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中田英寿 静岡の旅 陶芸家、小形こず恵さん

日本の本物とその作り手の声を聴く、VOICES FROM NIHONMONO。
今回中田さんが訪ねたのは、静岡県藤枝市の陶芸家 小形こず恵さん。

呉須と呼ばれるコバルトを含んだ顔料で描く、
自然をモチーフにした図柄が美しい作品を手掛けられています。

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元々、音楽など芸術に興味があったという小形さん。
芸術を学べる大学を選びますが、陶芸を志したのは受験会場で試験官をしていた加藤作助さんとの出会いがきっかけでした。

加藤作助さんは愛知県瀬戸市の陶芸家で、ご自身の活動の一方、
小形さんも通われた愛知県立芸術大学で 後進の指導にもあたられた方です。
受験生に向かって丁寧な挨拶をしてくださったという
その人柄に惹かれ、小形さんは加藤さんのもとで学びました。

その加藤作助さんが大学で熱心に教えたのが、
磁器にコバルトを含んだ「呉須」という顔料で絵付けをする「染付」という技法。
瀬戸の染付の作家がいなくなってきたので育てたい、という思いで
工芸の焼き物の科を作られたのだそうです。

染付の青が宝石だと思ったという小形さん。
一回一回が実験のようで、ここがこういう風に出た、今度はこういう風にしよう、
その繰り返しで、のめりこんでいったといいます。

その後、焼き物が盛んな 愛知県の「瀬戸」にある、瀬戸染付工芸館で研修。
そして静岡に戻り、陶芸を続けて来られました。

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小形さんの作品、染付瓶「朝顔」は、高さ30センチほどの磁器。
瓶の上の方にむかて、花が開く様にフワッと広がり、上から見ると、
直径25センチほどの瓶の口が、青い花びらのようになっています。

「朝顔」は、毎年 種がまかれ、その種から つるを伸ばし、花を咲かせます。
小形さんの作品「朝顔」。 瓶の側面には、つぼみや、しぼんだ朝顔も描かれ、
作品全体で「朝顔」を表現しているのです。

思いもよらぬ作品ができる事に感動があるという小形さん。
人を救うこともできないし、お金もそんなに稼げないけれど、
美しい、ということと、感動が身近にあることは魅力だな、と仰っていました。
             

来年3月24日から、松坂屋名古屋店で個展を開催されるそうです。
是非、足をお運びください。

▼小方こず恵さん 公式サイト
 https://www.aoirohyakka.com/

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