STORY
馬術選手の大岩義明さん
++ Introduction ++
パリ2024オリンピック総合馬術団体で銅メダルを獲得された
馬術選手の大岩義明さん。
オリンピックには、北京から5大会連続で出場し
今年のパリオリンピックで念願のメダル獲得でした。
『馬術競技って馬とコンビなので
その時に良いパートナーと巡り合っているとか、そういうことも大事なので
なかなかすごく技術がある選手でも
馬との縁がなかったりもするので、運だったり縁だったり環境も影響する
連覇していくのがものすごく難しいスポーツで。
今回はその辺が上手くいった感じですね。』
本来なら何年もコンビを組んでいる馬と出場するそうですが
大岩さんは今回のオリンピックには
今年の2月からコンビを組んだ馬との出場だったそう。
昨年の後半くらいに団体で繰り上げ出場が決まった日本。
そこから馬を探し始めたので、2月になってしまったとのこと。
今回、出場した「総合馬術」は
馬場馬術・クロスカントリー・障害飛越の
3つの種目を同じ人と馬のコンビで3日間おこなわれます。
選手は事前に歩いてコースを見ることができますが
実は馬は競技の時、一発勝負でコースに出るそうです。
『当然ですが次の障害って走っている時に見えてくるわけですよ。
なので「次はあの障害に行くぞ」という雰囲気で向かって走っていくので
それは馬も察するんですよ。
でも馬は障害の向こう側に何があるのかはわからないから
ギリギリになって「行きたくない!」っていう馬はいっぱいいるんですよ。
だからそうならないような信頼関係を馬と作って
「この選手と一緒なら大丈夫だ」という精神状態になっていないと
オリンピックとか、そういうレベルの障害は飛べないですね。』
日頃、小さめの障害を安心して飛ばせるという
飛べるというメンタルを作るための練習をされているとのこと。
++ Until now ++
大岩義明さんの「一番悔しかった時。」
というキーワードで過去を振り返っていきました。
ロンドンオリンピックに出場された大岩さん、
初日の種目で1位に位置付けていました。
あとは大岩さんが得意とする
クロスカントリーと障害飛越ということで
金メダルの可能性がありましたが
まさかのクロスカントリーでの落馬。
その時がこれまでで一番悔しかったそう。
そして、大岩さんの「一番気持ちが不安定だった時。」も
教えていただきました。
小さい頃からオリンピック選手になりたいと思っていた大岩さん。
そう思いつつ、大学の馬術部を卒業後は
これからの生活を考え、馬術と区切りをつけて
会社員として就職することにしました。
それでも自分に言い聞かせた形での競技を離れる形となり
どこかモヤモヤした気持ちでいたそう。
『小さい頃からオリンピックっていうのが頭にあって
大学チャンピオンっていうことで区切りをつけちゃったので
それとは差があるというか・・・
そこで辞めちゃって良かったのかなっていうのが頭にあって
海外の選手と対戦した時には、自分の実力はどこだったんだろう
というクエッションのままやめていたから、これがモヤモヤしていたんです。』
その後、2年間の会社員を経て、再び馬の世界に戻られました。
最初は大学の先輩がイギリスで厩舎を経営されていたこともあり
そこでアルバイトという形で、イギリスへ。
厩舎のアルバイトのほか、夜間の語学学校に通いながら
植物の苗屋さんでもアルバイトをされていたそう。
そんな日々を過ごしている中でチャンスが。
オリンピックにも出場経験がある馬と出会い
コンビを組むことができ、経験を積み
その後、その馬とアテネオリンピックで代表チームに入ることができ
そこから今の会社とスポンサーシップの形に繋がったそう。
++ From now on ++
まずは大岩さんの今後について伺いました。
『今回のパリオリンピックのパートナーの馬が16歳なんです。
4年後のオリンピックになると20歳で
やっぱりそれは無理なので、
パートナー探しから始めなければいけないんですけど
そこがカチッとできないと
ロサンゼルスでやりたいことはやりたいんですけど。
違う色のメダルを目指したいとかあるんですが
パートナーがいてのスポーツなので
そこから準備を整えるようにして、
そのうちにこの馬とメダルをとりたいと思えるような形を作りたいです。』
今年は“初老ジャパン”が流行語大賞になるなど、
日本でも馬術が話題になりましたが
今後、競技の発展のためには、どんなことが必要なのか
大岩さんに伺いました。
『僕は入りの部分がすごく大事だと思っていて
どうしても馬に乗ろうと思うと
1時間くらい離れた郊外に行かないと乗れない。
そうすると続けようと思うと難しいよねってなってしまうと思うんですね。
今、都会化して街の中で育っている子どもたちは
動物に合う機会だとか、そういう場所も減っているだろうし。
そういった子どもたちが郊外に通わなくても
せめてポニーとか馬とかに触れ合えるところだとかを増やして
もう少し入り口を広げてあげたいなという気持ちはすごくあります。』
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