2022.03.19 ON AIR
【Dr.Dre】Kダブシャインさん、KEN THE 390さん登場!

今週のテーマは、HIP HOP界の生きるレジェンド、Dr.Dre !ゲストにはKダブシャインさん、KEN THE 390さんをお迎えしました。

■Dr.Dreとの出会い

グローバー: Kダブシャインさん、Dr.Dreとの最初の出会いお幾つぐらい?日本ですか?アメリカ西海岸ですか?
Kダブ:西海岸ですね。オークランドに居て高校生でした。ラップにハマり始めてちょっと経ったぐらいでN.W.A、Easy-Eの「Boyz N The Hood 」とか8-Ball、それからDope Manっていう3曲いっぺんに聴いたんですよ。
グローバー:どうでした?それまで聴いてきたものと何か違ったんですか?
Kダブ:ちょっと音は東海岸のに比べてスカスカな感じはあったんだけど、っていうか音質が悪かったのかな?だけど、とにかく言葉遣いと言ってることが本当にガラが悪くて、それがねやっぱ“面白いね”っていう。
グローバー:ちょっと悪い言葉とかエロとか下ネタ寄りのものもあればいろんなバリエーションがあるじゃないですか。そのガラが悪くて刺激的っていうのは言葉の選び方が違ったんですか?
Kダブ:まあだから一言で言うと“ギャングスタ・ラップ”の始まりだったのかなーっていう。
グローバー:リスナーで初めて“ギャングスタ・ラップ”というキーワードを聞いた人にはどういうものなんですかね?
Kダブ:ヒップホップの中でも割とストリート寄りで不良たちのライフスタイルをラップしてるようなものがまあ“ギャングスタ・ラップ”って言われてたんじゃないかなぁ。
グローバー:当時高校生で色々刺激受けてる中でDr.Dreたちっていうのはなんか“ヤベエ先輩達いる”みたいなそんな感じなんですかね?
Kダブ:まあそうでしょうね。年齢的にもDreとかIce Cubeとか丁度僕らの2つか3つ上ぐらいだから、それがロサンゼルスで、コンプトンで悪いことを常にしながらなのか、割と『ストレイト・アウタ・コンプトン』の映画を観ると本人たちはそこまでギャングって訳ではなく、その周りにギャングが居たことのライフスタイルをラップしてたわけじゃないですか。だからまあなんとなくそういう悪い生き方にちょっとみんな憧れてるような世代がそこに自分の気持ちを投影するようなのが最初のギャングスタ・ラップの広まり方だったんじゃないかとは思うんですけどね。
グローバー:では今一番好きなDreが関連してる曲と言ったらなんですか?Kダブ:やっぱりこれはこの間改めてなんですけども、スーパーボウルのハーフタイムショウを観て、亡くなったんで本人は居ないんですが2Pacの『California Love』がかかったじゃないですか。Dreがフィーチャリングされてる曲で元々Dreの曲だったのを2Pacが“どうしてもそれやりたい!”って頼んでシュグ・ナイトが“そうしてくれ”って言っていう風に言って一緒にやることになったらしい曲ではあるんですけど、ハーフタイムショウの中でちらっとかかったじゃないですか。この曲観客の盛り上がりもね、イントロかかった瞬間すごい盛り上がった感じがして、改めて家で聴き直して“いいな、やっぱりこれ”って思ってたんで、今いちばんDr.Dreと言ってパッて思い出すのはこれかなぁ。

