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STORY

2024.07.06

宇宙ライターの林公代さん


++ Introduction ++

宇宙ライターとしてこれまで
宇宙飛行士や宇宙関係者、施設にインタビューや取材、
宇宙・天文分野を中心に長く執筆活動を続け、
さらに宇宙飛行士との共著も多数出版されている林公代さん。

そんな長きに渡り宇宙に関して取材を続けてきた林さんが思う
宇宙の魅力とは・・・

『やはり、わからないことが多いことだと思います。
今はネットで調べたらいろんなことがわかるような気になるけれども
まだまだ宇宙については4%しかわかっていないと言われています。
その理由は、調べれば調べるほどわからないことが増えるというのが一つ。
あとは皆既日食やロケットの打ち上げなど、
現場に行くと空気が変わったり、太陽と月が重なって
昼間の空が一瞬で真っ暗になったり・・・
体験しないとわからない感覚。
ロケットの発射音って人類が発する音で一番大きいと言われていて
その中に包まれると人間の力ってすごいんだと涙が出ちゃいます。』

そんな林さんが今年に入り感動した事が
今年の2月にロケットの打ち上げに成功した瞬間を目撃できたことと
1月にJAXAの小型月着陸実証機「SLIM」が
狙い通りの場所へ月面着陸できたこと。

今、世界的に月面着陸がトレンドになっており
政府の月面着陸機だけではなく、
民間機関が月の着陸を目指しており、
今年の2月にはアメリカの民間企業が月面着陸に成功しました。
ではなぜ今、月面着陸がトレンドとなっているのかというと・・・

『月に水が大量にあると言われているんですね。
それが凍った状態であるんじゃないかと言われていて、
水があると何が良いかというと
その水を使って社会が作ることができる。
人間が住むことができる。
月を経由して、より遠い宇宙を目指すために使える。
昔のゴールドラッシュならぬ、水ラッシュみたいな。』

探査機によると水があると観測されているみたいですが
実は誰もまだ見つけられていない。
その水を見つけるために、月面着陸がトレンドになっているそう。

将来的には月に住めるようになるという構想を立てられており、
ある企業は「ムーンビレッジ」という
2040年ごろには月に1000人が暮らし
年間1万人が地球と月を往復する構想を打ち出しているそう。

月にある水によって新たな可能性が出てきていますが
今後の動きとして、実際に水があるのか調べるフェーズに移っていくそう。
来年、再来年には探査機を月に降ろし、岩を掘り、その岩を分析機にかけ
月の水の量や、どういった状態なのか、
月の水を調べるという計画をしているとのことです。



++ Until now ++

今回は『一番価値観が変わった時』というキーワードで
林公代さんの過去を振り返りました。

20年ほど前に記者向けの無重力体験ツアーに参加。
小型のジェット機に乗り、
高度7000〜1万mの間を放物線飛行を繰り返すそう。
その間に20秒くらいの無重力を5~6回ほど体験できるとのこと。

『実は0Gになる前に0.2Gとかになると体がフワッと浮き始めるんです。
そうするとみんな同じように浮き上がるんですよ。
内臓とか脳みそとかも浮き上がる感覚があって、
その瞬間、今まで重力という常識に縛られていたんだと体でわかる。
それであらゆる自分を縛っていたものから
体も解放されるし、心も、頭の中も解放される。』

宇宙ライターとして
これまで数多くの方にインタビューされていますが、
中でも印象的だったのが宇宙飛行士の野口聡一さん。
スペースシャトルから船外活動のため宇宙に出る時には
エアロックと呼ばれる部屋に入り、その部屋の空気をどんどんと落としていき
宇宙の空気と一緒にしてから、宇宙へ出ていくそうなのですが
その空気がなくなり、どんどんと音が無くなり、
ドアを開けて宇宙へ行く時には
「三途の川を渡る気がした」と語られたそう。

『宇宙船の中っていうのは空気が満たされた”生”の空間。
だけど宇宙空間というのは生身の体では生きられない”死”の世界。
そこに自分はこれから出ていくんだというのをすごく感じたというのを
訥々とおっしゃっていて、それを聞いて鳥肌が立つような・・・
音があるというのは空気がある象徴。
だからその死の空間の中で、
青々と光っている地球というのがものすごく美しく輝いて見えた
というのをおっしゃっていて、
だから、私も宇宙に行ったら
真っ暗な死の空間を背景にした地球を見てみたいなと
その時にすごく思いました。』

++ From now on ++

まもなく、夏休みがやってきますが
林さんが『一度訪れて欲しい!』という、
日本国内の「おすすめ宇宙関連スポット」を教えてくださいました。

まずはロケットの打ち上げに興味がある方には「種子島宇宙センター」。
世界で一番美しい発射場と言われており
近くにはサーフスポットもあり、
夜にはタイミングが合えば天の川が見ることができるそう。
見学場もいくつか完備されており、
大体2ヶ月前くらいにはロケットの発射が発表されるみたいなので
ぜひ、種子島でロケット発射される際には足を運んでみてください。

そして明日7/7には七夕ということで、
夜空を見上げる方も多いと思いますが、
実はその翌日7月8日20時半ごろから 
国際宇宙ステーション「きぼう」がよく見えるとのこと。
「#きぼうを見よう」と検索すると
いつ、どこで、見ることができるのかがわかるそう。

『5〜6分なんですけども
割と日本全国の広いところで見ることができます。
木星よりももっと明るい、マイナス1等星よりも明るい感じで
静かに空を横切っていくのが、晴れてさえいれば見えます。
飛行機との違いは、飛行機は瞬きますが
その瞬きがないんですよね。』

そのほか、近代プラネタリウムの誕生から100周年ということで
昨年から各地のプラネタリウムでは様々なイベントが行われています。
中でも渋谷駅近くの「コスモプラネタリウム渋谷」は
プラネタリウム解説員のレジェンド的な方がいらっしゃるそうなので
林さんはオススメとお話ししてくださいました。

最後に活動を通して伝えていきたいことを教えていただきました。

『私がずっと宇宙の仕事をしていて
子供に言われた一言がすごく心に残っていて。
それは「宇宙って頭の良い人たちだけのものなんでしょ。」
って言われたことがあって。
宇宙って誰の頭上にも広がっていているし
どんな人にも開かれているし
今、たとえ生きづらさを抱えている人であっても
星空を見ることで救われることがあるんじゃないかとか。
本当に宇宙好きの人のためだけではなくて
いろんな人に元気を与えられるような
そんな風な記事が書けたら良いなと思っています。』

林さん、今年中にKADOKAWAから子供向けに、
宇宙のお仕事をまとめた本を出す予定とのこと。
子供たちの夢を広げられるような本にしたいとお話ししてくださいました。

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