今年デビュー25周年を迎えたbirdさん。
OTOAJITOには5年ぶり、
3回目のご出演となりました。
前回はコロナ禍前だったということで、
冒頭はその時の生活や心境の変化について
お話を伺いました。
「音楽をやっている私達は
ライブが出来ないとか、生活が
止まってしまった部分もありました。
歌うことがあまりよろしくないのかな
って思う時もありましたね。」
そんなbirdさんの心を支えたのは
音楽だったそう。
「音楽活動の時間が止まって、
『音楽ってなんなんだろう?』って
立ち止まることもあったんですよね。
そんな時に冨田ラボの
「MIXTAPE」っていう曲が
リリースになって、私もまた作品を
作りたいって思わせてくれました。
その後に、「Map For Love」という曲に
私もゲストで呼んでいただいて、
やっぱり音楽の力ってすごいなと
実感しました。元気をもらいましたね。」
そんなbirdさんの
バイオグラフィーのおさらいも。
birdさんは京都出身で、大学卒業後に
音楽への道を模索すべく
ニューヨークに1年滞在。
帰国後、大阪で大沢伸一さんと出会い、
1999年にシングル
「SOULS」でデビュー。
大沢さんプロデュースの1stアルバム
『bird』は70万枚を売り上げました。
大沢さんとの出会いはbirdさんが歌を
歌うアルバイトをしていた時だったそう。
「レストランみたいな場所で、
ジャズのスタンダードとかを歌う
アルバイトをしていたんですが、
その時に大沢さんから
『どんな感じの音楽が好きなの?』って
声を掛けられたんです。当時は
アレサ・フランクリンとか、
ソウルミュージックが好きで、
そういう話をしたら、
『今、新しいソウルミュージックや
R&Bをやっている人たちがいて、
きっと好きなものがあるから
聴いてみたほうがいいよ。』って
言ってくれたんです。流行っている
音楽に触れる習慣がなかったので、
その時はクラブミュージックも
知らなかったし、大沢さんのことも
知りませんでした。」
大沢さんからエリカ・バドゥや
ディアンジェロ、ローリン・ヒルなどを
教えてもらい、中でもエリカ・バドゥは
とても好きになり、数年前も来日ライブを
見に行ったとのこと。ネオソウルからの
影響を受けつつ、大沢さんとの作業では、
とにかく日本語で表現することが
根底にあったそうです。
「私もそれまでいろんな人の歌を
歌っていたんですが、自分の言葉で
歌いたいと思っていて、大沢さんも
日本語でプロデュースしたい気持ちが
あったので、そこで意見が
一致しました。最初に言われたのは、
今までの荒さや歌い方のクセを
無くして、フラットな状態にすること。
日本語の少しカクカクした発音と、
英語の滑らかな発音ではアプローチが
違うので、振り返ってみると、
一度フラットな状態になったのは
大きかったのかもしれないですね。」
アーティストとして、デビュー当時と
現在の違いについて伺うと、
歌に対する興味だと述べたbirdさん。
「若い時はとりあえずまっしぐらで、
体力もありましたが、歳を重ねていくと
勢いだけでは難しいですよね。
20代のように歌っていたら
壊れてしまう。歌を検証するというか、
分析をしながら、どうやって
歌えばいいのかを考える。こう歌ったら
痛めてしまう、じゃあこういう風に
歌えばいいかなとか、そういった過程を
構築していく感じが
面白いなと思っています。」
そんなbirdさんが最近ハマった
アーティストは南アフリカ
ヨハネスブルク育ちの
アーティストのタイラ。
「私は普段歩いたり、走ったりする時に
音楽を聴かないんですけど、
今年は暑かったじゃないですか。
歩くのも辛いっていう時に、
音楽の力を借りようと思って
聴いていたのが
タイラのアルバムでしたね。
テンポが軽快な感じで、
アルバム通して聴きながら、
どんどん足が前に
進んでいける感じがあって、
今年の夏はよく聴いていました。
音楽から風景も見えるし、
発音の感じも好きですね。」
タイラの他に今年リリースされた新譜で
よく聴いたのは、ノラ・ジョーンズと
ハイエイタス・カイヨーテだそう。
「ノラジョーンズの新譜は家で夜に
ゆっくり聴いています。今回はギターの
サウンドが多めで心地良いですね。
アルバム毎にいろんなチャレンジを
されているので、次の作品を
楽しみにしているアーティストです。
あとはハイエイタス・カイヨーテの
新譜。バンドとしてのチーム感に
グッときます。(ヴォーカルの)
ネイパームさんの声のエネルギーにも
やられちゃいますね。」
ハイエイタス・カイヨーテの
ライブに行った際には、
エネルギーを感じたと語ったbirdさん。
ここ最近で印象的だったライブに
挙げたのは、ブルーノート東京で観た
ジャズ・ヴォーカリスト、
グレッチェン・パーラトのステージでした。
「めちゃめちゃカッコいいです。
ライブアルバムもすごく
カッコいいですし、
引き算の美学というか、
音はすごく小さいんですけど、
そこで織りなす、
“あれやこれや”みたいな感じで、
研ぎ澄まされていて、
勢いで押してこない。
なんか大人だわ!っていう。
リズムも変拍子とかが
出てくるんですけど、それを巧みに、
難しく感じさせないんですよね。」
この流れから、birdさんが大きく
影響を受けたという
シルク・ドゥ・ソレイユのお話に。
高校生の頃に大阪で上演された
『ファシナシオン』に
魅了されたとのこと。
「技や音楽、差し迫る感じにやられて、
私はどうやったら、
シルク・ドゥ・ソレイユに
入れるのかって考えたくらいです(笑)
今でも好きで、去年来た
『アレグリア』も見に行ったんですけど、
