長崎県出身の角銅さん。
大学進学をきっかけに上京、
東京藝術大学 音楽学部 器楽科
打楽器専攻を卒業されています。
東京藝大の受験について伺うと、
技術のほかに、1分以内に
自分が好きな表現をする
「自由表現」の試験が
あったそうです。
角銅さんが自由表現の
試験でおこなったのは、ヨガ。
「いろんなポーズが
あるじゃないですか。
鳥のポーズとか電柱のポーズとか。
試験ではカセットデッキで
インド音楽を流して、
眉間にスパンコールを付けて、
電柱のポーズの時には電気の音、
鳥のポーズの時には
鳥笛の音を流しながらやりました。」
と振り返り、
クリス・ペプラーを驚かせました。
家にはピアノがあり、
習っていたこともあったそうですが、
練習が苦手で辞めてしまったという
角銅さん。打楽器との出会いは
高校生の頃。
「吹奏楽部でチューバを
やりたいと思っていたんですけど、
希望者が多くて、
じゃんけんで負けて
打楽器パートになりました。」
と話しました。
その後、UAさんと打楽器奏者の
山口ともさんが出演していた
子供向けの音楽番組
「ドレミノテレビ」とを見たことで、
「こんな大人になりたい」と思い、
打楽器の魅力に惹かれたとのこと。
ちなみに角銅さんが初めて観たライブも
山口ともさんだったそうです。
そんな角銅さんが
東京藝術大学に進んだのは、
とにかく面白い人が集まるところに
行きたかったというのも
大きな理由なんだとか。ほかにも
「絵を書くのも好きで、
藝大には美術学部もあるし、
音楽学部もあるっていうところに
行きたいっていうのもありました。
あとは先生との出会いも
大きかったです。」と話しました。
東京藝大では、日本を代表する
打楽器奏者、高田みどりさんに
師事しており、どう音を出すか、
打楽器を奏でるために必要な
身体作りなど、
細かな指導を受けていたとのこと。
「みどり先生が演奏すると
マリンバっていう楽器が木に還る。
楽器が元あった姿に戻ったような
音がするんですよね。
今もずっと憧れています。」
と語りました。
打楽器専攻の後輩には
ドラマーとして活躍する
石若駿さんがおり、
石若さんのプロジェクト
「SONGBOOK」には、
角銅さんは主に歌詞と歌唱で
参加するなど共作もされています。
「石若くんがピアノで作った曲が
送られてきて、歌詞と歌をつけて
レコーディングするっていうのを
長いこと続けています。
このプロジェクトでは、
石若くんはピアノを
弾くことが多いので、
私の中では
ピアニストっていう印象が
強いです。」と紹介しました。
未知のものに対する憧れが
アーティストとしての
原動力になっているという角銅さん。
好きな音楽も
不思議なものが多いと話し、
例としてこの日紹介したのは、
ブラジルの音楽家
エルメート・パスコアールでした。
最初に観たのは
YouTubeの動画だったそうで、
「滝のある川の中に裸で入って、
お弟子さんのような人が
水の入ったボトルで和音を出して、
それに合わせてエルメートが
水の中で笛を吹いて、
最後水の中に沈んでいくんです。
そういう不思議な人達に
感動したんですね。」
と説明しました。
角銅さんが初めてCDを買ったのは
小学6年生のころ。
ラジオを通して知り、手に入れたのは
レディオヘッドの『Kid A』。
あまり聴いたことが無かった
電子音やボーカルのトム・ヨークの声に
惹かれたとのことで、
ここでも角銅さんの
未知への興味が表れていました。
レディオヘッドが
FUJI ROCK FESTIVALで来日した際に
ライブを観たそう。
「人がたくさんだったので、
後ろの方でトムを
見ていたら、
トムが歌いながら
手を振っていたんですよね。
ずっと彼の音楽に
励まされてきたので、
その人が手を振っているのを観て、
実在していたんだ!ってなって、
すごく記憶に残っています。
本当に感動しました。」
と振り返りました。
この流れからトム・ヨークとも
楽曲で共演があるビョークの話題に。
角銅さんはレディオヘッドと
同じタイミングでビョークも
聴き始めたそうで、
とても好きだとのこと。
