今週はDr.DreのPart2 !ゲストには引き続き、Kダブシャインさん、KEN THE 390さんをお迎えしました。
■Dr.Dreのパフォーマンス
グローバー:先週も話には出たんですがやっぱりスーパーボウルハーフタイムショーで今また熱が高まってる人が世界中に居ると思うんですが、まずあれをパッと観た時の第一印象、KEN THE 390さんいかがでしたか?
KEN:僕はもちろん全編ヒット曲だし好きなとこばっかだったんですけど、個人的にはやっぱケンドリック・ラマーからエミネムに繋がるところが激熱でしたね。なんか勝手に“ケンドリックのパフォーマンスすごい気合い入ってんな”と思って。もちろんいつも完璧にやるんでいつも通りなのかも知れないですけどなんかすごい気合い入ったラップに見えて。でもその後エミネムが出てきたんで、その流れを知ってればやっぱ気合い入るよなみたいな。そういう気迫を勝手に感じちゃって。あの流れはすっごい良かったですね。
グローバー: Kダブさんはいかがでしたか?
Kダブ:懐かしさもあるし、もちろん若い世代はケンドリックとかその辺に凄くフィールすると思うんだけど、ステージの上にドレーの真っ白のミキシングボードがドーンと置いてあったじゃないですか、で、街並みは当時の地元のコンプトンの街並みをイメージしてるんだと思うんですよ。その辺の演出もニクイなーっていうのと、ラムズの本拠地であるロサンジェルスでL.Aのラッパー達が出てくるっていうところがほんとニクイなーっていうそういう感じがしましたね。
グローバー:じゃあ今回シビれた人にコレも改めて観て欲しいものありますか?
Kダブ:割と古いところでドクター・ドレーの何枚か連続してプロデュースしたアルバムの中でJ.J.ファドっていう女の子3人組のグループが居たんですよ。
グローバー:何年ぐらいです?
Kダブ:88年かな?この「Supersonic」っていう曲はめちゃめちゃ売れたんですよ。ポップヒットしたんでこの曲の売り上げがそれからのレーベルの運営に凄く役立ったって言われてる曲で。女の子3人なんですがそのうちのラッパーがめちゃめちゃ早口でそれこそエミネムがちょっと前に出した「Rap God」とかのようなフロウをもうこの時にやっていたっていう。今回パフォーマンスって聞かれてレコーディングだもんなぁと思ったとこでちょっとパッて頭に浮かんだのがJ.J.ファドの「Supersonic」です。
グローバー: KEN さんはいかがですか?
KEN:ドレーのライブといえば『アップ・イン・スモーク・ツアー』っていう当時のウエストコーストオールスターみたいなメンツの凄いツアーがあって、それがビデオになってVHSで出てたんですよ。それを高校生とか大学生ぐらいの時買って、観て“うわ、スゲエな”って思った中でも僕は「レット・ミー・ライド」っていうドレーがスヌープとやってる曲で、ステージにスモークがバァーっと炊かれたら後ろの幕が開いてキャデラックが出てくるんですよ本物の。めちゃくちゃ上下に揺れながら出てきてそれにドレーとスヌープが乗ってて、ドレーが降りてこの曲をおもむろに歌い出すっていう演出があるんですけど、やっぱそれが当時の僕らは“スゲー!”みたいな、もうやりすぎぐらいなんだけど様になってて“カッコいいー!”みたいになって(笑)
■Kダブシャインがセレクト!
「思わず唸るサンプリング・ネタ炸裂のDr.Dre曲」TOP3!!!
3位:5 Minutes To Flush/The Firm <Five Minutes Of Funk/Whodini
Kダブ:ドクター・ドレー・プロダクションの中でもちょっと忘れられがちかもしれないんで皆さんよかったら抑えといてほしい一枚ですね。これは実際にFBIがあと5分で来る、だから“今ここにあるヤバイものはトイレに流せ”というストーリーの曲なんですよ。それで使ってるサンプリングがフーディーニの84年かな?の『エスケープ』ってアルバムに入ってる「ファイブミニッツ・オブ・ファンク」っていう曲のサンプルをがっつり使ってるんで、その懐かしさと“この曲にこれを使うんだ”ちょっとニクイなっていう。
2位:California Love/2Pac <Woman To Woman/Joe Cocker
Kダブ:この曲ジョー・コッカーっていう「愛と青春の旅立ち」あのシンガーなんですけど、あの人の70年代の曲で「ウーマン・トゥ・ウーマン」っていう曲なんですけども、ブレイクビーツファンが好きな曲で何曲かそのイースト・コーストのラッパーもサンプリングで使ったんだけどこれを前面に押し出して、1曲ドカンとまとめたのがこの「カリフォルニア・ラブ」ですかね。
KEN:でもめちゃくちゃサンプル聴き直してみても割とモロ使ってんのになんでこんな印象違うんだろうな?って思うぐらい。後ろで鳴ってるバックトラックの味ほぼ同じですもんね。
Kダブ:そうだよね。
グローバー:でも曲の印象が全然違うと。
Kダブ:厚みが全然出てるっていうのと。
KEN:あと弾き直すことでサウンド的にもサンプリングするのとは違って音自体が現代的にアップデートされて聴こえてるってのすごくポップに響く理由なのかなとか思います。
1位:Always Into Something/N.W.A. <Storm King/Bob James
Kダブ:このアルバムは『ニガーズフォーライフ』っていうタイトルで表記だと「EFIL4ZAGGIN」と逆から書いてあるんですよ。
グローバー:文字がパッと読めないようになってますね。
Kダブ:そうそう、それまでのNWAとちょっと一線を画したサウンドプロダクションで、それまでは本当にループだったりちょっとスカスカな感じでどっちかというとちょっとローバジェットな感じがドクタードレプロダクションの魅力だったんだけど、このアルバムからアイス・キューブが抜けたっていうのもあるし、この後に開花する低音と高音のすごいバランスはこのアルバムですごく出し始めていて、その中でもこれファーストシングルだったのかな。で、中でかかってるホーンなんですけど、これボブ・ジェームスの曲でもあるという。ボブ・ジェームスは「ノーチラス」とか「マルディ・グラ」とか割とヒップホップに使われているアーティストでもあるんだけど、なぜこれを1位に選んだかというとキングギドラが最初にライム・スターと一緒にやった「口からでまかせ」ていう曲の中で使ってるサンプリングでもあるんですよ。ただ使ってる場所が全然違うんですね。
■Dr.Dreの影響
グローバー:“やっぱりオレ影響を受けてるわ”って感じることとか、そういう曲とかってありますか?