やっぱり胸が熱くなりましたね。」
シルク・ドゥ・ソレイユの素晴らしさに
共演するクリス・ペプラーは過去に
ラスベガスで公演を見たそうで、
「シルクが好きならラスベガスは
絶対オススメです」と勧め、
birdさんも
「ありがとうございます。
やりたいことの1つです。」
と納得されていました。
さて、番組では
「大人の☆生 サッポロ生ビール黒ラベル」
で乾杯していることにちなんで、
毎回ゲストの皆さんに
「大人になったと感じる曲」
を伺っています。
この質問でbirdさんが挙げたのは、
古謝美佐子さんの「童神」でした。
「古謝さんがご自身のお孫さんが
生まれた時に、お祝いとして作った
1曲なんですね。いろんなところで
愛されて、歌われてる曲で、
私も以前カバーをしまして、
よくライブでも歌うんですけど、
古謝さんはこの曲をものすごく
長いこと歌われてるんですよ。
去年ライブを観に行った時に、
継続することの凄さを感じたんです。
実は古謝さん、このあいだ
ひ孫さんが生まれたらしくて。
音楽は繋がっていくんだなと。
そして、そういうところに
私も何かを感じるってことは、
大人になったのかなって思います。
若い時はあまり先のことを考える
時間は無かったと思うんですが、
世代を越えて繋がっていくことの
凄さや、素晴らしさっていうものを、
古謝さんに感じるんです。」
そんなbirdさんは冒頭に紹介したように
今年デビュー25周年を迎えました。
それを記念したオールタイム
”リエディット”ベストアルバムが
リリースされています。
『25th anniv. re-edit best
+ SOULS 2024』。
リエディットされた過去曲と、
大沢伸一さんプロデュースのデビュー作
「SOULS (Main)」の新録バージョン
「SOULS 2024 Shinichi Osawa ver.」が
収録されています。リエディットという
コンセプトについて、
「たくさん曲があって、
今まで聴いてくださっている方にも、
初めて聴いてくださる方にも、
もう少し軽やかに、
聴いてもらいたいなってのもあって。
90年代の曲って、7分とか
10分近くある曲もあって、
今の曲って全体的に短いじゃないですか。
なので、もう少しコンパクトにして、
たくさん聴いていただけたら
いいなっていうか、軽やかな感じで、
楽しんでもらえたらいいな
っていうところですね。」
と解説されました。
デビュー曲「SOULS (Main)」」の新録
「SOULS 2024 Shinichi Osawa ver.」では、
デビュー当時と比べ、経験値が
増えたことにより、さまざまな
アプローチで曲と接することが
出来たとのこと。
「自分で言うのもあれですけど、
どっちのバージョンも良いなと
思っています。「SOULS (Main)」を
録音してくれたエンジニアさんが
今回の新録も録ってくださって、
大沢さんと3人で
当時の思い出話に花が咲きました。」
25周年を記念したライブも控えています。
『bird “25th Anniversary Best 2024” Live!』
東京は9/27(金) ビルボードライブ東京にて
2公演予定されています。
デビュー当時の曲から近年の曲まで
選りすぐりの演奏を
予定されているそうです。
そして、最後に今後の活動についても
お話を伺いました。
「新しいアルバムが
ほぼ完成していまして、
それがリリースになるのが
待ち遠しいですね。
今回は他のアーティストと
コラボレーションをしている曲が
いくつかあります。
今までゲストで呼んでもらうことは
多かったんですけど、自分のアルバムに
来てもらうことは少なくて、誰かと
一緒作るっていうことをやっています。」
birdさんには成人になる
お子さんがいるということに
大驚きだったクリス・ペプラー。
今後のbirdさんの活動、
ニューアルバムにも期待です。
birdさんの情報はこちらから
さて、次回9/28は
Suchmosのギタリスト、
TAIKINGさんをお迎えします。
Yonceさんとのコラボ曲も
話題となっているTAIKINGさんですが、
これまでどんな音楽に
影響を受けてきたのでしょうか?
クリス・ペプラー×TAIKINGさんの
濃厚な音楽談義をお楽しみに。
ほの甘あずき
『名前のように、ほのかに甘い蒸したあずきです。
家では最近これとビールが気に入っています。』(birdさん)
過去の出演時は
「牛タン」、「餃子の種」という
おつまみをお持ちいただいたbirdさん
クリス・ペプラー曰く
今回は「玄人のおつまみ」だそう。
Map For Love / 冨田ラボ
Respect / Aretha Franklin
On & On / Erykah Badu
Water / Tyla
Staring At The Wall / Norah Jones
Make Friends / Hiatus Kaiyote
Weak (Live) / Gretchen Parlato
Alegría / Cirque Du Soleil
童神 (天の子守唄) / 古謝美佐子
童神 (Original Version) / bird
LIFE feat. bird 【2024 re-edit】
/ MONDO GROSSO
SOULS 2024 Shinichi Osawa ver.
マインドトラベル 【2024 re-edit】 / bird
symptom of life / WILLOW
birdさんとのトークを受けて
クリス・ペプラーが
選んだ1曲はこちら!