今週のテーマは、
アーティスト活動40周年を迎えた日本を代表するギタリスト、布袋寅泰!
ゲストはお笑いコンビ ダイノジの大地洋輔さん、
音楽コンシェルジュ ふくりゅうさんをお迎えしました。
■布袋寅泰との出会い
グローバー:お二人ともティーンのど真ん中という世代だと思うんですが、大地さんはど真ん中に来た時っていうのはBOØWYでしたか?
大地: BOØWYです。僕、72年生まれの今49なんですけども、中1中2に上がるぐらいの時に街のレコードショップの前を通った時に『JUST A HERO』のジャケットが飾ってあってそれを見て兄ちゃんが“このBOØWYっていうバンドがカッコいいんだぞ”って教えてもらって。そのジャケットもめちゃくちゃカッコ良くて。その後、聴きながらライブビデオ『CASE OF BOØWY』とか『GIGS』とか武道館のやつとか観ながら“これが布袋さんだ、氷室さんだ”とか。そこからどんどんハマっていった感じですね。
グローバー:一発で掴まれたところってどういうところだったんですか?
大地:兄ちゃんが居たんで洋楽は聴いてたんですよ。洋楽っぽい邦楽っていうか日本のバンド。歌謡曲でもないなんかすげーカッコいいバンドっていう。
グローバー:それこそ洋楽にもない手触りが。
大地:そうそう、今考えてみたら歌謡曲テイストも入ったニューウェーヴ感もあるロックバンド。しかもパンクな部分もあったりとか。で、いわゆる様式美がすごいしっかりとしたバンドだったんで、そういうところに詳しくはないけど、どんどん摑まされた感じでしょうね。
グローバー:今回は布袋さん特集の中でBOØWYを語っていただいたり、布袋さんのソロもあればCOMPLEXもありますけど、まずじゃあその青春にプレイバックして“この1曲だな!俺の青春!”というのを今このタイミングで1曲選ぶとすると?
大地: COMPLEX!「恋をとめないで」。ふくりゅうさん、これいいですよね。
ふくりゅう:いいですよね、もうイントロからもうリフからやばい!
グローバー:時期的にはBOØWYが解散して、ソロがあってその後ですか?
ふくりゅう:そうですね、「GUITARHYTHM」出して、その次。
大地:吉川晃司さんも大好きで、アイドルだと思ってたんですよ当時。“こんな破天荒なアイドル居ない!”と思ってた2人が!なんて素晴らしいユニットだと。高校の同級生がざわめきましたからね。蓋開けてみたらまあ「BE MY BABY」でやられて。ミュージックビデオがカッコよすぎて。そこからアルバムが出てその中の「恋をとめないで」のイントロでもう。このイントロがシビれるんですよね。
グローバー:ちょっとエアギター入りましたね、そこなんでしょうねイントロで全部持ってっちゃう布袋印。
大地:はい。
グローバー:ふくりゅうさんもこの曲最高ですか?
ふくりゅう:最高ですね、布袋さんと吉川晃司が並んで“COMPLEX”って何じゃ!?で感じで凄すぎますよ。
大地:あの2人がコンプレックスないだろ!ってね。あんな背の高い男前の2人が。華しかない2人ですから。
ふくりゅう:今に通じるユニットの元祖みたいな感じですよね。
グローバー:大地さんはこのリフ、イントロこそが布袋なんだっておっしゃってましたけど、ふくりゅうさんはこの「恋をとめないで」のリフ、どんな風に聴きましたか?
ふくりゅう:これ最初ギターに聞こえないぐらいキラキラしてるっていうか、これ布袋さんしか弾けないんじゃないかぐらい小学生中学生当時思ってた感じでしたね。独特の輝きを持っているリフっていう。なかなかないですよね。
大地:すごいポップですよね。リフとしてはエッジも効いてるんですけど、その中にもすごいポップで温かみがあって、でも新しいっていうか。なんか複雑ですよね。
ふくりゅう:ねー、いまそれこそストリーミングサービスの普及でイントロが減ってるって言うじゃないですか、でもこれやっぱイントロ聴きたくなるし必要だなって思いますよね。
大地:そうですよね、イントロでOKです(笑)
グローバー:ふくりゅうさんは初めて摑まされたとき、出会い、覚えてますか?
