今週は竹内まりやのPart2!
ゲストには引き続き、土岐麻子さん、韓国のプロデューサー 兼 DJのNight Tempoさんをお迎えしました。
■歌声の魅力
グローバー:竹内まりやさんの歌声、どんなところに魅力を感じますか?
土岐:すごく優しいんですけれども芯があって、柔らかいんだけど強いっていう。その二つの要素が同居しているのがどうにも真似できない魅力ですよね。英語でもそうですけど日本語を歌ったときにすごくクリアに聞こえるので。
グローバー:言葉が全部聞こえてくるんですよね。
土岐:そうそう、そうなんですよ。でもそれが押し付けがましくなくて当たり前のようにソフトにさらっと歌っているんだけれども全部聞こえてくるっていう輪郭の強さっていうんですかね、そこがいったいどういう風に歌ったらああなるのかなと思ってます。
グローバー: Night Tempoさんはいかがですか?
NT:日本独特の歌い方っていうのあるじゃないですか、例えば“こぶし”とか。色んな歌い方が混ざっていって日本の当時のシティポップの歌手の皆さんはそれぞれの独特な歌い方があって、竹内まりやさんと山下達郎さんは歌い方似てますよね。よく聞くと違うけどニュアンスが似てる、夫婦だからかもしれないですけど。まりやさん最初の頃はカーペンターズに似てたんですよ、でもどんどん日本っぽさが出てきて欧米の歌い方と日本の歌い方が両方くっついて、海外でも響く、アジアでも響く、両方の心を動かすことができたんじゃないかと思います。
グローバー:日本語として竹内まりやさんのこのフレーズいいなとかそういうのありますか?
NT:基本的にマリアさんは丸い言葉をよく使うんですけど、感覚的に丸い言葉。例えばすごく近くにいる山下達郎さんとか周りの方は結構直接的な言葉をよく使うんです。80‘sの人みたいに。でもマリアさんは何故か音楽的な雰囲気は似てるけど言葉の選び方が日本語を後から勉強した外国人としては言葉の温度差をすごく感じるんです。まりやさんはどの曲どの歌詞を見ても丸い、優しい歌詞、単語を選んでるなってすごく思いました。
■クィーン・オブ・シティ・ポップ=土岐麻子セレクト!
「この歌詞にグッとくる!竹内まりやソング」TOP3!!!
3位:家に帰ろう(マイ・スイート・ホーム) (1992)
土岐:サビの比喩っていうんですかね、「冷蔵庫の中で凍りかけた愛を温めなおしたいけど 見る夢が違う 着る服が違う」っていう夫婦だったり長年の仲の恋人のすれ違いを描いて。けれどもお互い「帰る場所はひとつでMy sweet sweet home」っていうそのサビのストーリー。リリースされたとき私は高校生だったんですけども一度も恋愛をしたことがなかったし、周りでも結婚した年上の友達も居なかったので、このサビで歌われてるような心境っていうのは経験したことも身近で聞いたこともなかったのでちょっとよくわからなかったんですよ。でもなんかその恋と愛の間だったりとか、不満と満足も両方同時に持ってるっていうか、穏やかで良いんだけどでも刺激もないみたいなそういう不満と満足を両方同時に心に持っているような大人の心の機微と言うかニュアンスっていうのがこの曲を聴いているうちに経験はしたことないのにズバッとキャッチできた気がして。“そういうことがあるんだ、大人になると”っていう。倦怠期ってよく聞くけど辛いばかりなのかとイメージしていたけど、そうじゃないずっと安定した幸せな気持ちっていう満足感というのも同時にあって“不思議だな大人って”って思ったんです。でもだんだん分かるような場面っていうのが私の人生にも出てきますね(笑)
2位:元気を出して (1988)
土岐:この曲も私がまだ子供の時のリリースだったので、どんなシチュエーションなのかよくわからなかったりしてたんですけども、でもその感情はよくわかったというか伝わってきたというか。自分の友達を一生懸命横で励ます優しい歌だなということはよく分かって、時に厳しいことも友達だからこそあえて言うんだなっていうようなことが分かって、やっぱりこの曲も年を重ねるごとに励まされ方がまた変わってくる。
1位:毎日がスペシャル (2001)
土岐:ほんとポジティブなメッセージなんですけども、まりやさんの歌声だったりアレンジだったりのおかげで押し付けがましさも全然なくて、スッと入ってくるっていうかすごく粋なテイストに仕上がってるっていうのがいいですよね。メッセージを噛み締めながら聴く人もいるだろうし、シンプルにサウンドを楽しむっていう人もいるだろうし、後からじわじわと私みたいに励まされるって人もいると思いますし、いろんな魅力を持ったいろんな楽しみ方ができる楽曲でこれぞポップスの王道というか決して真似はできない王道、金字塔っていうんですか?っていう感じですね。
■音楽シーンに与えた影響
グローバー:竹内まりやさんの存在が音楽シーンに与えた影響ってなんでしょうね?
土岐:そうですね、やっぱり美しい日本語とそしてその優しいメッセージ、そして粋なサウンド。そのどれもを味わえる楽曲達をたくさん発表してきてくれた事っていうのが日本のミュージシャン達に目指すべきところを明確に示してくれているような気がしますね。
■キャッチコピー
土岐:「竹内まりやとは…優しき理解者である」である!
聴く人の心を理解してくれるような曲を先回りしていつも作ってくれるような感じがして、いろんな感情になるときが人それぞれあると思いますけれども大体の感情に対応した曲があるんじゃないですかね。自分が本当に自分の心に向かい会えたり、その曲の中で聴いている自分がドラマの主人公になれるみたいな。
NT:「竹内まりやとは…シティポップ株式会社の社長さん」である!
たぶん竹内まりやさんの「PLASTIC LOVE」っていう曲が世界に広がらなかったらこんなに色んな方が日本シティポップに興味を持ってくれたのかな?って思います。で、そのシーンを流れるようにしてくださって周りのミュージシャンもみんな色々お仕事ができるようになったんですよね。なのでシティポップの株式会社として考えたらいちばん偉い方。
2週に渡る『竹内まりや』ラストはもちろん「PLASTIC LOVE」で締められました。
PLAYLIST
駅 / 竹内まりや
Tell me, tell me / 竹内まりや
毎日がスペシャル / 竹内まりや
すてきなホリデイ / 竹内まりや
Mirrors / 土岐麻子
Plastic Love / 竹内まりや
◆Spotifyにもプレイリストを掲載しています。ぜひお聴きください。
■放送後1週間は右下のRadikoタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
■土岐麻子さんの詳しい情報はオフィシャルサイトへ
■Night Tempoさんの詳しい情報はオフィシャルサイトへ