グローバー:この曲はKEN THE 390さんが最初にグッと惹かれた曲。これは初めて聴いた時覚えてます?
KEN:これ95年とかじゃないですか、僕、中学の2年とか3年になるぐらいでまだそんなにヒップホップを意識して聴いてなくて、なんか『NOW』とか『MAX』とか日本だと洋楽コンピレーションがあったんですよ。
グローバー:ヒット曲が盛り盛り入っててお得なやつ。
KEN:そうですそうです、ジャンル問わず流行った洋楽がいっぱい入ってるのに『California Love』が入ってて他の洋楽と並べて聴いたんですけど。だからヒップホップってそんな認識してないんだけどやっぱめちゃくちゃキャッチーで、当時の中学生が聴いても歌えるし、ラップ自体もすごい歌心があるじゃないですか。だからなんかすごく普通の洋楽聴いてる流れで聴いて“めっちゃカッコいいな”って。で、後から知って“あ、Dreなんだ”とかそういうののきっかけになった曲でした。
グローバー:これ普通にポップスとして好きな人、ヒップホップって本当もうそういう感じだと思うんですよ。むしろヒットチャート見たらみんなポピュラーなものってほとんどヒップホップみたいになってきましたけど、この辺りDr.Dreが変えたものってのは大きかったんでしょうね。
Kダブ:まあDre快進撃はもう始まってたんだけど、ここでなんかまたよりひとつドンと上に上昇した感じがしてますね。
グローバー:KENさん、そこから自分もヒップホップ好きになっていって自分もラッパーになって今の耳で聴いて今一番好きなDreの作品って何ですか?
KEN:僕もあのハーフタイムショウを観たんで、やっぱもうあれってどの世代の人が観ても最高じゃないですか。それこそKダブさんみたいに最初からの流れを分かってる人も最高でしょうし僕みたいに途中からでもやっぱり自分が2000年とか99年ぐらいに初めてクラブに行って、それこそハーレムとか大きい箱で初めてDreのサウンドを聴いたときの感動というか、“あぁすげえ!”みたいな。大箱で鳴ってて超カッコいい音みたいなのってやっぱあると思って。
グローバー:大箱で鳴っててカッコいい音。
KEN:うん、それでいくと「Next Epsode」があのハーフタイムショウでDreがガーッてせり上がってきて客席ガーンみたいなあの絵も凄かったし、丁度この曲とかって僕がクラブ行き始めた時にクラブで流行ってかかりまくってたんで。それまで高校生でヒップホップも聴いてたんですけど“やっぱクラブで聴くヒップホップって感覚違うんだな”ってちょっと思ったりした時に..
グローバー:どう違ったんですか?
KEN:なんかそれこそL.Dreとかもそうですけど迫力もそうだしハイファイ感というか音の立体感とかがすごい圧あって感じたような気がして“うわ!めっちゃカッコいい!”みたいな。で、なんか自分が憧れてた音の世界に一歩踏み込んだ時の“もてなされた感”と一緒になっちゃってすごく素敵に響いてた記憶しかないです。
グローバー:そっか音作り。その後Dreってもうサウンドの力でヘッドフォンを大ヒットさせて、いわゆる音楽って音像職人みたいなことで大変な実業家になりますけど、そういうのもあるんですねクラブで色々かかってる中で“うわっ!Dreの音すげえいいな!”っていう。
KEN:っていうかそういう擦りこみもありましたよね、なんかDreって自分でエンジニアワークまでやるみたいなイメージで聴いてたんで、それもあって余計よく聞こえちゃってるというか。
Kダブ:”Mixed BY Dr.Dre”ってみんな書いてあるもんね。

■奇跡のアルバム

グローバー:アルバムを1枚あげるなら?って伺うとKダブさんは『2001』をあげてくれましたね。
Kダブ:これ本当にアルバム通して飛ばす曲がないぐらい全曲いいんですよ。1曲1曲がそんなに長くないんですよね、だから割とどんどん曲が進んでくしちょっと物足りない感じでもう1回最初から聴きたくなるような作りだったりしてるんですけど。
グローバー:これはヒップホップのたくさんのアーカイブの中でもかなりの金字塔ですか?
Kダブ:もう最高傑作と言ってもいいんじゃないかと僕は思いますけどね。
グローバー:どういう部分です?
Kダブ:ミックスの部分、音のイコライザーとかね、高音と低音のそのバランスだったりとか、あと音響的にサラウンド感なのかなぁそういうのとか、もちろんボーカルのミックスとか全てがなんかね完璧だと。もう完全に奇跡が起こったと言われてる。エンジニア界とかミキサー界とかでもこのアルバムはもう奇跡扱いになってますね。
グローバー:そういうアルバムを作ったっていうのは未だにDr.Dreをあらゆる世代がリスペクトするんですね。
KEN:そうですね、あとヘッドフォンが出た時とかもみんなが信頼を置いてたプロデューサーってヒップホップってあんまり居なかったと思うんですよ。
Kダブ:ああBeats。
KEN: Beats が出た時Dreが作ってるヘッドフォンだからイケてんだろうなってみんなが思えるぐらい“Dreのサウンドって凄いよね”っていうのが世界中に浸透してたんだろうなって思って。
グローバー:だからヘッドフォンも大成功もあったんですね。
Kダブ:そうそう。
KEN:あとシンプルですよね、この頃のDreの曲って。インストで聴くと本当に鳴ってる音がドラムとベースと上ネタのフレーズだけがずっと鳴ってるような。なのになんか曲全体的に聴くとすごい豊かで“なんだろうこの感じ?”っていうのがすごい不思議な。なんか音楽としてギリギリのとこの成立具合なんだけど、でもなんか全てが研ぎ澄まされてボーカル乗ると本当に何かひとつの完成した形でもう音足せないんだろうなみたいな。
Kダブ:KENがいいこと言ってくれて、このアルバムはなぜかインストアルバムもちゃんとオフィシャルで発売されてんですよ。ストリーミングサービスへいくとインストのアルバムも聴けるんでインストだけで聴くってこともできるというね。

