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STORY

2025.03.08

指揮者の柳澤寿男さん

++ Introduction ++

東日本大震災復興支援の1つとして、
2015年から坂本龍一さんが立ち上げた
被災した東北三県の小学生から大学生までが集うオーケストラ
「東北ユースオーケストラ」の指揮者も務めていらっしゃる柳澤寿男さん。
毎月、福島へ練習に通われています。

『震災を風化させないというところから始まっていると思うんですけれども
ただ私が個人的に感じているのは震災を含めて
自然災害とか、経済危機とか、
食糧危機がいっぺんに押し寄せてくることになるわけです。
その時に、普段からの社会的な連携というか人が集まって
何かを日頃からやっているというのはすごく大事なことなんだなと
東北ユースオーケストラから
自分自身も学ばせていただいている感じがします。』

特別、子供に教えるという形で接している訳ではなく
基本的には大人と接するのと同じように練習を進めているそう。
そのため、柳澤さんは小学生にも敬語で接しているとのこと。

東北ユースオーケストラが設立されて今年で10年。
この活動を続けてきた中で、
東北ユースオーケストラに成長や変化を感じることとは・・・

『個人的には小学生だった人が大人になったりとかしているわけなので
成長をしているんだと思うんですけれども
オーケストラ全体としてみると
第一期から、今は第十期なんですが
特にこう変わったというよりも
できた当初の第一期から、みんなすごい頑張り屋で
大人は子供の面倒を見るし
自分達で何かできることを探しては、仮設住宅に演奏に行ったりもしていて
どの期もすごく立派だったんですよね。』

その他、コソボフィルハーモニー交響楽団、
バルカン室内管弦楽団の指揮も務められていらっしゃいます。

さらにクラシック以外でも大黒摩季さんやCHEMISTRY、工藤静香さん、
そして、玉置浩二さんなどと共演。
ポップスのアーティストとの共演も積極的にされています。

『やはりみなさんすごいんですよね。
時代、文化を引っ張ってきた人たちなんですよ。
みなさんすごい真面目というか、
自分が壊れてしまうのではないかというくらい
人を喜ばせたい、人を感動させたいっていうので
ものすごい頑張っていますね。
その人たちの人生に触れるというか、人柄に触れるというか
そういうところがすごく刺激になっていますね。』



++ Until now ++

柳澤さんの「最近で一番ショックだったこと。」
というキーワードで過去を振り返っていきました。

それは坂本龍一さんが逝去されたこと。

東北ユースオーケストラで一緒に活動された坂本さんと柳澤さん。

2023年の東京公演の直前の合宿の様子も
坂本さんは病室からリモートで演奏を聴いていたそう。
柳澤さんは合宿の練習後、坂本さんと電話で話す機会があったそうですが
その時は、そこまで坂本さんの体調のことを知らなかったそう。

『一年ぶりくらいに直接話した気がするのですが
電話に出た声が、今にも亡くなりそうな声なんですよ。
音量も、声の声量も出ないし、弱々しいし・・・
頭はしっかりされているんですが、肉体的に弱ってらっしゃって
「こんな状態だったんだ。」と、まず電話をしてびっくりしました。
でも合宿の様子を聴いて、直して欲しいことや、やり方とかを
色々言ってくださって、それを合宿に反映するということになったんですが
それで電話を切るときに、本当に声が出ないのに
今一番出る大きな声で「ありがとう、ありがとう」と言ってくれたのは
今でも覚えているんですよね。これからも頼むぞ的な意味も含めて。
本当にできる限りの心からの「ありがとう」という言葉をもらって。』

電話を切った後、楽屋で涙が止まらなかった柳澤さんですが
子供たちには心配をかけないよう涙をおさめ、
坂本さんからの言葉を伝え練習を続けられたとのこと。
演奏会当日の様子も坂本さんは病室からリモートで聴いていたそう。

