ってみればそこにはピッチもあって音階もあったりもするので全部でグルーヴだったりハーモニーだったりというの作ってるっていう印象がありますね。

■デスクトップミュージックの申し子!パソコン音楽クラブ 柴田さんセレクト!
「レイ・ハラカミ、珠玉のリミックス曲TOP3」!!!


3位:Art Farmer / SOFT(2001)

柴田:ハラカミさんの曲で生のギターが鳴ったらどうなるんだろう?っていうのが想像つかなかったんですけどこのリミックスではもうやられてて、まあ他のもやられてるんですけど結構相性がバシッとハマってて凄い面白いなと思って印象に残ってたので3位に選びました。

2位:Curved Flow / Ken Ishii(1996)

柴田:多分この曲がハラカミさんのキャリアで一番最初の予定ですよね。ていうのもあってハラカミさんがまだ結構ダンスミュージックに接近してる頃って言うかキックが4つ打っててみたいなところがすごい面白くて、「lust」っていうアルバムとかからのイメージで聴くとまた全然違ってる感じが面白くて2位に選びました。

1位: ばらの花 / くるり(2002)

柴田:ハラカミさんの曲って全部ポップなんですけど怖いなぁっていつも聴きながら思ってるんですけど、これはちょっと音楽やってる方だと分かると思うんですけど頭の歌の入りめちゃくちゃ怖くないですか“そこで入るんだ?!”みたいな。僕はそれにまず超ビックリしたのと「ばらの花」のサビって“安心な僕らは旅に出ようぜ”ってまだ旅に出てない感じじゃないですかそこの心境の不安さじゃないですけどなんか暗い部分をさらに内側から持ってきたみたいなコードワークとかも施されててそれが凄いなーって思って“こんなリミックス聴いたらもう自分誰かのリミックスとかやるときハードル高すぎやろ”みたいな(笑)怖ろしいリミックスだなと思いました。
蓮沼:お話聞いてて思ったのは音には意味ないじゃないですか音だから。言葉が乗ってないので。だけどなんか巧みにポエトリーの私的なニュアンスっていうのが音に入ってるんだなっていう。音色に入っているんだなっていうのを見て怖くなってきました(笑)

PLAYLIST

sabre’ (rei harakami remix) / Child’s View

にじぞう / rei harakami

Joy / rei harakami

『暗やみの色』sequence_03 & yami wa hikari no haha / rei harakami × 原田郁子

Foots / 蓮沼執太

ばらの花 remixed by rei harakami / くるり


♪♪♪Spotifyにもプレイリストを掲載していますぜひお聴きください♪♪♪



■放送後1週間は右下のRadikoタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
■蓮沼執太さんの詳しい情報はオフィシャルサイト
■パソコン音楽クラブの詳しい情報はオフィシャルサイト

来週はレイ・ハラカミのPart2!ゲストには引き続き、蓮沼執太さん、パソコン音楽クラブ 柴田さんをお迎えします。お聴き逃しなく!