ふくりゅう:僕が最初にハマったのはBOØWYのライヴアルバム『GIGS』だったんですよ、限定版として出てて。まあそこから遡って1985年に出たBOØWYの3枚目のアルバム『BOØWY』に収録されたBOØWY時代に布袋さんが唯一歌っている曲があって「DANCE CRAZE」っていうのがあるんです。これリフで引っ張るダンスチューンでライブはシーケンスを使ってあえて布袋さんはギターを持たずにダンスしながら歌うんですよ。
グローバー: BOØWY時代そういう場面あったんですか。
ふくりゅう:そうなんですよ。映像も残ってたりもするんですけど、で、まあ音源でのギターソロのアバンギャルドさ。これもう完全にパンク、ニューウェーヴ以降のプレイですよね。その楽曲が小学生の頃、刑事ドラマ『あぶない刑事』の劇中でラジカセで爆音でかかっていて。
グローバー:え、じゃあ出会いは『あぶない刑事』?
ふくりゅう:いや、その前にもう聴いていたって感じですね。まあ日本にもこんな自由なアーティストいるんだなーっていうのが。しかもそれがテレビからも鳴っていたっていうので衝撃でしたね、やばいシーンで。
大地:確かにあのアルバムの中にあの「DANCE CRAZE」がいきなりポーンと入るのが多分BOØWYの懐の広さというか。布袋さんの実験的なそういうユニークなところでもあるのかなと思いましたけどね。
グローバー:布袋さんの魅力ってそこもあるんですかね、なんかもちろんポップだし、大ヒット曲、人懐っこいものいっぱい書くんだけど“何これ?”っていうものも出してくる。
ふくりゅう:そうですね、そこはやっぱり洋楽的なセンスであったりアバンギャルドな映画からの影響、サントラとか色んな要素を持ってますよね。
グローバー:ふくりゅうさんの青春の1曲。なんですか?
ふくりゅう:そうですね、中学生の昼の掃除時間に実はその1988年にリリースしアルバム『GUITARHYTHM』収録の「C'MON EVERYBODY」が毎日かかってたんです。やばい中学校ですね(笑)それこそみんな掃除の時間なんでホウキでエアギターしまくってました。この曲はロックンロールの神様エディ・コクランのカバー曲で80年代に活躍したイギリスのニューウェーブバンド「ジグ・ジグ・スパトニック」のアレンジ感があってもう最高ですよね。
■歌詞の世界
グローバー:布袋さんは楽曲提供でも大活躍をしてる方でして、作曲の面、作詞の面、いろんな魅力ありますが、作詞の部分ではどういうところがお好きですか?
ふくりゅう:やっぱ結構「夢」をテーマにしたものって多くて「DREAMIN’」だったり、次に出る新作『Still Dreamin'』もそうなんですけど、青春期の鬱憤的なものや抱えきれない思いみたいのを言葉にして吐き出してくれるので、その影響力ってすごい強くあるなぁと思いますね。
グローバー:大地さんいかがですか?
大地:比喩的なものとかももちろんあったりするんですけど、どちらかと言うと言葉自体ストレートだったりとか。僕、農業高校行ってたんですけど、農業高校の僕にも分かりやすい。
グローバー:それはもう先輩が隣に来て肩たたいて“お前これこれこうなんだよ”って語ってくれるような。
大地:そう、そうなんすよ、なんか人生の先輩というか、そういう人が軽く言ってくれる感じの分かりやすい言葉で。“なるほど!そうですよね!わかりました!”っていう。分かりやすいですね、そういう意味では。
グローバー:こういう数年パンデミックになると布袋さんの言葉の力ってまた改めて注目されてるんだろうなっていうのも感じるんですけども。大地さん、この1〜2年この言葉の力にやられたんだよね、っていうのありますか?