■KEN THE 390がセレクト!「若者よ!この曲を聴いてくれ!」
  「ここからDr.Dre沼にハマって欲しい!」Dr.Dre初心者入門ナンバーTOP3


3位:In The Club / 50 cent

KEN:これまあとりあえず誕生日ソングとしてめっちゃ分かりやすいんで(笑)ど頭からそうですけど“It’s Your Birthday〜”で誕生日ですげえかかる曲なんですよ。誕生日祝う時ってだいたいHappy Birthday曲以外のふさわしい曲とかってなかなか日本でも無いじゃないですか。やっぱヒップホップ好きで誰かが誕生日迎えたら「In The Club」かけた方がいいんじゃねえかっていうのがあったんで。あとすっごいシンプルなんですよ。ベースすらもほぼ鳴ってなくて上のドゥーンドゥーンとドゥドゥドゥドゥしか鳴ってないのになんかめっちゃくちゃカッコいいみたいな。で、めちゃくちゃ壮絶ヒット曲じゃないんですか。そんなことが起こるのかっていうぐらい。あとヒップホップの凄みも同時に感じちゃうというか、これで完成ですっていう言い切れちゃうところが。他だと絶対もっと音足すよなみたいな。

2位: California Love / 2pac feat Dr.Dre

KEN:これもうジャンル関係なく誰が聴いても最初のロジャーの入りからずっとノレて聴けるし、一発で何言ってるかも分かると思うんでその辺がすごく大事なのかもなと思ったりしてて、キャッチーでいいなと思いますね。
Kダブ:コンプトンとかね、サクラメントとか色んなの地名を出してたりとか、あとズルいのは“カリフォルニア”って曲名につけるとカリフォルニアの人はみんな好きになるっていう。
KEN:しかもそれが許される人たちですよね。
Kダブ:ほんとね、出身だからね。「大阪で生まれた女」とかを大阪の人がみんな好きみたいな。
KEN:そうですね(笑)

1位:Ain't No Fun / snoop dogg feat. Nate Dogg, Kurupt, Warren G

グローバー:家で聴いても小箱で聴いても大箱で聴いてもどこで聴いてもいいんだよねというお話ありましたけども。これKダブさんも若い世代に聴いてほしいとアンケートにこの曲入れてました。
Kダブ:やっぱ聴きやすいし、楽しいし、一緒に口ずさみたくなるようなそんなサウンドなんでね。 特に若い人が“Dr.Dreってどんなの?”と思って1曲めに聴くと聴きやすいからここから色々聴いてみようかなと、そういう気になるんじゃないかと思ったら一緒でした(笑)
グローバー:これちょっとレイドバックしてたりとか、ギャングスタ・ラップというのにこだわってそういう凄みというのを出していくDr.Dreっていう話を聞いてくると、こういう楽しいちょっと抜いた感じっていうのはDreプロデュースではレアなんですかね?
KEN:でもこの曲はなんか車っていうイメージが凄いありますね。ドライブに超ハマるっていうか。
Kダブ:そうだね、まあローライダーとかね特にビデオとかでもなってるぐらいなんで車の中でみんなでっていう。で、このメンバーがWarren GとNate Dogg,ってSnoopが最初に組んでた213っていう3人組にKuruptとかも
参加してるんで、すごい仲間意識。
グローバー:リラックスしたノリもあるんだ、この作品に関わってる人達の。
Kダブ:だと思うなぁ。
KEN:勝手になんか全然知らなくてもカリフォルニアの空気想像して晴れた日に車乗れるっていう感じじゃないですかサウンド感が。
Kダブ:そうかもしんない(笑)
KEN:それだけ向こうを象徴してる風にこっちに居ると聴こえますね。
Kダブ:で、これ曲名にあるように“Ain't No Fun”って言ってるじゃないですか。“仲間が楽しくなけりゃ俺だけじゃ楽しくないよ”っていう“Ain't No Fun”だからほんとに仲間と一緒に車で一緒に移動するときに聴くとまあほんとに盛り上がるし楽しくなるんじゃないかな。

まだまだ続く『Dr.Dre』来週もお聴き逃しなく!

PLAYLIST

California Love / 2pac feat Dr.Dre

Next Epsode feat. Snoop Dogg / Dr. Dre

Light Speed feat. Hittman / Dr. Dre

X / Xzibit

プラネットボム / K DUB SHINE

Ain't No Fun feat. Nate Dogg, Warren G & Kurupt / Snoop Dogg

◆Spotifyにもプレイリストを掲載しています。ぜひお聴きください。

■放送後1週間は右下のRadikoタイムフリーボタンでお聴きいただけます。
■Kダブシャインさんの詳しい情報はオフィシャルTwitter
■KEN THE 390さんの詳しい情報はオフィシャルサイト

来週は、Dr.DreのPart2 !ゲストには引き続き、Kダブシャインさん、KEN THE 390さんをお迎えします。お聴き逃しなく!