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STORY

2022.04.23

岸壁幼魚採集家の鈴木香里武さん

++ Introduction ++

岸壁幼魚採集家の肩書でご活躍の鈴木香里武さん。
たも網と呼ばれる道具を使い、
漁港のいる魚の幼魚をすくって観察するということをされています。
学術的には幅広く、
泳ぐことができるようになった魚の赤ちゃんから
成魚になるまでを稚魚とされていますが
香里武さんは、ある程度泳ぐ力も持ち、色もついてきた魚たちを
「幼魚」と呼び、観察を重ねています。

最初はその幼魚たちの可愛さに魅力を感じ観察されていたそうですが
そのうち生き様に惚れ込むようになったとか。

『彼らは体が小さい分、
敵に見つかったらすぐに食べられてしまいますし、
泳ぐ力も闘う力もまだ身についていないわけなんです。
そうすると成魚以上にめちゃくちゃ努力して
想像の斜め上をいくような姿で身を守らないと
生きていけないわけなんですね。』

中には自分も刺される危険性もある中
大きい敵から身を守るために、
毒クラゲにくっついている幼魚もいるそう。

そういった幼魚たちの
様々な生き方に魅了されている香里武さんが
先月「カリブ先生のおさかな赤ちゃん珍図鑑」を出版。
街の書店の他、水族館でも販売されるので
展示されている成魚を見ながら、
この本に載っているその魚たちの赤ちゃんを見てみると
水族館での発見がもう一段階上がるかもしれません。

『成魚の写真は他の図鑑を見ても載っているんですよね。
幼魚の写真はホントに世の中に存在しないので。
あっても標本写真なんですよね。
それを見ても色は抜けているし、
よくわからなく、可愛さが伝わってこないので
やっぱり生きている時の正面顔とか見て欲しいなと思って
この本を作りました。』



++ Until now ++

ご両親が海好きだったこともあり
お仕事がお休みの時は連れて行ってもらっていた香里武さん。
物心ついた時にはすでに観察していたとのこと。
やはりご両親も趣味として
タモ網片手に、魚たちの観察をしていたとか。

岸壁採集歴30年の香里武さん、
意外にも釣り竿を使うのは遅かったそうです。

『小学校5年生くらいかな。
初めて自分の釣り竿を買ってもらって
沼津で糸を垂らしたのが初めて。
だから岸壁採集歴10年目にしてようやく釣り竿を持った感じですね。
ただ釣り竿だとある程度大きい魚しか食いついてこないんですよ。
年々僕の興味は小さい魚になるので
釣りではなかなか出会えない魚たちなんですよね。』

今回の「カリブ先生のおさかな赤ちゃん珍図鑑」の帯に
コメントとイラストを書いてくれたのが
香里武さんの魚研究の先生である、さかなクン。
お二人の出会いは香里武さんが小学4年生の頃。

『さかなクンの場合は教えてくれるというよりも
一緒にいると彼自身が魚との触れ合いを
本当に楽しんでいらっしゃるので
その姿勢を見て学ぶっていうのはありますね。
だからさかなクンがどうやって1匹1匹の向き合い方が
一般の人とは違うんですよね。種類で見てない。
個として見ているので、
1匹1匹の違いをちゃんとわかっている人なんですね。
そういう相対仕方っていうのはすごく影響を受けました。』

さかなクンとの出会いが
ターニングポイントになったと語る香里武さん。
そして、もう一つご自身の中で
ターニングポイントとなった出来事が
幻の深海魚「リュウグウノツカイ」の赤ちゃんをすくったこと。

『僕が見ている世界というのは
水深0メートルの世界なんですよね。
それも潜りもせずに上から見ているので
最も海の中でも浅いところを見ているんですよ。
それに対して深海というのは
200メートルより下で、
リュウグウノツカイだと水深500メートルとかなんですよね。
とてもじゃないけど僕が見ている世界とは
接点がない生き物だと思っていたんですよ。
でもそういうものが赤ちゃんの頃は海面にいるっていう
初めての出会いだったんですね。
それが自分の中では深海と浅瀬が繋がった瞬間であり
自分の岸壁幼魚採取っていう活動に
一気に深みを持たせてくれたタイミングだったなって。』

++ Right now ++

最近、360°カメラを手に入れたという香里武さん。
前と後ろにカメラがついていて、魚眼レンズのように
視野の広く撮れるレンズになっており、
360°あらゆるところを一度に撮影できるというものなんだとか。
そのため、後で切り出すことも可能。

『思い出の新しい残し方だなと思って
これまでならちゃんとカメラを構えて、撮る。
でもその時の後ろ側で何が起こっているのかがわからない。
それが360°カメラの登場によって旅行に行った時とか
それの残し方っていうのが
物凄い情報量が増えたなと思ってハマっていますね。』

大学、そして大学院では心理学科だったという香里武さん、
そこで観賞魚の癒し効果について研究されていたとか。
まだ解明できていない部門であるため
香里武さんは魚類学へ進むまずに心理学へ行かれたとのこと。

『フィッシュヒーリングという分野を勝手に立ち上げまして
魚の色が癒しなのか、動きなのか、浮遊感なのか・・・
距離感だと思っているんですけどね。
こっちは空気、向こうは水の世界。
全然違う世界を生きているのにすごく近いところにいる
でも触れ合えないバリアがあるっていう
押し付けがましくない距離感っていうのが
癒しなんじゃないかなと思っているんだけど。』



++ From now on ++

まもなくゴールデンウィークということもあり、
オススメの岸壁幼魚採集スポットを伺ったところ、
香里武さんの原点である静岡県沼津市はもちろんのこと
関東圏では房総半島もオススメなんだとか。
館山市辺りはいまの時期から夏にかけて
黒潮に乗って南国のお魚たちが旅してくるので
カラフルなお魚たちが見れるかも・・・

香里武さんは魚を食べることも好きなので
その場所でしか食べれらない地魚の料理を食べるのも
旅の一つとしていいのではとお話ししてくださいました。

そんな香里武さん、長年の夢だったという
ご自身が館長を務める水族館が今年オープン予定!
やはり内容としては幼魚が見られる幼魚水族館。
世界初の幼魚に特化した水族館となるということで
小さな水槽が所狭しと並び、
小さな幼魚たちを鑑賞することができるそう。

『普段なかなか大きな水族館では触れ合うことがないような
幼魚たちの生き様だったり可愛らしさというものに
間近で触れてもらう機会をここで作っていきたいなと思います。』

幼魚水族館ということで
成長してきたら卒業してくる魚たちも出てきますが
そういった卒業生たちは
全国のどこかの水族館で見られるそうです。


香里武さん、自分の水族館を作るという夢が実現しましたが
これからもこういった魅力たっぷりの幼魚たちを
言葉として伝えていきたいそう。
なので今後の目標としてはラジオ番組を持つこと。

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