その後、ニュースで坂本さんが亡くなったことを知った柳澤さん、
泣きながら、坂本さんの「Mizu no Naka no Bagatelle」を
何度も聴いたとのこと。

『あとどのくらいで亡くなるかっていう時に
東北の子供達のことを考えるというのが
自分の命がこの世を去るという場面だったら、できるのかなと思っちゃうんですよね。
最後まで子供達、東北の震災復興のことを
考えてらっしゃったんだなということで心に刺さりましたね。』

++ From now on ++

これからの東北ユースオーケストラについて柳澤さんは・・・

『子供達も、私も含めて
東北ユースオーケストラの活動の中で
坂本さんの言葉をいっぱい聞いているんですよね。
坂本さんの名曲の話を生で聞いていて。
やっぱり指揮者とか、オーケストラの人って
例えば生きていたらベートーヴェンとか直接話を聞きたいじゃないですか、
でも聞けないわけです。
坂本さんの言葉は生前にたくさん聞いているので
やっぱり坂本さんの音楽のスピリッツみたいなのを
継承したいなという思いはすごくありますね。』

そんな東北ユースオーケストラの演奏会が今年もあります。
東北ユースオーケストラ演奏会 2025
2025年3月21日(金)
昼公演 15:00開演(14:15開場) 夜公演 19:00開演(18:15開場)
会場:サントリーホール 大ホール
この公演では坂本さんの名曲たちの演奏はもちろん、
吉永小百合さんの朗読や
ウクライナのバイオリニスト、イリア・ボンダレンコさんが
坂本さんがイリアさんのために書かれた「Piece for Illia」を
東北ユースオーケストラと一緒に演奏されるそう。

また、5月にはバルカン室内管弦楽団の公演も予定されています。

『少し話はさかのぼりますが
2007年に演奏会でコソボフィルハーモニーの指揮を振るということで行ったんです。
練習をしていたら、練習の休憩中に音楽監督のバキさんという方に
呼ばれて行ってみると、
「今、戦争になったら俺は絶対に楽器ではなく銃を持って戦争に行く」
と言われたんですね。
バキさんの身内の人が亡くなっていて、いろんなトラウマがあって
もしそういうことになったら戦争にいきたいと言ったんです。
その後、コソボフィルの演奏会でバキさんは客席から聴いていたんですが
演奏が終わって、
「さっきあんなこと言って悪かった。やっぱり演奏家があんなこと言ったらダメだ。
これから人に優しく生きていきたい。」
と彼が言ってくれて。
自分が指揮した演奏が人の心に届いた、
それほどのトラウマがある人が気持ちが変わったのが嬉しくて
ユーゴスラビア時代のように、
いろんな民族がいるというオーケストラを作りたいと思って
日本の人が言うならできるのではないかと思い
バルカン室内管弦楽団を立ち上げました。』

今年は日本の終戦から80年の節目ということで
5月にバルカン室内管弦楽団で平和祈念公演が行われます。

実は柳澤さんの趣味は鉄道旅とのこと。
元々、旅はお好きだったそうですが
沢木耕太郎さんの「深夜特急」の影響で
途上国やいろんなところへ行ってみたいという思いになり
今でも海外でもなるべく鉄道で移動にされているそう。

『子供の頃から夜行列車が好きで
なんか特殊な空間というか
普段、通勤列車で混雑したところに乗っていても
夜行列車ってもっと時間の流れがゆっくりというか
そんなのが好きで時間をゆっくりと味わうというところで
夜行列車の旅がすごく好きなんですよね。』

実は「寝台特急 さくら」が
国鉄からJRに変わる瞬間に乗車されたとのこと。

ON AIR LIST

  • ORDINARY MIRACLE / SARAH MCLACHLAN
  • MERRY CHRISTMAS MR.LAWRENCE / 坂本龍一,柳澤寿男,東北ユースオーケストラ
  • FADE INTO YOU / MAZZY STAR

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