2021.09.25 ON AIR
【リー・スクラッチ・ペリー】屋敷豪太さん、TAMTAM kuroさん登場!

今週のテーマは、先月85歳でこの世を去った、ルーツレゲエ/ダブの先駆者、
リー・スクラッチ・ペリー!
ゲストに、屋敷豪太さん、TAMTAM kuroさんをお迎えしました。

■リー・ペリーとの出会い

グローバー:屋敷豪太さん一番最初にリー・ペリーに出会ったのはいつでした?
屋敷:レゲエというものはその前から知っていて、例えばボブ・マーリーだとか。でも誰がプロデュースしたとか、どういう風にしてボブ・マーリーがあそこまで有名なったのかとか全然知らずとにかく“ボブ・マーリー、カッコイイ”と思ってた。あとポリスとかね“レゲエであんな感じ”っていうなんか訳わかんない頃に聴いたりしてたんですけど、それが僕が京都に住んでる頃でそういう風に聴いてたんですよ。
グローバー:学生ですか?まだ。
屋敷:そうですね、それで東京に来てからMUTE BEATを結成するんですが、そのMUTE BEATの前身になったルード・フラワーっていうバンドがありましてね、そこのベースの松本さんの家で“GOTAこんなの聴いたことある?”って聴いたのがMaxRomeoの『War Ina Babylon』だったんですよ。そしたらもう最初からあのサウンド。“なんだこれ!”と思って。もう頭がグルグルしちゃいました(笑)もうこれ俺好き!っていうかもう好きっていう言葉じゃ表せない。“俺コレ!”って感じ。“ここの中に入りたい”みたいなね、仲間に入れて欲しいみたいな。
グローバー:GOTAさんもキャリアの中で他にももちろん色んな音楽とか山ほど好きなものあると思うんですが特に自分がリー・ペリーにこれもらってるなーっていう曲、本当宝物だなってありますか?
屋敷:そうですね、やっぱり『ブラックボード・ジャングル』の1曲め。出だしからもう“どうなっちゃうのこの曲?どこに行くの?え〜〜?”っていう。もう音が外れてるとか外れてないとかそういう次元じゃなくてもう宇宙というか。
グローバー:これ本当なんでしょうね、あの感じを真似しようと思ってもできないものが詰まってると思うんですけど、それでも自分でじゃあここを意識して俺の音楽にこれやってる時リー・ペリーをちょっと感じてやってるっていうドラムのプレイとかもありますか?
屋敷:そういう風なイメージというよりも、アップセッターズっていうのは後々ブラック・アーク・スタジオをやった時にいろんなミュージシャンが来るわけですよね。そこでいろんなドラマーがやるんですよ。だから一人のドラマーではなくその中で構築されていくサウンドとかリズム、グルーヴ感とかっていうのにすごく憧れたというかそこの中に洗脳されてったというか。
グローバー:リー・スクラッチ・ペリーの訃報に触れてじゃあちょっと今改めて聴いてみようとか、名前だけ知ってたけどここから入ろうという人にまずこのアルバム1枚浸ってごらんよっていうアルバムなんですか?
屋敷:やっぱりその「ブラックボード・ジャングル・ダブ」ですかね。これは浸れるると思いますよ。未だに僕浸ってますから(笑)あと「スーパー・エイプ」か「リターン・オブ・スーパー・エイプ」とかってその続編じゃないけどまぁ色々あります本当に。

