Guest : 松任谷由実
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39枚目のアルバム『深海の街』をリリースした松任谷由実が登場!
クリス:ユーミンさんはステイホーム期間どうでした? 松任谷:まずは、規則正しく暮らそうと思って、宇宙飛行士のように1日のタスクを決めたり、誰にも合わないのにメイクしたり、とにかく自分をシャッキリしようと思って、じゃないと、どんどん時間が立っちゃうんです。 クリス:わかります。 松任谷:その中でも、すごい落ち込んだり。そういうことってありました? クリス:僕は怠惰になりました。 松任谷:他にも、CDライブラリーをチェックしたりもしましたね。5月ぐらいまではすごく気分が落ちてたんですけど、やっぱり歌手であることは忘れないぞっていう気持ちもあり、その後に本格的にレコーディングを始めました。 クリス:レコーディングはどうでした? 松任谷:幸いなことに、ほぼ全編自宅録音なんですよ。一家にプロデューサーとアーティストが住んですわけで、こんなに整った環境はないっていうのと同時に、厳しい面もありましたね。家事もありますし。でも、制作面ではこんなに恵まれたことはなかったです。 クリス:根幹になる部分は全部家でできたんですね。ちなみに、自粛期間中に日本の古典文学を読み漁ったそうで。 松任谷:読み漁ったってほどではないんですけど、まず、方丈記を読みたくなって。そこから徒然草とかも読みました。方丈記は、歴史上日本が最も悲惨だった頃の話だから、そこをサバイバルした人が祖先なんだ、だから我々がいるっていう不思議な勇気を与えられました。 クリス:元々、古典は好きなんですか? 松任谷:そうですね。美しい言葉とか、歌詞として新しい言葉を探しているので。 クリス:じゃあ、そういうところからもインスピレーションをもらってるわけですね。 松任谷:そして、好奇心も強いし、しンガーソングライターって何が役に立つかわからないじゃないですか。雑学の吹き溜りみたいになってるけど、今まで続けてきたことが間違ってなかったってわかりましたしね。 クリス:それは大きいですね。 松任谷:今回のアルバムは、自分のために作ったって言い切れますね。 クリス:多くのアーティストの方がそれはあるみたいですね。今の自分を残したいっていうところがすごくあると思います。そんなアルバムがリリースになりましたが、タイトルを教えてください。 松任谷:『深海の街』です。 クリス:通算39枚目なんですね!すごいですね! 松任谷:稀有な例だと思います。 クリス:元々は違うコンセプトのアルバムを作ろうとしてたんですよね。 松任谷:発売日の12月1日が40年前、『SURF&SNOW』というアルバムの発売日でもあったんですけど、なぜかそのアルバムのジャケットにVol1って書かれたんです。デザイン的に。そして、今年の苗場の「SURF&SNOW」というイベントが40周年だったんですよ。それもわかってて『SURF&SNOW Vol.2』って名前にしようと思ってたんですよ。でも、コロナになってその構想はなくなったんですよ。でも、完全になくなったとはいえ、リゾートアルバムでも、脳内リゾートアルバムにしようと思ってたから、どこかで繋がっています。 クリス:そこは共通だったんですね。 松任谷:アルバムのジャケットには潜水服で抱き合う男女が写っているんですけど、これはコロナを表していて、そのポーズが40年前の『SURF&SNOW』のジャケットと同じポーズだったりして。 クリス:それでも人は触れ合っていたいということですよね。 松任谷:それでも繋がっていたい。「愛しか残らない〜深い海の底で僕たちは気づいたんだってコンセプトなんです。 クリス:切ないですよね。 松任谷:でも、その感情が人間的なんじゃないのかなって思います。 クリス:特に今年はその切なさとそうやって生きていくのかが、大切だったんじゃないかなって思います。
クリス:ユーミンさんがアルバムの中でも、気に入っているという「ノートルダム」ですが、どんな思い入れがあるんですか? 松任谷:パリがすごい好きだし、タイトルは先に決めてて、歌詞を書いたらパリの観光案内じゃないかって言われて、もっと悲劇的なのがいいんじゃないかって言われて、書き直しているうちに、思わず、去年ノートルダム寺院が火災になって、ちょっとショックを受けていて、私にとっては特別な思い出がある寺院なんですよ。ダークなところを天国が一緒になっている感じ。そういえば、首里城も燃えたなとか、世界の結界が一気に崩れ落ちた感じがしました。サウンド的には私のキャリアで、どんなかっこよさを追求できるんだろうって、フランスのポップスが好きだから、ダンサブルなものにしたかったんですけど、作っていくうちに自分の中のいろんなものが開いて、歩き出そうって感じ。廃墟の中の愛し合ってるもの同士が先がないのに歩き出す感じです。 クリス:ドラマチックというか、死ってものを表してるんですかね。 松任谷:私はコロナで振り返ってみて、デビューの時から必ず死と隣り合わせの曲を書いてるんですね。そういう死生観は持ってポップスと向き合ってきたかな。 クリス:深いところにあるんですね。 松任谷:自分でもなんでかわからないですけどね。物事には終わりがあるし、今を輝いて生きようってエネルギーがアルバムに充満していると思います。 クリス:本当にバリエーションに飛んだアルバムになっていると思います。
番組恒例★ピンポンボックス ○今も昔も変わらないアイドルは? 松任谷:マリア様とか。今ぱっと浮かんだんです。 クリス:竹内まりあじゃなくて。 松任谷:家の中に、ルルドがあるんですよ。 クリス:フランスの有名な? 松任谷:そうです。それで実際にルルドの泉の水を頂いたんですよ。それを3滴ぐらい混ぜてます。 クリス:かわってます? 松任谷:気はいいかもしれません。
○元気の源は? 松任谷:人に会うことは大切ですね。コロナはそこが大変でした。 クリス:じゃあ、外には出なかったですか? 松任谷:かかりたくないし、3ヶ月ぐらい一歩も出なかっです。 クリス:リモート飲み会はしました? 松任谷:全くしなかったです。ラジオのリモート収録はしましたけどね。でも、やっぱり直接会う方がいいなっておもいました。 クリス:じゃあ、ご主人と3ヶ月ずっと一緒だったんですね。 松任谷:だから、収録するしかなかったのかもしれなかったです。 クリス:そんな中で、このアルバムはどんな存在になりましたか? 松任谷:一生忘れないと思います。
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