at home QUIET POETRY
一日の終わりに、一編の詩を。
詩人の菅原敏が 街にそっと詩を注ぐ 真夜中のひととき。
新たな街、新たな言葉との出会いをナビゲートします。
菅原敏の詩の世界をご紹介
2020.05.20
今夜はここ、港区お台場より。
この街は海沿いに立つホテルの街。
かつて私が目黒区・祐天寺に暮らしていた頃、部屋の水周りの配管を改修することになり、家のお風呂が使えないため、2週間分の宿泊費を支給されたことがあった。
この機会に東京のホテルをハシゴしてみようと思い立ち
新宿、日比谷、紀尾井町など様々な東京のホテルを泊まり歩いた。
そして最後に泊まったのが、ここお台場のホテルだった。
暮れ行くレインボーブリッジや東京の夜景をひとりで眺めていると、
なんだかおかしくもありたまにはこんな過ごし方もいいのかなと、
夜の船が音もなく岸を離れていくのをビールを飲みつつ見つめたり。
そんなお台場での時間でした。
今夜も今夜でお届けする一編の詩は、こちら。
『古いホテル』菅原敏
窓辺に腰掛けて
いつも通りの街の景色
なまり色の石畳
夜の空気を吸い込めば
めまいするほどの歳月
海より深いシーツ
枕を抱えて漂って
何年待っても届かない
ルームサービスを
持ち続けているので
もう二度と
チェックアウトできない
かもしれないと
絵葉書に書くための
ボールペンに書かれている
ホテルの名前
2020.05.20
『古いホテル』
2020.05.11
『タンザニア』
2020.05.05
『ピーターラビット』
2020.04.30
『ふたつ重ねて』
2020.04.29
『森の生活』
2020.04.14
『すべて悲しき若者たち』
2020.04.08
『街の素顔』
2020.03.30
『裏窓』
2020.03.24
『4月のふたり』
2020.03.17
『背中に気をつけろ』
2020.03.09
『Tea for Two(二人でお茶を)』
2020.03.03
『食卓に溺れる』
2020.02.27
『甘い生活』
2020.02.25
『白と黒』
2020.02.18
『夜のかもめ』
2020.02.11
『バスタブの音楽』
2020.01.30
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