グローバー:kuroさんは屋敷豪太さんとは世代が違いますんで、どんな入口から入りましたか?
kuro :私は90年代ぐらいに生まれたんですけど、ヒップ・ホップが全盛の時期に青春時代だったので、サンプリングでレゲエのバーニング・スピアとかを使ってたShing02さんの曲があって“何だこれ?!”って“新しく録音したものなのか?違うようだな。”みたいなちょっとレコードっぽい音質だなと思って調べたらレゲエだっていうことで、高校1年生かなそれぐらいの時にレゲエのレコードとかをディグするというか調べて買ってっていう時期に入りました。
グローバー:ヒップホップ好きでサンプルソース掘ってくとものすごい音楽の大海原に出ますけど、中でもレゲエとかにハマっていったんですか。
kuro :そうですね、でも最初全く分からないので、誰が有名かっていうところから知るためにトロージャンのコンピレーションアルバムをよく買ってて、その中で多く出てくるアーティスト名の一つがリー・ペリーだったという感じですね。
グローバー:そこからリー・ペリーっていう名前意識して聴いていったりもしましたか?
kuro :そうですね。そこからアルバムを買ったりとかもするようになったし、借りたりとかするようにもなったんですけど一番最初に聴いたリー・ペリーの曲が“SOUL FOOD”っていう曲ですね。“俺のソウルフードのレシピを紹介するぜ”って言ってドラム、ベースとかってリー・ペリーが順番に声掛けていくんですけど、みんな入ったところでそれらを“Mix It ”混ぜるみたいなこと言うんですよ。そしたらソウルフードの出来上がりみたいな。シンプルな曲なんですけど聴いてて言葉の意味も分かり易いし、そこでリー・ペリーっていう名前を覚えて。
グローバー:そこからハマっていって、じゃあ今ご自身はTAM TAMというグループ、日本のダブシーンを担うバンドのメンバーですけど、今に直結するような影響もらっちゃったなっていう曲はありますか?
kuro :ジャマイカはキング・タビーとリー・ペリーという二大巨頭という感じでダブ・エンジニアが居ると思うんですけど、その二人の作業が入ってるっていう意味でも、初期のダブが私は好きなんだと思うんですけど、ちょっと音が古いというかレコードっぽい音質のアーリー・ダブが好きだっていう意味でも「クローク&ダガー」っていうキング・タビーと一緒にやったものですね。

■プロデュースワークの凄さ

グローバー:リー・ペリーはシンガー、ソングライターいろんな凄さ素晴らしさありますけども、プロデュースワークでこの音の操り方はヤバいなっていう特に好きなものありますか?
屋敷:プロデュースワークはですね、やっぱりボブ・マーリーをあそこまで一つの形というか、ボブ・マーリーというサウンド的なものもメッセージも含めて仕上げていくその技というか。他にも色々プロデュースしてるんですけどやっぱり凄いのはそこですかね。
グローバー: ボブ・マーリーが世界に出てく時にまずリー・ペリーがボブ・マーリーという作品を作って送り出したという時期がありますよね。
屋敷:そうだと思いますよね。なので例えば「Sun Is Shining」とかも凄いし、初期の「Mr. Brown」とか凄いですよね。なんかシンセが入ってるんだけど、ちょっとある意味ファンクなんですよね。さっきkuroさんが言ったヒップホップの中にも通じる何かがある感じ。
グローバー:kuroさんはいかがですか?
kuro :プローデューサーとしてボブ・マーリー、ウェイラーズ 、ヘプトーンズ、コンゴス
とか沢山プロデュースされてるんですけど、ひとつ挙げるならマックス・ロメオですかね。『WAR INA BABYLON 』っていうアルバムがそうだったかなと思います。プローデューサーなんだ!って知ったのもこれだったかなと思いますし、マックス・ロメオはジャマイカのシンガーなんですけど、この前の作品と作風が違ったっていう話は結構有名らしくて、このアルバムでしっかりとジャマイカで言うザ・ポップスっていう感じに変わったってアルバムらしくて、凄いプロディユース力もある方なんだなと思ったのを覚えてますね。

■日本のダブ・レジェンド:屋敷豪太がセレクト!
「これぞ音楽史に残るリー・ペリーの名曲 TOP3」!!!


