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2021.03.12 ON AIR
今週は、
作曲家/サウンドプロデューサーの
澤野弘之さんをお迎えしました。
映画やテレビドラマなどのサウンドトラックの制作や、
自身のプロジェクトで
音楽作品を発表している澤野さん。
そんな澤野さんが最初に手にしたCDは...

映画やテレビドラマなどのサウンドトラックの制作や、
自身のプロジェクトで音楽作品を発表している澤野さん。
自身では肩書きを作曲家/サウンドプロデューサーとしているそう。

澤野さんは東京の下町生まれ。
最初に手にしたCDは『ドラゴンクエスト・ライブ・コンサート』。
「じゃあ、ゲームをずっとやってらっしゃったんですね。」
というクリス・ペプラーに対し、澤野さんは
「いや、僕ゲームやってなかったんですよ。
　ただ、ドラゴンクエストのテーマ曲って有名だったし、
　友達がピアノで弾いていて、いい曲だなって思っていた時に、
　たまたま知り合いが持っていたサウンドトラックを聴いて、
　自分も母親に買ってもらったんです。」と話しました。
澤野さんは他のゲームでも、BGMが気になってCDを買ったりと、
その頃からBGMの良さを感じていたんだそうです。
「ゲームをプレイしていて、自分が主人公になり、
　それを応援するかのように流れる音楽に思い入れが強くなる。
　それがゲーム音楽の特徴だと思ったりしましたね。」と分析しました。

そんな澤野さんが最初に音楽的な影響を受けたのは、
CHAGE and ASKAのASKAさん。
CHAGE and ASKAの曲はどれも好きだと話す澤野さんが
今でもよく聴く曲は「WALK」。
クリス・ペプラーにCHAGE and ASKAの魅力を聞かれた澤野さん。
「僕が人の曲を聴くときに注目するのは歌声。
　ASKAさんの独特の歌声や歌い回しは、
　それまで自分が聴いてきた音楽と比べて、
　刺さるものがありましたね。」と話しました。

ギターを弾きながら歌いたいと考え始めた澤野さんでしたが、
自分にはあまり歌の才能がないと感じていたそう。
その頃に、小室哲哉さんの存在を知り、自分の歌声を使わなくても、
自分のカラーをサウンドで出せる凄さを感じた澤野さん。
「小室さんは初期の頃に映画のサウンドトラックを手がけていて、
　マルチにいろんな音楽を作る部分に惹かれましたね。
　僕が今やっている音楽も小室さんの影響が大きいです。
　僕のnZk（ヌジーク）っていうボーカルプロジェクトも、
　小室さんプロデュース曲の影響があると思います。」と自身を分析しました。
クリス・ペプラーは小室さんが作曲した、
渡辺美里さんの「My Revolution」を聴き、”小室節”ともいう独特さを感じたそう。
澤野さんは
「それこそ子供の頃に、『シティーハンター』っていうアニメの
　エンディング曲をTM NETWORKがやっていて、
　子供にもカッコ良さを感じさせてくれる曲だったんですよ。
　大人の食べ物を食べさせてもらえた
　子供の喜びみたいな刺激がありましたね。」と当時を振り返りました。
小室さんの独特なサウンドについて澤野さんは
「小室さん特有のリズムの取り方、そして日本とかアジアっぽい
「ヨナ抜き音階」っていうのがあって、
　小室さんはそのメロディーを多用するんですね。
　なので、そのリズムとメロディーの組み合わせが
　小室さんっぽいなって思うことはありますね。」と語りました。

澤野さんが映画音楽にのめり込むきっかけとなったのは、
久石譲さんと坂本龍一さんの影響だそうで、澤野さんは
「ジブリの作品を見ていて、流れてくる久石さんの音楽に惹かれましたし、
　坂本龍一さんは曲の作り方に惹かれました。
　お二人ともさっきの小室さんに通ずる、
「ヨナ抜き音階」のアジア的なメロディーを使われるので、
　そこにも影響を受けたと思いますね。」と話しました。

