Tempalayではギター、ボーカルを
担当している小原さん。
現在は別プロジェクト、
小原綾斗とフランチャイズオーナーでの
活動も注目されています。
OTOAJITOには初登場ということで、
音楽にまつわるお話をじっくりと伺いました。
小原さんは高知県出身。
両親が20歳の頃に生まれ、
早めに離婚したことから、
子どもの頃は小原さん曰く、
「大人の顔色を伺う術を持った、あざとい子」
だったそう。2歳上に兄がおり、
兄が何かをして怒られている姿を見ながら、
上手いこと学んでいく、
そんな幼少期だったと振り返りました。
音楽の原体験は母親が車で流していた楽曲。
「90年代のJ-POPがかかっていました。
いわゆる小室哲哉さんとかその辺の音楽ですね。
たぶんその頃に、
ポップスの感覚を養ったと思います。
家族でレンタルショップに隔週で行って、
たくさんCDを借りることをやっていたので、
周りの子たちよりも
音楽に触れる量は多かったんじゃないですかね。」
そんな小原さんが初めて買ったレコードは、
キング・クリムゾンの
『クリムゾン・キングの宮殿』と、
映画『ロッキー・ホラー・ショー』の
サウンドトラック。
「中1くらいの時に、
デパートでレコード市みたいなのがやっていて、
そこでジャケ買いしました。
そもそもレコードプレーヤーを
持っていなかったんですけど、
思春期特有の周りより1歩先に行きたい、
みたいな想いで手に入れました。」
機械が好きな友達がプレイヤーを持っており、
その後すぐに聴くことが出来たそうですが、
『クリムゾン・キングの宮殿』の感想は
「気持ち悪い」だったそう。
しかし、その
“おどろおどろしい中にある美しさ”などは、
現在の小原さんの音楽性にも影響を与えているそうです。
もう1枚のレコード、
『ロッキー・ホラー・ショー』ですが、
サントラを通して映画を知り、好きになったそう。
クリス・ペプラーは、娘がこの映画と
音楽を好んでいるらしく、
家族揃って観ることもあるんだとか。
ちなみに小原さんは、
最初に買ったこれら2枚のレコードは手放さず、
今でも持っていると話しました。
自ら音楽を始めるようになったのは、
実家の電器屋さんで働いていた
“タケくん”という青年がきっかけなんだとか。
「休憩時間にアコギで、
山崎まさよしとかSMAPとかを弾いていたんです。
それで『ギターを始めるとモテる』と言われまして、
なるほど!と思ってお年玉で買いました。
今も同じ気持ちでやっています。」
アコースティックギターを弾き始めた小原さんはその後、
バンドをやっていた兄の影響で
エレキギターも手に入れ、
本格的にギターに
のめり込むようになっていったそうです。
中2、中3の頃にバンドを結成し、
マキシマム ザ ホルモンや10-FEET、
銀杏BOYZなどをカバーしていたという小原さん。
中でもマキシマム ザ ホルモンの楽曲には、
人生を変えるほどのインパクトがあったそう。
「レンタルショップに行って借りた、
オムニバスCDに入っていた曲なんですが、
これも最初は拒否反応を起こしたんです。
だけど、次の日には
頭の中でずっと流れていて、
そこからハマっていきました。
マキシマムザ亮君のマーケティングというか、
バンドの転がし方みたいなものに、
めちゃくちゃ感銘を受けて、
いまだに尊敬していますし、
パッケージに対するこだわりなんかも、
ここからですね。
マキシマム ザ ホルモンは素直にスゴいです。」
小原さんは現在まで、
プロミュージシャンになろうと思って
活動をしたことがなく、
単純に「モテたい」という気持ちだけで
続けてきたそう。音楽も勉強をしておらず、
コピーで培ったコード感などから
作曲をしているんだとか。
「自分ではコードの名前も分からないので、
一緒に制作している人に
解析してもらうこともあります。
ただ、音楽を分かり過ぎると
出てこないコード感もあると思うので、
(理論からは)距離は保つようにしています。
みんな僕のことを
羨ましがっていると思いますよ。
この適当で、
知識がない状態には戻れないので。」
と語りました。
最近は楽器の数が少ない、
ミニマルな音楽を好んでいるそうですが、
その流れから小原さんが尊敬する
音楽家・坂本龍一さんの話へ。
「お亡くなりになる前の作品聴いて、
そこから調べると、
坂本さんは年に2、3枚作品を出してるんですよ。
これはもう、(アーティストの)境地だなと。
僕は基本的に音楽を作るのは苦しいし、
いつ散ろうかなと思っているタイプなので、
坂本さんのような人を見ると、
やっぱりもう手放しで、敵わねえなと思います。
100年後も聴かれる
作品を残すのが僕の目標なんです。
死んでも作品が残るって、
やっぱり素晴らしいわけで、
だから今、
自分がやっているバンドっていうものは、
どう変容していくべきなんだろうとか、
めっちゃ考えます。
さすがに今の状態のまま、
70歳になってもやってへんしなとか…。」
それでもやはり、
バンドを続けるのは「モテたいから」だと述べ、
クリス・ペプラーを笑わせました。
番組後半はライブの話からスタート。