大地:僕はもう去年の暮れの紅白でも歌われてますけども「さらば青春の光」。これ選んだっていうのがやっぱりね。やっぱこれはメッセージだなと。歌詞の内容は“2人”とか“仲間”とかそういう感じですけど、我々みんな布袋さんの仲間みたいなもんですよ、今こういう時期で大変だけどっていうね。布袋さんが救ってくれる。そういう意味ではこの曲「さらば青春の光」がバシッ!っと入りましたね。
■布袋寅泰に魅了された音楽コンシェルジュ?ふくりゅうセレクト?
「アニキからの愛を感じられる?布袋寅泰、珠玉のラブソング」TOP?!!!
3位:DESTINY ROSE<2002 年 / 作詞:森 雪之丞>
ふくりゅう:2002年リリースのシングル曲ですね。めっちゃポップで、これBOØWYでやっててもいいんじゃないかなってタイプの曲で、こんなこと考えちゃいけないんですけど氷室さんが歌ってたらどうなんだろう?とかも思ってみたりとか(笑)
グローバー:ファンはみんな思うんです。
大地:仕方ない(笑)
ふくりゅう:でもこれ布袋さんが歌うとめちゃくちゃカッコいいんですよ。布袋さんの曲って森雪之丞さんが歌詞を書くことが多いんですけど、すごい哲学的なリリックでありもうスーっと入ってくるんですね言葉が。この「DESTINY ROSE」は今聴いても盛り上がるタイプのナンバーだと思うのでラブソングっていうか布袋さんのロマンティックな側面が入っている疾走感あるビートの効いたロックチューンでもある。
大地:たしかにロマンティックはね、布袋さんからは随所にありますよね。ダダ漏れしてます(笑)
ふくりゅう:COMPLEXのセカンドアルバムの『ROMANTIC 1990』っていうアルバムタイトルでしたねー。
2位:NOCTURNE No.9<2003 年>
ふくりゅう:2003年リリースのシングル曲なんですけど、神話っぽい雰囲気の歌詞で人が生きる定めみたいなものを描いた布袋さん自身が書いた曲、歌詞なんですけど、ロマンティックさがすごい込められてる。なんか布袋さんのイメージって「スリル」とか「バンビーナ」とかそっちのイメージって浸透してると思うんですけど「DESTINY ROSE」や「NOCTURNE No.9」とかこの辺も聴いてもらえたら嬉しいなとファン心に思います。
大地:なんかちょっと映画を観てるというかそういう感じの世界観が言葉だけじゃなくて映像も浮かぶような感じのイメージがありますね。
グローバー:音で景色を描かせても素晴らしい。
1位:Daisy<2013 年 / 作詞 いしわたり淳治>
ふくりゅう:これすごいマニアックかもしれないんですけど、アルバム曲であんまり布袋さんファンの中でも名前が挙がる曲じゃないかもしれないんですけど、めっちゃポップでキャッチーなんです。もうイントロのギターリフはもちろん歌メロもめっちゃポップで、さらにギターソロむっちゃくちゃテンション上がりますね。この曲もやっぱりロマンティックさっていうのがキーワードになっていて、今シティポップとか世の中流行っている流れってあると思うんですけど、布袋さんなりのシティポップセンスっていうのもちょっと感じられるところもあるかなと。
まだまだ続く『布袋寅泰』来週もお聴き逃しなく!
■今回の「MUSICOLOGY」は、東京駅前、常盤橋に開かれた新しい街“TOKYO TORCH”プロジェクトの第一弾となる“常盤橋タワー”にある『My Shokudo』からお届けしました。
PLAYLIST
恋をとめないで / COMPLEX
C'MON EVERYBODY / 布袋寅泰
さらば青春の光 / 布袋寅泰
Find A Way feat. Incognito All Stars / 布袋寅泰
GLORIOUS DAYS / 布袋寅泰
Daisy / 布袋寅泰
◆Spotifyにもプレイリストを掲載しています。ぜひお聴きください。
■放送後1週間は右下のRadikoタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
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