「澤野さんにとって、久石さんの魅力って何だと思いますか？」
というクリス・ペプラーに対し、澤野さんは
「映像音楽っていろんなタイプがあって、映画を観終わった後に、
　音楽は覚えていないっていうタイプもあるじゃないですか。
　久石さんが担当された作品は必ず、
　なにかしらメロディーが頭に残っているというか、
　それくらいポップでエンターテインメントな、
　人の感情を刺激するメロディーを
　書く人なんだろうなって思います。」と述べました。
坂本龍一さんに関しては
「これは主観かもしれないですが、坂本さんは情緒的というよりは、
　淡々としたメロディーなんだけど、それが最終的に感情にくるなというか、
　音の置き方でメロディアスに聴こえるようになる、
　というのが面白い部分だと思っています。」と魅力を語りました。

番組後半は澤野さんがよく聴いたアルバム
『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX O.S.T.』
の作曲家である菅野よう子さんの話から。
「菅野さんは、僕が映像音楽の世界を目指すようになってから
　知った作曲家なんですけど、菅野さんみたいにジャズを作ったり、
　テクノを作ったり、
　あんな振り幅で音楽を作る人を知らなかったんです。」と澤野さん。
クリス・ペプラーは澤野さんが挙げた作品に触れ、
「俺これ大好きで、アニメも深夜よく観てたんですよ。
　音楽がすごくカッコいいって思ってて。
　でも、また別の作品の音楽を聴くと、作風が全然違うんですよね。」と反応。
澤野さんは
「多ジャンルの音楽を見よう見まねじゃなくて、
　それぞれに精通しているクオリティで作れるっていうところに
　憧れてよく聴いていました。日本人離れした
　サウンドの作り方をする部分にも惹かれましたね。」と話しました。

この流れから、澤野さんの作曲スタイルについての会話になりました。
クリス・ペプラーが
「澤野さんは自分のスタイルがありきなのか、
　それともカメレオンのようにもなれるタイプですか？」と質問すると、
澤野さんは
「駆け出しの頃は、いろんなジャンルの音楽を求められるので、
　そこに対応していた部分もあるんですけど、
　やっぱり小室さんやASKAさん、久石さんや坂本さんの、
　聴いてその人って分かるオリジナリティに憧れていたのもあるので、
　自分自身も聴く人が澤野っぽいなって思ってくれたら、
　それはありがたいなっていう思いで作っています。」と答えました。

澤野さんがよく聴いたアルバムとして他にも挙げていたのが、
Maroon 5の『It Won't Be Soon Before Long』。
「Maroon 5は僕が音楽を作る上でも影響を受けているんですけど、
　バンドって基本的にバンドの音だけで構成されるイメージだったのが、
　彼らはCDの時は打ち込みを駆使していて、
　バンドサウンドだけにこだわらない。
　いろんなものを取り込んで新しい事に挑戦するところにすごく惹かれますね。
　トレンドを上手く取り入れるのって難しいので、
　それに挑戦しているアーティストには常に憧れます。」と話しました。　

そんな澤野さんは3月3日に、
SawanoHiroyuki[nZk]名義の4枚目のアルバム
『iv（イヴ）』をリリースしました。
アルバムタイトル『iv（イヴ）』について澤野さんは
「これまでの作品も1枚目だったら
　1っていう数字にちなんでタイトルをつけてきたので、
　4枚目はどうしようかなってなった時に、ローマ数字だったら
　4は”I”と”V”になるなって思ったんですね。イヴっていう言葉は、
　僕は昔からクリスマスが好きで、クリスマスイヴみたいな
　楽しいことをする前日みたいな気持ちで
　アルバムになったらいいな、っていう感じでつけました。」と紹介しました。　

「今回の作品はどんな内容ですか？」とクリス・ペプラー。
澤野さんは
「今回は自分が追求したい音楽を、
　素直に作ることが出来たアルバムになりました。
　ボーカリストもその曲に一番いいアプローチをしてくれる方とコラボ出来て、
　改めて音楽をやることの楽しさを感じながら制作出来たので、
　それを感じ取ってもらえたらなって思います。」と話しました。

さて、澤野弘之さんとのトークは次週：3月19日に続きます。
澤野さんの好きな映画の話から、
その映画を彩るサウンドトラックの話など、とても濃い内容でお届けします！
クリス・ペプラー×澤野弘之さんの30分の音楽談義。次回もお聴き逃しなく。

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