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STORY

2024.06.08

俳人の堀本裕樹さん


++ Introduction ++

現在、世の中的に俳句ブーム。
これまでも俳句ブームの波は何度もありましたが
現在の俳句ブームはテレビ番組の影響かもしれないと
俳人の堀本裕樹さんは考えているそう。

そんな俳句ブームの今、
俳句が愛されている理由について堀本さんは・・・

『(文章が)短いですよね。
短いから、みんなやろうと思ったら作れるというか、
そういった入りやすさっていうのもありますし。
季語を一句の中に入れるんですが、その季語が核になってくるので
その豊かさが作る人の魅力になっているんじゃないかなと思います。』

入りやすさが愛される理由とのことですが
これから俳句を始めたいという方に入門として、
最初は「季語」を入れることが重要だと教えていただきました。
さらに、「や」「かな」「けり」といった
「切れ字」といわれる俳句独特の技法を使うと
なんとなく俳句っぽく聞こえるとのこと。

『俳句では助詞を
「に」にするのか、「の」にするのか、それとも切れ字にするのか、
一語で俳句の魅力が一変するんですよ。』

そして、俳句の核となる「季語」。
意外と普段の生活の中にあるものが季語だったりするそう。
初心者で季語がわからないという方は、
例えば、俳句歳時記という季語辞典を持って
散歩の中で出会った花や虫などの名前を調べると、
例句が載っているので
出会ったものから季語を知りながら、
どういった形で詠めるのか。
自分だったら、どういった形で詠むなど
季語を入れる練習になると教えてくださいました。

『まずは、いろんな句を詠んでボキャブラリーを増やす。
言葉を持っていないと自分が読みたいことを
五・七・五に凝縮できない。
名句、秀句をたくさん詠む。それを自分の自用にする。
あとはひたすら作る。』



++ Until now ++

今回は『一番涙を流した出会い』というキーワードで
堀本裕樹さんの過去を振り返りました。

高校生の時に昼休み自動販売機でジュースを買うのをやめ
そのお金で作家の宮本輝さんの作品を買い、
その本を読んで、堀本さんは涙したとのこと。

『「螢川・泥の河」を読んでとっても胸に沁みて。
昭和30年代を舞台にした
少年と少年の交流を描いたような。
戦後の対戦の傷を、まだまだ背負った時代なので
そういうところも読んでいて、沁みてきて、
とても切なくて生きることを考えさせる小説だったんですね。
そこから宮本輝さんの大ファンになったんです。』

それから30年経ち、堀本さんの元へ
宮本輝さんの書評の依頼があったそう。
さらに、その一生懸命書いた書評を
宮本さんご本人が読んでくださり、
お礼のお手紙をいただいたそう。
そのお礼のお手紙を堀本さんは泣きながら読んだとか。

そのあと、インタビュアーとしてイベントで
堀本さんにお会いする機会があったとのこと。

『500人入る大ホールなんですよ。
観客の方が見ているんです。
そんな中で大ファンの宮本先生に
僕が宮本文学に出会ったことから話していると
泣けてきまして、
僕、舞台の上で大泣きしたんです。』

舞台上で涙するほど宮本さんの大ファンの堀本さん。
堀本さんに大きな影響を与えている方ですが、
他にもいろんな作家さんからの影響も受けているとのこと。

中でも小説家の中上健次さんは
堀本さんと同郷であり、
紀州、熊野の世界観が濃く現れており
堀本さんの俳句は多く影響を受けているとのこと。

そして俳句で一番影響を与えた句は
「子にみやげ なき秋の夜の 肩車」という
能村登四郎さんの句。

『子供に土産がない。買ってあげるお金もそんなにない。
そんな秋の夜に帰ってきて、土産はないけれども
肩車をしてあげて、子供を喜ばせてあげると。
その親子の情愛が、とても沁みまして。
この句って戦後まもない句なんですよ。
だから、まだまだ日本が貧しくて
お金もない、食べるものも苦労する。
そういう時に生まれた俳句なんですよね。』

++ From now on ++

6月13日に、新刊『富士山で俳句教室』という本を発売。
『春夏秋冬、新年・・・
いろんな四季を通じた富士山の表情を一句にしたものが載っていて
それを僕が解説しています。』

さらに『才人と俳人 俳句交換句ッ記』が発売中。
各界で活躍する28人が
堀本さんと交換日記のように手がけた俳句とエッセイが収録されています。


最後に堀本さんに俳句を通して、
チャレンジしていきたいことや、伝えていきたいことを伺いました。

『後進を育てながら、自分の俳句も磨いていきたいなと。
僕が主宰して「蒼海」という俳句結社を持って教えているわけですね。
やっぱり弟子に俳句を上手くなってもらいたい、
俳壇を背負っていってもらいたいなと思う気持ちもあって
教えていかないとなという思いと、
僕自身もまだまだ未熟な俳人なので
自分自身の俳句も、死ぬまで磨き続けるみたいな。
その二つをこれからも頑張っていきたいなと思っています。』

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  • STARING AT THE WALL / NORAH JONES
  • GOLDEN HOUR / JVKE
  • BEYOND / LEON BRIDGES

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