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STORY

2024.07.27

映画監督の山崎 貴さん


++ Introduction ++

昨年公開された映画『ゴジラ-1.0』が世界的大ヒットを記録。
この作品を手掛けたのが映画監督の山崎 貴さん。

『ゴジラ-1.0』は、邦画・アジア映画史上初となる、
第96回アカデミー賞®視覚効果部門を受賞!
視覚効果部門ではVFX技術が本編にどのくらい貢献したかが
評価基準になってくるそう。
「本当に恐いゴジラ」をCG/VFX技術で再現できたのが
受賞に繋がったのではと山崎さんはお話ししてくださいました。

VFXというのは広い視覚効果のことであり
そのVFXの手法の一部としてあるのがCG。

VFX技術は今の映像業界では当たり前のように使われており
時代劇で電柱が映っているのを消す作業や、
現代劇でも後ろの背景を直すなど、
映像作品とは切っても切れない存在となっているそう。

一昔前はVFXで水や火を表現するのが難しかったそうですが
今作は、特に海のシーンが多く、水を1からCGで作り上げたそう。
ゴジラが機雷処理船を追っかけてくるシーンは、、
船は実際に撮影し、その船を追いかけてくるゴジラと海はCG。

そのCGで作った海は、
コンピューターのシミュレーション技術によって作られるそうですが
海の水の動きは、一コマごとに形が変わるため
データ量的にとても大きく、
作り上げるのにものすごく時間がかかり
一回シミュレーションをかけると、要する時間はなんと1週間。
さらに出来上がった海のCGもイマイチだったとしたら
またパラメーターを変え、もう1週間・・・

『だから、同時並行で何個もシミュレーションを走らせないと
下手したら、ひと月くらいシミュレーションだけでかかっちゃうので。
ちょっとずつパラメーターを変えて、良い波が出るまでやるんですけど
それが1週間待って、ダメダメな波ができた時はショックで。(笑)』

世界中で愛されている“ゴジラ”。
2016年には映画『シンゴジラ』が公開され大ヒットを記録。
そんな『シンゴジラ』の次のゴジラ作品ということで
最初はどうしようと悩まれていたそう。

『だから全部裏でいこうと思ったんです。
シンゴジラは人間ドラマではないところにフォーカスして評判が良かったので
エモエモのど人間ドラマにしようと思ったり
あとは現代のお話だったので、過去にしようとか。
そして陸での戦いが多かったので、海にしようとか。
全部裏にいって、
とにかくシンゴジラと戦わないようにするにはどうすればいいのか、
自分の土俵はどこなのかを考えて、
僕は「永遠の0」とか「ALWAYS 三丁目の夕日」とか
昭和のあたりの映画を作る時と評判がいいので、そこにいこうと。』



++ Until now ++

今回は『一番大変だった時』というキーワードで
山崎貴さんの過去を振り返りました。

30歳半ばの時に初監督作品として
『鵺/NUE』というSF作品の企画を出し
映画化として動き出したそうですが
超大作すぎてお金が思うように集まり切れず
膠着状態になってしまったとのこと。

そこで低予算の作品を作らないと監督になれないと考えた山崎さんは
戦略的に低予算で作れる映画の企画を書いて提出したところ
膠着状態だったこともあり、すぐに映画にしようと動き出し
デビュー作『ジュブナイル』で晴れて監督になられたそう。

『撮るのは楽しいことばかり。
むしろ企画が成立するまでが色々大変なんですよね。
僕は優秀な阿部さんというプロデューサーさんがついてくれていたので
あまりその部分では苦労はしなかったんですが
やっぱり一作目はね・・・。
監督じゃない人を監督にするというのも大変なのに
そこにものすごいお金を使おうとしていたんだから。(笑)
今、僕はその頃の年齢に近い年齢なんですよ。
だけど今、イケてそうな若者がいて
「これだけお金かけて映画作りたいんですよね」って言われたら
「いいね!やろう!」とは絶対に言えないですね。』

元々、少年時代から怪獣映画などが好きだったという山崎さん。
そんな少年時代に雑誌に怪獣映画の撮影の裏側などが書かれており
それを見てすごく羨ましく思い、将来、そういった裏側に就きたいと思っていたそう。

その後、中学2年生の時に
『スター・ウォーズ』や『未知との遭遇』が公開となり
その二つの作品は山崎さんの人生に大きな影響を与えたそう。

『それまで特撮って言われているものって
ちょっとこっちが少し優しい気持ちにならないと見れない。
「これはミニチュアのビルを壊しているけど、本当のビルを壊しているんですよ」とか
ロケットも上から吊っている感じがするし、火もちょっと上を向いているけど
「これはロケットが噴射しているんですよ」というイメージを
ちょっとだけ見ているこっち側が優しくならないといけなかったんだけど
「未知との遭遇」は本物にしか見えなかったんです。
本物としか見えないUFOが飛び回っていて、最後にはマザーシップが・・・
これは本当に来たものを撮って、
事情的にVFXって言い張って上映しているのかと思うくらい
本物にしか見えなかったんですよ。』

『スター・ウォーズ』もスター・デストロイヤーなど
宇宙船の描写や、その宇宙船から真横に火が出ているところを見て
これは本当に宇宙に行って撮影したんだと思うくらい感動し
特撮の道に進むキッカケになったそうです。

++ From now on ++

山崎さんは、オスカーに投票できる、
映画芸術科学アカデミーの新規会員に招待されていらっしゃいますが
今後の映画業界/エンターテイメント業界に期待することとは・・・

『劇場に来てもらいたいんですよ。
劇場で見る映画が体感としては
一番良いなと思っている世代ではあるので
どうやって劇場に来てもらおうかなというのが
自分の中でも一番大きなテーマだし
なんか体感するようなものっていうか
大きいスクリーンとすごくいい音じゃないと感じられないようなものを
作っていかないといけないなと思っています。』

映像製作の技術が日々進化している現在。
最近では映像や音楽など生成AIが出てきています。
映画の可能性を広げることもありますが
映像自体を作り上げる技術が進み映画を作るようになった時に
今後の映画業界どうなってしまうんだろうと
山崎さんはお話ししてくださいました。

昨年、映画『ゴジラ-1.0』が世界的大ヒットをされましたが
今後の目標として
『オッペンハイマー』のアンサーを作りたいとお話ししてくださいました。

『日本人側からのアンサーの映画を
いつか作りたいなと思いながら、大変だなと。(笑)
赤裸々に描きたいのでハードルも高いなと思っていて
いつやれるかわからないですけど、夢ではあります。
あとは一番最初にやろうとしていた『鵺/NUE』をやらないと
情熱がもたなくなるような気がしていて。
世界観を作るというのは大変だと思うので
そろそろ討ちとめないと、
生涯やれないんじゃないかなというふうに思いますね。』

広島・呉市の大和ミュージアムで開催中。
特別展『映画監督 山崎貴の世界 ―映画で描かれた戦争とVFX―』
映画制作で使用された軍艦の模型やデザイン画の展示や
最新作『ゴジラ-1.0』のVFX技術を中心に、
映画制作の過程や魅力も紹介されていますので
ぜひ足を運んでみてください。

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