++ Introduction ++

本の中だけにとどまらず、
ラジオ、朗読会、広告をはじめ、
様々なところで詩を発表されている
詩人の菅原敏さん。

現在、詩人として書く、ラジオなどで発表する、大学の授業、
そして「ポエジーを注いで欲しい」、
４つの柱で仕事をされているそうです。

この「ポエジーを注いで欲しい」ということについて・・・

『プロダクトの開発をする際に一緒にゼロから…
今だとアロマディフューザーの開発とか
飲食店のコンセプトの部分から入って欲しいみたいなこととか、
不思議な仕事も時々やってくるので
そういった出会いも楽しみつつですが、
基本は書くことがメインです』。

ここ最近、共通するテーマは香りや食。
江口宏志さんが運営している蒸留所「mitosaya」から
お酒と本を繋ぐ一冊として
『果実は空に投げ　たくさんの星をつくること
? Throw fresh fruits into the sky to make lots of stars』
という詩集も出版されました。
こちらは“燃やす”とmitosayaで作られている
レモンの蒸留酒の香りが楽しめるユニークな詩集になっています。

そして、放送内では食の雑誌「dancyu」での
連載企画「お品書きの詩」から
港区白金台の蕎麦店「利庵」のお品書きをテーマに書き記した
「宵の船」という詩をご紹介いただきました。

※こちらから読むことができます。
お品書きの詩



++ Until now ++

詩人、菅原敏さんの
詩の魅力に触れた原体験とは・・・

『学生時代にアメリカ文学を専攻していたのですが
その時にバンド活動もやっていて、
音楽で生きていけたらいいなと思いつつ
当時、ビート世代と言われる詩人たちの存在を知って
彼らが黒人のジャズの演奏をバックに詩を読んだりとか、
そういう文化があるんだということを知って
文学と音楽の着地点に彼らの存在があって
彼らへの憧れや興味を持ったことが
自分にとって詩の入り口のきっかけになったかもしれないですね』。

その後、バンド活動を続ける中で
フランスの詩人が歌詞を書いたシャンソンと出会ったり、
アメリカやフランスの詩人に触れたことが原体験になっているとか。
ご自身で作詞していくうちにメロディーや音が無くても
詩を書く楽しさを感じるようになったそうです。

詩が生まれるプロセスは様々で、
あまり考えずに自然と降りてくることもあれば
日々つけている日記のようなメモに書いているところから
生まれてくることも。
最近は締め切りによってモチベーションを出させるパターンもあるそうです。

これまで様々な場所・方法で詩の朗読をされてきましたが、
普段、詩がない場所に詩を持っていくことが楽しいと感じているとのこと。
以前、デパートの館内放送で詩の朗読をされた経験もあるそう。

『届く人のところにだけ届いて
必要ない人には普通の
催事のデパートの館内放送と
同じくらいのものにしか聞こえないけれども・・・』。

++ Right now ++

普段、家に籠もって作業することも多いため、
なるべく月に一度は旅行をされているとのこと。
一番多い旅のスタイルとしては
仕事で何処かへ行く際、その前後に休みを取って
プライベートを楽しまれているそう。

『国内で呼ばれる場合はそこに滞在して
その街を感じ取って詩を書き下ろして、
それを収めて返ってくるみたいな仕事が多いんですけど、
今後も色々新しい街との出会いは
楽しんでいきたいなと思っています』。

コロナ禍での外出自粛中のオフの日は
自宅で料理や本を読んだり、
体が鈍らないように有酸素運動などのトレーニングをされたりして
家時間を過ごされているそうです。



++ From now on ++

詩人としてこれからの活動については・・・

『予想もしないところから依頼があったり、人との出会いとか…
新しいジャンルとの出会いっていうものがあるので、
ある種、少し身を委ねつつ
初めてのものっていうのをこれからも楽しんでいきたいな
という気持ちが大きいですね』。

現在、大学院で詩と建築のプロジェクトをされているので
こちらも形にしていきたいとのこと。

これからの時代、詩人に求められる役割とは？

『詩を書く時に「こういう存在でいたい」、「こんなふうに届けたい」
みたいなことって実はあまり考えていないのですが、
振り返った時に、どの時代にも詩人たちは居て、
形は変われど、ポエジーみたいなものは
どこにでもあるものだと思うので続いていくとは思います』。

その上でこれからまだまだデジタル化が進む中で、
同時に詩のあり方も形を変えていくと思うと楽しみだと
お話ししてくださいました。