2011.10.30

Honey Bunny / GIRLS

本日ご紹介するのは、GIRLSというサンフランシスコの2人組グループなんですけど
このGIRLSで曲を書いて歌っているクリストファー・オウエンスという男の子が、この世に舞い降りてきた天使みたいな子なんです。
これは私だけが言っていることじゃなくて、私の大好きなARCTIC MONKEYSのアレックス・ターナーもGIRLSの大ファンで、おそらく彼らの4thアルバム『Suck It And See』は、GIRLSの1stアルバムに影響されてるんですね。
先日、GIRLSが来日公演で来ていたので、クリストファーに「アレックスが大ファンだって?」と聞いてみたところ、「うん。何度か大ファンだって言われた。」と言ってました。

最近出てくる若いバンドって、どうしても流行などを気にしがちじゃないですか。
でもこのバンドの場合は、いかに普遍的に、いかに美しく鳴らすか、その中で音楽が伝える人間の心みたいなものを相当意識していて、
バンドにとって一番嬉しいのは、「君たちの音楽で救われた」とファンに言われること。と言うようなタイプのバンドなんです。
彼らのライブでは、マイクスタンドとかにバラの花とかいろんな花が飾られていて、凄い大ファンの子は、花を持って行ったりするんですね。
ファンが花を持って行くライブというと、モリッシー以降しばらくなかったと思うんですけど、
この子達もやはりファンと花を通して、音楽を通して、気持ちのやりとりをするのが好きみたいです。

この2ndアルバム『Father, Son, Holy Ghost』は、9月に発売されているんですけど
アメリカのPitchforkというサイトで、10点満点の 9.3点 という破格の点数がついています。
今回ご紹介した「Honey Bunny」という曲は、プリティーな感じの曲だったんですが、
このクリストファー・オウエンスは、元々“Children of God”という新興宗教の中で育って、そこから逃げ出してから音楽をいろいろ聞き始めて作り始めたんですね。
もちろん、今は宗教と関係ないところでやってるんですけど、愛ってなんだろう、愛が欲しい、でも愛ってなに?…と、こちらに考えさせられる曲が多いんです。
なので、是非この『Father, Son, Holy Ghost』は、アルバムで聞いて欲しいんですよ。
このアルバム、私の今年のベストアルバムの一つです!

妹沢奈美(せざわなみ)

'71年、鳥取県出身。現代美術史を学ぶため英国留学中にロックやダンス・ミュージックに出会い、早稲田大学第一文学部卒業後は音楽雑誌の編集部に入る。その後フリーとなり、雑誌などの取材記事やライナーノーツなど執筆活動を続ける。これまでに取材したUKミュージシャンはオアシス、コールドプレイ、アークティック・モンキーズ、ザ・リバティーンズ、モグワイ、ブライト・アイズなど多数。