Kダブ: ドレーの曲ってすごいグルーヴ感がいいから、ラップがトラックに引っ張られてくっていうか特に僕なんか一時ライブでメアリーJの「Family Affair」 とかを使ってたこともあるし、そういうの魅力なんだろうなーって思ってはいるんですけど、今回ここで選んだのは50Centのアルバムの『Get Rich or Die Tryin'」に入ってる「If I Can't」ってやつなんですが、これは僕は2004年ぐらいにDEV LARGEとディス合戦をやった時に使ったトラックなんですよ。すごい今はrest in peaceなんですけど、このトラックにDEV LARGEに対してのディスソングを作って乗っけて。それがまだ当時インターネットが世の中に広まり始めた頃なのかな、で、2chとかそういうところですごい聴かれた曲でもあって、まあそんなのが思い出に残ってるんで。まあ今考えると大人気なかったなっていうのもあるけど。
グローバー:KENさんは自分が影響受けたなって曲ありますか?
KEN:僕はいっぱいあったんですけど、あえて僕がドレー全体を通してすごく好きなのって変化をちゃんとすることなのかなと。ちゃんとするというか時代を引っ張っていってるんですけど、こんなに成功してんのにチェレンジするって凄いなというか。それでいくとやっぱり『2001』も凄いんですけど、その後『Compton』が出てるんでそのアルバムからもいきたいなと思って。
グローバー:そこでまたガラッと変わったんですね?
KEN:そうですね。これがケンドリックと一緒にやってる曲で「Deep Water」っていうのがあって、これドレーはちゃんとラップ攻めてるんですよ。フローの刻みとかも2010年代のラップなんですよ。譜割の細さとか今のサウンド感のビートでやってくるしそこにラップもちょっとアジャストしてきてる感じがあるんですよ。それを聴いた時に“あ、すげーな”みたいな。だって80年代から曲作ってて2015とか16とかちょっと正確にわかんないですけどそのくらいに出してまだ今の現役世代と一緒にタメ張っていく。しかもケンドリック呼んで一緒にラップやってみたいなその姿勢が凄いなと思って。このアルバム自体すごい好きだったんですけどやっぱカッコいいななぁと思いますね。もうこんなにお金も持っててまだ勝負すんのかとか思いますよね。で、完全なる評価もある訳じゃないですか。でもまだ出す。最近もゲームの中だけで聴けるみたいなの出したじゃないですか、その出し方の発想とか。そこの曲たちも懐かしい感じのサウンドもあれば今っぽいのもあったりしてなんかすごい未だにちゃんと曲を作って、そこが時代にちゃんとフィットしていくみたいなのが凄いなと思って。こんな人がまだやってるからまだ頑張らにゃいかんと背筋が伸びますよね。
■キャッチコピー
Kダブ:「Dr.Dreとは…ゴッドファーザー・オブ・ウエスト・コースト・ラップ」である!
まあ本当にウエスト・コースト・ラップはだいぶ歴史も長いんですけれども、本当にドクタードレーがラジオのDJから始まりミックステープ出して、プロデューサーになって、ラッパーになってその後もヘッドフォンで成功したりとか色々ありますけども、本当にウエスト・コーストのヒップホップを30年以上にわたって牽引してきたというのと、まあスヌープにしてもケンドリック・ラマーにしてもエミネムにしてもいろんなラッパーに命を吹き込んでキャリアも与えてきて、いろんな人がドクタードレーに感謝してると思うんです。そういう意味も含めてゴッドファーザーでいいんじゃないですかね。
KEN:「Dr.Dreとは…時代の先が読める男」である!
さっきKダブさんがおっしゃってたみたいにやっぱドレーって新しい人をピックアップするのもすごい上手いし、サウンドを変えてきた男でもあるし、ヘッドフォンもみんなスマホになってiPodになってイヤホン、ヘッドホンのブームくるよねって時に「BEATS BY DRE」がきたりとか、やっぱりちょっとビジネスに関してもそうだしヒップホップに関してもそうだけど“今これ世の中にあったらヤバいよな”みたいな“あったらきっとヒットするよな”みたいなのに一手先に動き出せるのかなみたいな。エミネムも本当に象徴的だったと思うし、そういうことがちゃんとできる人なのかな。で、それをずっとやり続けてきていろんなことを変えてきた人なのかなと思います。
2週に渡る『Dr.Dre』ラストはN.W.Aの「Straight Outta Compton」で締められました。
PLAYLIST
Supersonic / J.J. Fad
Compton feat. Dr. Dre / Kendrick Lamar
Always Into Somethin’ / N.W.A.
Still D.R.E. / Dr. Dre
Re:verse Remix feat. 漢 a.k.a. GAMI, 鎮座DOPENESS / KEN THE 390
Straight Outta Compton / N.W.A
◆Spotifyにもプレイリストを掲載しています。ぜひお聴きください。
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