クリス・ペプラーも角銅さんも
昨年の来日公演を観に行っており、
ライブで使用されていた
オーダーメイドの楽器について
感想を言い合い、盛り上がりました。
さらに尊敬するアメリカの
シンガーソングライター、
サム・アミドンのお話も。
知り合いのライブ会場で
曲が流れていたのをきっかけに
聴くようになり、
3年前にサム・アミドンと
同じフェスに出たことがきっかけで
一緒に音楽を
作るようになったそうです。
角銅さんの最新作でも
フィーチャリングされています。
日本人で挙げたのは、細野晴臣さん。
「最近ふと思ったんですけど、
細野さんって全部の音楽ジャンルを
やってますよね。大好きです。」
と語りました。
細野さんのラジオ番組にも
度々出演しており、一緒にライブに
出たこともあるそうです。
「この間のライブではギターと
声だけで臨まれていました。
細野さんが楽器を弾いて
歌い始めると、
そこに小さな宇宙が
生まれる感じなんです。」
さて、番組では
「大人の☆生
サッポロ生ビール黒ラベル」で
乾杯していることにちなんで、
ゲストの皆さんに
「大人になったと感じる曲」を
お聞きしていますが、
今回角銅さんが挙げたのは、
ジュディ・シルの
「Crayon Angels」でした。
ジョニ・ミッチェルの音楽を
聴いていたことをきっかけに
知ったそうですが、
最初はピンとこなかったそう。
しかし、最近改めて聴いたところ
「歌ってこういうことなんだ!」
と感じたんだとか。
もともと不思議な音を好む
角銅さんですが、
ジュディ・シルの楽曲の
シンプルな構成と
歌声が心に響いたとのことでした。
そんな角銅さんは
2020年の『oar』以来、
4年ぶりとなるニュー・アルバム
『Contact』をリリースしました。
「未知へのコンタクト」を意味し、
テーマはSFだそうです。
「藤子・F・不二雄先生が
『僕の作品はSFですが、
“少し、不思議“のSFです』って
話していて、その言葉が
心に残っていたんです。
不思議なものと共にあることを
忘れずにいたいという、
そんなことを考えながら作りました。」
と紹介しました。『Contact』には
角銅さんの楽曲以外にも「蛸の女」、
「長崎ぶらぶら節」といった
カバー曲も収録されています。
「もともとこんな作品にしたいという、
具体的な形を決めずに
制作をしていくんですけど、
なぜか分からないけど入れた音も
たくさん入っていて、
でも好きな作品が出来ました。
これが完成して本当に嬉しいです。」
最後に今年の目標について訊かれると、
「未知との遭遇!それが出来るように
自分の宇宙船を磨く、
そういうことですかね。」と答え、
締めくくりました。
角銅真実さんの情報はこちらから
次回は、
デビュー30周年を迎えたギタリスト、
村治佳織さんをお迎えします。
15歳でデビューをし、
世界を舞台に活躍してきた村治さんは、
どんな音楽を聴いてきたのでしょうか?
クリス・ペプラーが村治さんの
音楽ヒストリーを紐解きます。
次回もぜひ、お聴きください。
代々木『FarmMart & Friends』の
雑穀ヴィーガンドーナツ
ちょびっと塩味で、美味しい!(角銅真実)
ドーナツとビール?と
最初は感じたクリス・ペプラーも
「これはビールに合う!美味しい!」と
述べていました。みなさんもお試しを!
Dance / 角銅真実
Lullaby / 角銅真実
ドレミミズンド
森のこびと / ううあ
Wa-Na-Imba / 高田みどり
Asa feat. 角銅真実 / 石若駿
São Jorge / Hermeto Pascoal
Kid A / Radiohead
Utopia / Bjork
Saro / Sam Amidon
外は小雨 feat. Sam Amidon
/ 角銅真実
北京ダック / 細野晴臣
ラモナ / 細野晴臣
i o e o
Carta de Obon
蛸の女 / 角銅真実
Hallelujah / Jeff Buckley
角銅さんとのトークを受けて
クリス・ペプラーが
選んだ1曲はこちら!