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2023.07.14 ON AIR
今週は原田郁子さんをお迎えしました。
コロナ禍に入ってからは、
時間がかかることをあえて
やるようになったという原田さん...

2014年以来、2度目のご出演となった原田さん。
先日15年ぶりとなる
ソロアルバム『いま』をリリースされましたが、
その間は、クラムボンとしての活動やソロライブ、
他アーティストとの
共演などに力を注いでいたそうです。
ただ本人としては、
これだけの期間が空いていたとは
思っていなかったんだとか。
タイトルの『いま』は、
収録曲で詩人・谷川俊太郎さんとの共作
「いまここ」から付けられています。
「コロナのパンデミックが世界的に始まってから、
　例えば『東京では感染者が何人』とか、
『日本では何人』みたいに、
情報が分けて伝えられるようになって、
確かにそうなんだけど違和感もあったんです。
それで谷川さんの詩を見た時に、
一人一人に“いま”があって、
“ここ”があるって言ってくれているような
気がしたんですよね。そういう言葉の力を感じて、
　この詩を歌にしなくては、と思ったんです。」
と語りました。

谷川さんと共作をしたきっかけは、
2021年に行われたトークイベントだったそう。
そこで谷川さんは
「詩は言葉の意味から
なかなか離れることが出来ない。
　でも歌や音楽はそうじゃないから良いよね。
　昔から羨ましく思っている。」と述べたそうで、
昔から谷川さんの本から
言葉の面白さやリズムを教わったという
原田さんは、この言葉が心に残り、
共作を思い立ったそうです。
ちなみに谷川さんから詩を受け取ってから、
音源にしてリリース出来るまでに
2年かかったと話しました。

クリス・ペプラーはコロナ禍によって起こった、
生活や環境の変化を
真っ直ぐに受け入れたことで、
パンデミックが落ち着きつつある現在も、
心が冬眠しているような感じがあると述べました。
原田さんも共感し、
「元に戻るってことは
生物的には無いんだなって思います。
　この時間が無かったことにはならないし、
　急に外に出ていいって言われても、
　どうしようって戸惑っているところもあります。」
と話しました。

コロナ禍に入ってからは、時間がかかることを
あえてやるようになったという原田さん。
「ごはんとかもそうなんですけど、
わざわざ何時間もかけて筍をゆがくとか、
カレーでもいいんですけど、料理を作るみたいな。
その時間のかかることを楽しもうっていう
考えの先に、自宅でパソコンを使って、自分の声や
ピアノを録音するっていうのが始まりました。
想像以上に面白くて、今思えばこの期間に、
そういう時間をもらうことが出来たのかなって
思います。」と語りました。

そんな中、原田さんがもう一つ楽しんでいたのは、
「Radio Garden」という世界中の
ラジオを聴くことが出来るアプリ。
アプリを開くと地球儀が出てきて、
好きな地域のラジオ番組を
楽しめるサービスなのですが、
「コミュニティFMなのかな、
　ローカルのラジオ局の音が
　リアルタイムで聴けるんですけど、
　ロックダウンされていた街のラジオを聴いて、
『誰かが音楽をかけている！』って思ったり、
　言葉は分からないんですけど、
　一生懸命勇気付けているんじゃないかって
　感じたりしました。その中で自分が知っている
マイケル・ジャクソンの曲が流れたりすると
　嬉しかったり、自分が透明になってその街に
　アクセスしたみたいな感覚になったりして、
　パンデミックの時に
　一番元気付けてくれたかもしれないです。
　適当にいろんな場所を選んでいたら、
　急に島倉千代子さんの曲が
　聴こえてきたりするんですよ。」
と思わぬ出会いのエピソードと共に
アプリをオススメしました。

クリス・ペプラーはコロナ禍で生まれた音楽を
興味深く聴いており、
「ヒットメーカー達が
　内省的でピュアな曲を出していて、
　加工されていない、
　真摯な音楽が多かった気がします。
　肩の力が抜けて自然体になれたのかな。」
と分析しました。
原田さんはこれに対し、
「それまで何かに合わせて
　一生懸命息継ぎしていたけど、
　それぞれが自分の呼吸法を思い出したような、
　そんな時間は二度と無いかもしれないですね。
　二度とあってほしくないですけど。」と語り、
1週目を締めくくりました。

原田郁子さんの情報はこちらから

次週7/21も引き続き、
原田郁子さんとのトークをお届けします。
原田さんが最近注目する
ミュージシャンは誰なんでしょうか？
後半回も濃密な音楽談義をお楽しみください。