「せまいし、時間も長いから」という理由で、
あまりライブを観に行くことはないそうですが、
メルボルンでは印象的なライブを観たそう。
「ジャズフェスティバルがやっていて、
ハービー・ハンコックと
リオーネル・ルエケというギタリストの
演奏はスゴかったですね。
正直、僕はおじいちゃんに興味がないんですよ。
だから舐めてたんですけど、
本当にすいませんでした!って感じでした。」
そんな小原さん、
今後コラボレーションしてみたい人
として挙げたのは、
映画監督のデュオ、ダニエルズ。
「ミュージックビデオ出身の監督で、
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を
撮った人ですね。僕は基本的に自分の仲間たちとしか、
ミュージックビデオを作っていないので、
新しい何か、刺激をもらいたいです。
日本のアーティストで、
今世界でバチバチに戦っている人って
いない印象があるので、
単純に繋がっていきたいです。」と話しました。
さて、番組では
「大人の☆生 サッポロ生ビール黒ラベル」を飲みながら、
音楽トークをしていることにちなんで、
ゲストの皆さんに「大人になった1曲」を伺っています。
この質問で小原さんが選んだ1曲は、
荒井由美さんの「翳りゆく部屋」でした。
「僕がよく行くスナックがあるんですけど、
そこで歌謡曲とかをよく歌うんですよ。
それでずっと歌っていたらママが、
『あなたは『翳りゆく部屋』を歌うべきだわ』
って言ってきまして、
実は、僕はこの曲を知らなかったんですよ。
帰って聴いた時に、
内容がめちゃくちゃブルージーで、
なんかママが俺に哀愁を求めてきよったなと。
でも、せっかく覚えたのに、
こないだ行ったら
なぜか歌わせてもらえなくて、
ちょっとシュンとしましたね。
なんか、その時に
ちょっと大人になったなって思いました。」
そんな小原さんですが、
Tempalayとの別のプロジェクト、
小原綾斗とフランチャイズオーナーは
NEW EP『BAD DOGS』をリリースしました。
このプロジェクトは小原さんを中心に、
PERIMETRONの佐々木集さん、
BREIMENの高木祥太さん、
MONO NO AWAREの加藤成順さんなど、
ライブやレコーディングのたびに
メンバーが入れ替わるバンド。
「一応、現地で急に楽器だけ渡されても、
演奏出来るっていうのがコンセプトですね。
割とミニマルなものを
やっていきたいという感じです。」
メンバーについて伺うと、
「(MONO NO AWAREの)成順は
とにかく可愛いんですよ。
可愛い、いい奴、それと
飲んでいて楽しい奴だけを集めています。
(佐々木)集はマスコットですね。
友達と文化祭をやっている感覚です。」と紹介しました。
NEW EP『BAD DOGS』は、
これまでのEPと同様に
サブスク&ダウンロード配信は無し。
「今回はかなりサグい感じに
なったのではないかと思います。
『お金くれ!ミュージシャンは、
なんでこんな食えねえんだ!』っていうEPです。」
ぜひCDを手に入れて、音源をチェックしてください。
そしてTempalayは4月13日に、
日比谷野外大音楽堂でのライブが予定されています。
タイトルは『yyyyyyyyy』
タイトルの由来はまだ言えず、
いつか『こういう意味だったのか!』と
分かる日が来るそう。
何かの伏線になっているようですので、
こちらのライブへもぜひ足をお運びください!
Tempalayの情報はこちらから
さて、来週3月29日、
3月の週にお迎えするのは、
オルタナティブロックバンド、
Luby Sparksのベース・ボーカル、
Natsukiさんです。
ルーツとなった音楽や、
クリス・ペプラーとの
ベース談義もお楽しみに。
黒ラベルをお忘れなく!
食べる鰹節とちくきゅう
小原さんの地元のご友人が
代々木上原にて経営している
高知居酒屋『でばちか』のおつまみ
きゅうりを1本入れて作る
このスタイルの「ちくきゅう」は
高知県特有のものなんだそうです。
黒ラベルが飲みたくなること間違いなし。
21st Century Schizoid Man
/ King Crimson
Sweet Transvestite / Tim Curry
The Time Warp
/ Richard O'Brien, Patricia Quinn
& Nell Campbell
恋のスウィート糞メリケン
/ マキシマム ザ ホルモン
andata (async - immersion 2023 mix)
/ 坂本龍一
Can't Get Out of This Mood
/ Samara Joy
Seven Teens
/ Herbie Hancock & Lionel Loueke
This Is a Life (feat. Mitski & David Byrne)
/ Son Lux
A Head / E. Ellison
翳りゆく部屋 / 荒井由美
NORA DOGS
亀
ローライダー
/ 小原綾斗とフランチャイズオーナー
Satori Part 1
/ フラワー・トラベリン・バンド