3位:Police & Thieves / Junior Murvin
屋敷:やっぱりねコーラスのアレンジが特筆すべきとこなんじゃないかなと思うんですよ。なんとも言えないその“え!ここでこういうハモりで来る?”みたいなのが僕の最初の頃のイメージなんですよね。隙を見せてる感じがあるんだけどそのトラックを盛り上げてくれて明るくしてくれる感じ。独特に巧妙だと思うんです。

2位:Sun is Shining / Bob Marley
屋敷:なんかそれぞれの風景があると思うんですけど凄く力強い。言葉で表すの難しいですよね。ピアニカのメロディの太陽の明るい感じとか、なんか温度も感じれるというか何とも言えないサウンドだしね、もう何も言うことないです聴いてくださいってくらいの感じでしたほんと。

1位:War Ina Babyron / Max Romeo
屋敷:やっぱりね色んなレコードかけてるバーに行っても、レゲエ好きな友達のところに行ってもまあ間違いなくあったアルバムだし、僕が最初に強烈に衝撃を受けた曲ですね。

■現代のジャパニーズ・ダブ・シーンを担うバンド:TAMTAM kuro がセレクト!
「リー・ペリー初心者はこれを聴け!入門編ナンバー TOP3」!!!


3位:High Rankin Sammy (from Return of the Super Ape)
kuro :初心者にって言うとアルバムごと聴いて欲しいなと思うんですけども、お酒とか飲みながらずっと流して欲しいなーっていう感じで。「Return of the Super Ape」の中の1曲なんですけど、明るいし、メロディーが普通の歌モノみたいで普段レゲエを聴かない人も聴き易いんじゃないかなぁと思ったので。

2位:Dread Lion (From Super Ape)
kuro :個人的な好みでいうと、ちょっとマイナー調というかカワイイよりカッコイイ感じの曲が好きで、中でもこの曲はいちばん最初にリー・ペリーっていう人がとにかくカッコいいなって思った曲です。

1位:Disco Devil
kuro :初めて聴く人がわかりやすく衝撃を受けるんじゃないかなっていうこのイントロ。これ元の曲はマックス・ロメオの「Chase the Devil」っていうリー・ペリーがマックス・ロメオに書いた曲なんですけど、ここはダブ。リー・ペリーが歌っちゃうと全然違うメロディの乗せちゃうっていう。これがリー・ペリーのダブなんですっていう1曲です。

■キャッチコピー

屋敷:「リー・ペリーとは…宇宙」である!
あんなに広い世界。あの人の脳みその中は宇宙より広いと思います。サウンドが全て物語ってるそんな感じです。

グローバー:kuroさん、これ出た瞬間変な声出してましたけど(笑)

kuro :それが私も「リー・ペリーとは… 宇宙からの使者」である!と付けまして繋がったと。なんか音楽なんですけどもうちょっとなんか広い、何て言うんでしょうね“概念”みたいな。概念が音楽になってるって感じがするというかうまく言葉にできないんですけど。やっぱなんか超えたものを音楽として表現しようとしてる方だったなーっていうのが他の人とは全然違うなと思って聴いてました。

レジェンド『リー・スクラッチ・ペリー』ラストナンバーは『Soul Rebel』 で締めくくられました。

PLAYLIST

People Funny Boy / Lee "Scratch" Perry

Cloak and Dagger / Lee Perry & King Tubby

Love Fire (Massive Red Mix) / Simply Red

War Ina Babyron / Max Romeo

Disco Devil / Lee "Scratch" Perry

Soul Rebel / Lee "Scratch" Perry feat.Bob Marley


◆Spotifyにもプレイリストを掲載しています。ぜひお聴きください。

■放送後1週間は右下のRadikoタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
■屋敷豪太さんの詳しい情報はオフィシャルサイト
■ TAMTAM kuroさんの詳しい情報はオフィシャルサイト

来週は、先月、ドラマー:チャーリー・ワッツの訃報が伝えられた、ロック・レジェンド『ローリング・ストーンズ』ゲストには、音楽評論家 萩原健太さん、ギタリスト Reiさんをお迎えします。お楽しみに!